Pocket Garden ~今日の一冊~

大人も読みたい、大人こそ読みたい、大人のための児童文学の世界へご案内

生まれじゃない!能力のある者が王になる

『スーパー30 アーナンド先生の教室』

 

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今日は、児童文学ではなく映画のご紹介。

 

子どもも大人も、勇気と希望をもらえる映画。

これが、実話に基づいているんだというところに驚きなんです。

まだまだ、この世の中にはこういう志の高い人がいるんだなあ、というところに感動。

最近、どうしたらこの競争社会でトップに立てるか、と自分のことしか考えてないような人ばかりにスポットが当たる。だから、こういう志が高い人にスポットが当たると世の中捨てたもんじゃない、って思うんです。

 

舞台は貧富の差が激しいインド。インドってホントに興味深いところだなあ。すべてがある気がする。

才能があっても、貧しい生まれでは学ぶ自由などなく、幼い頃から労働するしか道のない子たち。そんな子たちに手を差し伸べたのが、アーナンド先生なんです。

自身も数学の天才であり、ケンブリッジ大学から入学許可がきたものの、渡航費を工面することができずあきらめたと、いう過去を持つ先生。その先生が、お金持ちエリートのための名物予備校講師を経て、貧しい子たちのための無料塾を立ち上げ、見事な結果を出すという実話。ただね、厳しい選抜をします。教えてるのは30人まで。まずは予告編をどうぞ↓

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貧しくても最高学府を狙える、一見サクセスストーリーのようですが、ちょっと違う。

日本にも『ドラゴン桜』とか『ビリギャル』とかお受験物語はあって、それはそれで面白くて嫌いじゃなかったのですが、ゴールが合格であり受験はテクニックに終わってるんですよね。

 

でも、アーナンド先生の教え方はもっと本質的。学ぶってこういうことよね!!!!って胸が熱くなる。すべての成り立ちに疑問をもて、問題は自分で作れ、自分で考えろ。お金がなくて参考書が足りなかったら、手作りプロジェクターを作ってみんなでシェア。公式サイト読むだけでも、興味深いです↓

spaceboxjapan.jp

 

最高学府に合格する、というところがスゴイとつい思っちゃうけれど、スゴイのはそこじゃない。一人ひとりが持ってる才能をあきらめないというところ。そして、それをサポートしてくれる大人がいる、というところ。この映画では、それが学問だったけれど、別の分野で才能を伸ばす子たちも当然いる。それぞれの分野で、きっとスポットが当たってないだけでアーナンド先生のような人が世の中にはいるんだろうなあ。

 

ただ、映画としてどうかと問われると、好き嫌いが分かれると思います。だって、THE☆インド映画だから(笑)。

もうね、分かりやすすぎるドラマチックさ。いってしまえば、安っぽい。大げさなBGMにやっぱり歌い踊る。だって、インドだから(笑)。

ここまで、正々堂々としていると、かえって清々しいのですよ。ハリウッドの感動ものには反発心を覚える私も、インド映画は笑っちゃう。だから、正直感情移入はできないけれどそれでも、見れてよかったなあって思いました。

 

最後の戦いの場面はいくらなんでも大げさすぎるだろう、と思ったけれど、アーナンド先生は実際に何度も襲撃されているそうです。映画の中の事件はフィクションだけれど、やっぱり無料でやられると教育ビジネス界からは敵視されて、邪魔な人物としてみなされるのも事実。そんな中でも続けているのだから、頭が下がります。

 

子どもを大事にする社会には未来がある。希望がある。

自分の分野で、果たして私は何ができる?そんなことを問いかけられた映画でした。

 

私が観に行ったときは観客が10名もいなくて、これでは打ち切り早いのも仕方ないなあ、とモッタイない気持ち。ぜひ。

 

インドの天才といえば天才数学者ラマヌジャンのこちらの映画もオススメ。こちらはインド映画が苦手な方でも大丈夫↓

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才能ある人たちの物語ってやっぱり面白い。コメディ要素も入ったヒューマンドラマのコチラは次男のお気に入り↓

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最後に、藤井風の最新作MVもまるでインド映画なので、ちゃっかりご紹介。

歌詞も映像もこんなにもスピ全開で大丈夫?ド直球できたな、と余計な心配しちゃうくらいだけど、最後のあまりの多幸感に泣いた。“あなたに会えてよかった”という歌詞は多々あれど、“あたしに会えてよかった”って(涙)。自由ってこういうことよね。

美しいインドを描いているのでぜひ↓ 

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最後の方の動画だけでも見てほしい

『テッドがおばあちゃんを見つけた夜』(2011年)ベグ・ケレット作 吉上恭太訳 スカイエマ絵 徳間書店

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今日の一冊はコチラ。短いのですぐ読めます。

スカイエマさんの疾走感のある挿絵がいい。

この物語を読んで、ちょっと思うところがあり、最後のほうにちょっと見ていただきたい動画を張り付けたので、私の文章は飛ばしてもよいので(読み飛ばしたら意味ワカラナイかもですが笑)、それだけでも見て欲しいなあ。

 

『テッドがおばあちゃんを見つけた夜』あらすじ

中学一年の少年テッドは、両親とアルツハイマー病のおばあちゃんと四人で、小さな町に暮らしている。ある日、町で銀行強盗事件がおきた。犯人は、銃を持ったまま逃走中だという。ところがその日の夜、テッドはおばあちゃんと留守番をしているあいだ、銀行強盗とそっくりな風貌の、あやしい男に出くわしてしまった。テッドは男にむりやり車に乗せられて…。男はいったいだれ?テッドは無事逃げられるのか?置きざりにしてしまったおばあちゃんは?危機を乗りこえ、身近な人の大切さに気づいていく少年の成長を描いた、スピード感あふれる物語。(BOOKデータベースより転載)

 

うん、いいお話です。スリルもスピード感もあるし、認知症を身近に感じられるという意味でも貴重。

 

望むだけじゃだめ

知恵を使って

行動をこす!

 

認知症になる前におばあちゃんからよく言われていたこの言葉が、窮地にいるテッドを励まし、救うのですが、ホント、一歩でも行動を起こすって大事なこと。勇気をもらえる物語です。

 

ただ……ちょーっとだけ、ちょーっとだけ説教くさく感じてしまったのは私だけ?

以前の私だったら、テッドを連れまわしていた男に対する作者の姿勢も素直に受け取れていたかも。でもでも、いまはちょっと違う見方をしてしまいます。ここから先は、素直にこの物語がよかった!!!と思った方は読まない方がいいかもしれませんので、ご注意。

 

テッドを連れまわしていたあやしい男はね、自分は復讐をしているんであって、犯罪を犯しているという認識はないんです。世間への八つ当たり。自分と同じ苦しみを多くの人が味わえば、自分の思いを分かってもらえるんじゃないか、って。思考回路が通常の人から見ると異常なんですけど、ちょっと気持ちが分かる気がしちゃったんです。

 

そんな男を逮捕した警察官がね、もっともらしいことをいうんです。復讐に人生の時間を割くよりも乗り越えることに時間を使った方がいい的なこと。もっともなんですよ、もっともなんですよ、そうするエネルギーがあるくらい愛情や恵みを受けて育ってきた子に対してならね。それ、強者の論理なんだよなあ、って。

 

ちょうど、先日目にした記事にもこんなことが書いてありました。とある荒れた地域の子ども食堂で、不良っぽい子たちがあれやこれやと大人にしてもらってる姿を見て「自分でしてもらわないの?」と聞いたら「彼らはそれ以前。大人から何かをしたもらったことのない子どもたちだから」という回答だったという。それを思い出しました。

 

みなさんに、ぜひぜひ見てほしい短い動画があるんです。字幕をONにしてみてくださいね。見たとき衝撃でした。そうか、“前提”が違うのか、と。

コチラ↓

www.youtube.com

 

そして、コチラを読んだり見たりしたことも、私の考えを変えるきっかけになったと思います。↓

jidobungaku.hatenablog.com

jidobungaku.hatenablog.com

 

jidobungaku.hatenablog.com

ああ、犯人ひどいな、だけで終わらないでほしいなあ。

色んな考えるきっかけをもらえた物語でした。

ワクワクが足りない?異文化をどうぞ

日本人が思い浮かべるインドと言えばこんな感じ?喧騒、不潔、危険......

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今日は、まずは先日参加した素敵な会のレポを、最後にインドに関連した児童文学をご紹介しますね。

 

お友だちにお誘いいただいて、Think EAT LABさん企画・主催の築地で世界のお祝い料理を楽しむ会  第1回 北インドの 「マトンコールマー」という会に先日参加してきました。

 

いやね、築地はちょっと遠いし、これがただのインド料理教室だったら、正直行かなかったかもしれない。ですが!お祝い料理というのは、表メニューに出てくることはほとんどなく、文化が色濃く反映されている。そんな文化や背景のレクチャーもあるという文言に惹かれて、行ってきました。

 

ああ、行けてよかったです。これこれ、私が聞きたかったのはこういうのー!と一人心の中で大興奮してしまいました。講師のアリ三貴子さんは、写真家でもあり、本も出版されています。この本がまたいいんですよねえ(本の感想はまた別途。いっぱい書きたいので笑)。アリ三貴子さんの著書はコチラ↓

 

ムスリムの女たちのインド』(2005年)柴原三貴子著 木犀社

予備知識なく参加したのですが、アリ三貴子さんが滞在していたのは、外国人など見たこともないような人々の暮らすインドの小さな村だったんですね。博物館に展示してあるような伝統的な農具が、現役として普通に使われているような村。小さな村にとにかく昔から惹かれる私、心の中で大歓喜。都会のインドは喧騒の中にあり不衛生だけれど、シンプルな村暮らしはピースフルで土壁で実は清潔。そうそう!と心の中で激しく頷きました。私自身が滞在したことがあるのは、インドではなくお隣ネパールの村でしたが、やはり外国人に初めて会う人々の村だったので、懐かしい思いがブワッとこみあげてきました。

 

シンプルな暮らしといえばね、昔、見たこの本が衝撃的だったんです↓

『地球家族 世界30か国のふつうの暮らし』(1994年)TOTO出版

 

インドやアフリカの村々と日本の違いたるや!こちらの本、家の中のものをすべて家の前に出して写真を撮るというプロジェクトなのですが、もちろん、日本国内だって家庭によって差が激しいし、時代と共に暮らしも移り変わる部分も大きいから、何とも言えない部分もある。けれど、この本に出てくるシンプルな村の暮らしを見たときの衝撃たるや。

 

アリ三貴子さんが滞在していたのも、この本に出てくるようなシンプルな暮らしをしている人々の村で、たくさんの写真も見せていただきました。貧しいともいえる暮らしぶりなのに、なんてホスピタリティにあふれていることか。”生きる”ってこういうことなんだろうなあ、という思いがこみあげてきます。

 

インドでは、カレーという呼び名は使わない、ナンなんてほとんど食べない、バターチキンカレーは余ったタンドールチキンのリメイクが始まり、牛のフンと藁を固めて作った燃料で作る料理は最高!などなどの小ばなしもとっても面白かったです。

が、やっぱり私が一番惹かれたのが村でのお話。みながこうも助け合い、ホスピタリティにあふれているのはどうしてなんだろう?と思っていたら、ムスリムの多い村なんですって。納得!イスラム教の宗教観の中で生きている人たちだったんですね。この夏、新藤悦子さんの新刊記念で代々木の東京ジャーミイ(モスク)に行って以来、ますますイスラム文化というものに惹かれていたので、また目が開かれる思いでした。そのときのレポはコチラ↓

jidobungaku.hatenablog.com

 

そう、他の文化を知ると、目の前が開けて世界が広がるんですよね。これが、たまらなくワクワクする!

 

今回、特に印象的だったのは、犠牲祭の話です。犠牲祭では、飼っていた山羊を捧げるのだそうですが、これがちゃんと名前をつけてかわいがってる家族同然のような山羊なんだそう。自分の子どもの代わりとして捧げるのが犠牲祭なので、愛着のないヤギを使っても意味がないんですって。そこにあるのは、切実な思いであり、命を感じるきっかけになるそうです。だから、どんなに辛くても、解体の場面も見届けなければいけない。号泣だそうです。うーん、考えさせられるなあ。

 

お食事ももちろん美味しかったのですが、異文化の話を聞けたのが、最高の時間でした。お料理教室の詳しい様子は、Think EAT LABさんのブログをどうぞ↓

www.think-eat.info

世界のお祝い料理の会、次回はスリランカだそう。

 

そんなわけで、インドに思いを寄せ、今回は過去記事からインドに関連した児童文学を2つご紹介しますね。

blog.goo.ne.jp

blog.goo.ne.jp

 

どちらも、一度読んでみていただきたい、素敵な物語です。

ああ、インドに行きたくなってきました。次に行くときは、村に滞在してみたいなあ。

 

声をかけてくれたAさん、企画主催してくださったThink EAT LABさん、素敵な時間をありがとうございました。

 

 

ファンタジーだからこそ伝えられること

『香君』上橋菜穂子著 文藝春秋

大好きな上橋菜穂子さんの最新作。

でも……、本の置き場所もどんどんなくなってくるし文庫出るまで待とうかな、なんて思いもよぎったのですが、やはり待てなかった(笑)。

 

うん、さすがです。もう冒頭から心をぐっと掴まれました。目の前に光景が広がり、あっという間に物語の中へ。上下巻となかなかに長いのですが、とても読みやすい!なので、本が苦手という人でもいけそうです(前作『鹿の王』のほうが読書体力は必要かも)。

 

『香君』あらすじ

遥か昔、神郷からもたらされたという奇跡の稲、オアレ稲。ウマール人はこの稲をもちいて帝国を作り上げた。この奇跡の稲をもたらし、香りで万象を知るという活神〈香君〉の庇護のもと、帝国は発展を続けてきたが、あるとき、オアレ稲に虫害が発生してしまう。
時を同じくして、ひとりの少女が帝都にやってきた。人並外れた嗅覚をもつ少女アイシャは、やがて、オアレ稲に秘められた謎と向き合っていくことになる。(出版社紹介文より転載)

 

今回のテーマのひとつに、“植物の不思議”があると思うのですが、その部分はたくさんの文献に基づいて書かれているだけあって、とてもリアリティがあります。オアレ稲自体は架空のものだけれど、植物同士、植物と生物とのコミュニケーションの部分は、現実に行われてることでもあるので、ホント生命の不思議って底なし!

 

でね、読み始めてすぐに“オアレ稲”って遺伝子組換作物みたいだな、って個人的には思ったんです。人類を救うって言われてるけれど、そのおかげで有機農法やっている隣の畑まで影響を及ぼしてしまう。それだけに頼るコワさ。そして、いつだって、政治的支配が裏にはある。結局は人類が、自己の利益のためだけに何かを利用していくとひずみが生じ、結果自分たちにもかえってくるんですよね。

 

また、ある人はオアレ稲は“石油”に置き換えても読めるなあ、って言ってました。石油に支配された、石油で支配する世界。原発もともいえるし、また、救いの稲の方は“ワクチン”みたい、という人も。色んなものに当てはめることができるのも、この物語の面白さだなあ、って。ファンタジーだからこそ、伝えられる。ファンタジーだからこそ、色んなものに当てはめることができる。

 

ところで、私、上橋さんがいいなあって思うところの一つに、人間を善悪二元論で描かないところがあるんですよね。そりゃ、ひどい人はいっぱい出てきます。でも、その人にはその人の事情があって、ただ立場があるという描き方。そこが、なんともいえず心地いいんです。だって、どっちの側に立ってみるかで、物語って見え方が変わってくるし、時には真逆の物語になるでしょう?

 

今回の『香君』は、上橋さんの他の物語に比べると、登場人物たちに感情移入することは少ないかもしれず、そこに物足りなさを覚える読者もいるかも。でも。このコロナ禍だからこそ必要な物語がよくぞ出てきてくれたな、って個人的には思いました。

 

自分で考えること、共存すること          

 

ラストのほうで、香君であるオリエ取った姿勢には恐れ入りました。ちょうど自分自身の中で、課題となっているところへのメッセージをもらった感じだったので。

ネタバレってほどじゃないけれど、方向性は見えちゃうので、ネタバレいやな方は、ここから先は読まないでくださいね。

 

どうすれば人々の深いところに言葉が届くのか。オリエは、偽りの権威による支配の強化ではなく、“(人々が)自らの立場を再確認し、自らの意志で未来を選ぶ”道をつくるんですね。どの道を選ぶのか、自分自身で決めさせる(←ココ!ここが自分自身の中で課題だったんです)。そうはいっても、人々が混乱しないように、国がバラバラにならないようにコントロールしなければ、政治ってそういうもの、ってどこかで思ってたかもしれない。そういう提示をするのね、って感動しました。

 

そして、オリエに続き、アイシャも。

 

「私、自分が知り得たことを、多くの人に伝えておきたいのです。―みんなが自分で判断できるように。自分の行動が何に繋がり、どんな結果をもたらすのか、想像できるように」(P.430)

 

アイシャがするのは、“伝える”ところまで。そこから先は、個々に任せる。何かに依存するのではなく、自分の頭で考えるように、って。

 

これねーーーー、なかなかこうはできないです。ついつい、〇〇だからこうしよう、こうあるほうがいい(こうあるべき)、って結論や判断の部分まで言いたくなっちゃうもの。相手が判断できるようにっていうのは“信頼”なんだなあ。これが、なかなかできない。

 

そして、“共存”。

何かやっかいごとが起こると、傲慢にも人間はそれを排除しようとします。そうすれば、すべて解決するかのように。根本を見ない、まさに対処療法。

 

そんなとき、ユーマという人物がこういうのです。

 

「ひとつの稲に角に依存することは、もちろん避けねばなりませんが、いまの我々が為すべきは、オレア稲の排除ではなく、あの稲との共存なのでしょう。……(後略)」(P.448)

 

あれもまた命、と。

 

そう、命なんです。そこで思い出しました。以前、外来種の排除が強い言葉で語られるのを見るたびに、ちょっと胸が痛んでいたことを。増えすぎるのはよくないかもだけど、あれも、命なんだけどなあ、って。

 

排除ではなく、共存の道を探る。

いまの自分にとって、必要なメッセージがいっぱいつまった物語でした。

ぜひ。

実用書と漫画、平行読みのススメ

『13歳からのアート思考』(2020年)末永幸歩著 ダイヤモンド社

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今日の一冊はコチラ。

13歳になる次男におススメする前に自分で読んでみようと買った一冊。

 

とっても興味深いです!13歳からの、なので全大人にもおすすめ。アートに全然興味のない人にもオススメ。だって、これは物事の見方、堀り下げ方を考えさせてくれる本だから。

 

本来アートなどの表現活動って、思考とは別の領域のような感じもするのですが、アート思考はまさに思考。頭でっかちや先入観などをぶっ壊してくれて、視点を深めてくれるんですね。色々と興味深いことが書かれていたけれど、私が好きだったのは、

 

“答え”はたくさん存在する、一つじゃない

 

っていうところ。今の世の中、どれが正解なんだろう、どの正解に従っておけばハズレはないだろう、と躍起になって結果自分を苦しめてる人が多いような気がするし、気付けば自分自身もつい正解を求めがちだなあ、って。

 

主観もいいし、客観もいい。

どっちもいい。これ……アート思考でいけば、多様性が実現するのでは!?

何度も何度も問い直す。凝り固まった思考にゆさぶりをかけ、常識からの解放を促す。そして、育むのは“探求の根”。

 

だけどね、読んでそのときは分かったつもりでも、実はすぐに忘れてしまう私みたいな方いませんかー?そんな私みたいな方は、物語であれば落とし込めますよ!

 

というわけで、あわせてオススメなのが(というより、むしろこちらが先のほうがいいかも)、芸大受験漫画『ブルーピリオド』です!

『ブルーピリオド』山口つばさ作 講談社

私、漫画はあまり家に置きたくない派(すみません)で、次男から何でもいいから漫画全巻買ってほしいと言われ、出てる巻数が少ないという不純な動機で選んだ漫画でした(小声)。

 

が!!!!次男よりも、私がハマった(笑)。

もうねーーーー、泣きながら何回も読みました(笑)。刺さりまくり。アートの世界に限らない、どの世界にもいえることがいっぱい。好きって最強。でも、好きなものを好きっていうのコワイんですよね。騙されたと思って読んでみてほしいです。

 

そして、『ブルーピリオド』が気に入ったら、ぜひ天王洲アイルで開催中のブルーピリオド展へGO!

blueperiod-ten.jp

思ってた以上に楽しめました。遠方の方はオンラインもあります。

 

次男とのこの夏の最後の思い出

 

主人公が絵に興味を持つきっかけとなった美術部先輩の絵

 

大受験中を再現したスペース お題は”自画像”

中2、まだ親と行くんだ、と思ったら、親とだったら気を遣わずに同じところ何回も見たりできるからだったみたい。次男、大満足。

9月27日までなので、お急ぎあれ。

もやもやモヤモヤ

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分かりやすいだけが、全てなのか......!?!?

 

なんのことかって?

話題になったこのことです↓

news.infoseek.co.jp

 

いやいやいや、何でも読みやすく現代語にすればいいってもんじゃあない。だって、当時は親に対しては丁寧な言葉遣いをしていたわけだし、そういった時代背景まで消されてしまう。そういうのを読んで、ああ今とは家族関係が違うんだなあ、とか感じ取るものでは?今みたいな友だち家族っていいのかな?どうなんだろう?と考えるきっかけになったり。それに、現代であっても、「いないじゃん」なんてしゃべり方しないおうちだって、たくさんありますよね。

 

そういうことを言い出すと、すぐにじゃあ古典はどうなるんだという話が出てきますが、ちょっとそれとは話が違う。とはいえ現代語訳にしても、例えば以前話題になった般若心経をロック調にしたコチラ、ここまでいけばもはや清々しい!↓

grapee.jp

 

なので、どうしても現代っぽい口調で書きたいのならば、いっそのこと『若草物語令和転生物語』とかにしちゃえばいいんだと個人的には思うんだけどなあ。言葉を現代に寄せること自体は、ある程度はそうしたほうがいいとは思うのだけれど、それは雰囲気を変えないことが前提だと思うのです。そして、それはできると思う。

 

それと、手渡し方の工夫次第では、子どもたち手に取りますよね(子どもなめんな)。以前ご紹介したTiktokで本紹介をしてたけんご氏の影響たるや。中身を現代っ子にやたら迎合するのではなく、手渡し方を現代っ子に響くように変える。それがいいと思うんだけどなあ。

jidobungaku.hatenablog.com

 

新訳の賛否両論については、2017年に教文館ナルニア国で行われた金原瑞人氏の新訳をめぐる講演会で感じたことと、いまも同じように感じています ↓ 

blog.goo.ne.jp

 

 

 

小4本が苦手な男子による本ランキング

この夏は久々にヨーヨー釣りができた(涙)

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夏休みって、家族の予定がいっぱいで、色々抜けちゃいますよね!←、あれ?私だけ???

 

というわけで、先週ブログをアップするのをすっかり忘れていました!なので、今日2週分アップしますね(一つはしれっと先週の日付で投稿してます笑)。

 

さあ、夏休みもいよいよ終わり。

誰の参考になるかは分かりませんが、うちの小4三男が夏休みに読んだ本、面白かったランキングをご紹介しますね。

 

■三男スペック

・野山駈けずりまわるのが好き(だけど、一緒に行ってくれる友だちがいないので、現実はYouTube三昧)

 

・学校があるときは読書ゼロ。断然漫画派

 

・自分で読むのは嫌いだけれど読み聞かせてもらうのは大好きだった(今は恥ずかしいみたい)

 

というわけで、我が家の三男は読書が苦手な方です。

こういう手は使いたくなかったのだけれど、ついつい魔の手が……あまりにもNetflix入れてほしいと言われ(夫も賛同してしまったので)、観た時間分、本も読もうかと提案しちゃいました。そしたら、意外にもすんなりOK。そんな三男に、この夏読んだ本の中で、面白かったランキングを聞いてみました!

 

■断トツ第1位!

『風の靴』(2009年)朽木祥作 講談社

江ノ島から三浦半島まで、ヨットで子どもたちが家出するお話。自分の住んでる地域の話だったことも大きかったかな?憧れの家出、キャンプ的な生活の楽しさ満載で、三男に大ヒット。大興奮で一気読みしていました!

 

■同列1位

『びりっかすの神様』(2006年)岡田淳作 偕成社文庫

『二分間の冒険』が面白かったと言っていたので、すすめてみました。長男次男に以前読み聞かせで全部読んだことがあるのですが、当時まだ未就学児だった三男もそのとき面白い面白いと言ってたのが印象的で。でも、本人全然覚えてなかったので、再度オススメ。学校もので、入り込みやすかったみたい。岡田淳さんの本は、本が苦手な子でも好きな子でもどちらにも夢中になってもらえるなあ。

 

■第3位

『グレッグのダメ日記』(2008年)ジェフ・キニー作 中井はるの訳 ポプラ社

こちらは、学校から三男自身が借りてきたもの。長男も好きだったなあ。漫画的面白さがあるみたい。これ、物語ってよんでいいのかなあ?ランキングから外したほうがいいのかなあ?なんて言ってた三男。いいのよ、いいのよ、楽しいと思える本大事!!!

 

■第4位

『小さい魔女』(1965年)オトフリート・プロイスラー作 大塚勇三訳 学研プラス

実は、こちらは読み始めてわりとすぐ投げ出しました。私自身は小さい頃、大好きで何度も読み返したんだけどなあ、絵も苦手だそうで(こういう絵なら面白いこと間違いないのに!)。でも、途中から面白くなるから、もう少し読んでみてごらん、とすすめたら半ばくらいから面白くなったそう。

 

■第5位

シャーロットのおくりもの』(2001年)E.B.ホワイト作 さくまゆみこ訳 あすなろ書房 

こちらは、うーん、だったそうです。残念!母的にはこういう良質な児童文学に触れてもらいたかったのだけれど。でもでも、いま響かなくても「うーん」と思ってたものがずっと心にあって、ふと響くときもきますからね!どうも、感情移入できなかったみたい。

 

三男は海外文学がイマイチのよう。ちなみに海外文学でも、『ゆかいなホーマー君』やヘンリーシリーズに昨年夢中になっていたのは、やんちゃな男子たちに自分を重ねられたからなのかな?ファンタジーよりもリアリティ文学のほうが感情移入しやすい模様。『ムーミン』シリーズは、読み始めてすぐに挫折しました。分けわからなすぎるそうで。

 

でもね、驚いたのが、まだ読み始めたばかりだけれど、もしかしたら『バンビ』が第2位に浮上するかもしれない勢いなんですって!母、感涙。どうやって手渡したらよいか分からなかった物語だったから↓

jidobungaku.hatenablog.com

 

あんなに本というか文字読むこと自体が苦手だった高2長男は、今年は『深夜特急』面白いといって読んでいるし、ワカラナイものです。価値観の押しつけにならないよう気を付けながら、種まきは続けていこうと思います!