Pocket Garden ~今日の一冊~

大人も読みたい、大人こそ読みたい、大人のための児童文学の世界へご案内

こんなことってある?というのがBLM

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『キャラメル色のわたし』(2020年)シャロン・M・ドレイパー著 横山和江訳 鈴木出版

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(できるだけ19時ジャスト更新!ムリだったら、21時までに更新笑)

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今日の一冊は、こちら。

だいぶ前に読み終えていたのですが、ご紹介が遅くなりました。

 

とても読みやすいです!本が苦手な子でもスラスラ読めそう。

そして、読みやすいのに、考えさせられるんです。

 

実は、今回は、あらすじも何も読まずに予備知識なしで読み始めたんですよね。

なので、最初は、ああ共同親権の間で揺れる少女の話なんだなー、って思っていたんです。

 

主人公イザベラのママは白人、パパは黒人。親が離婚してしまったので、それぞれの家を1週間交代で行ったり来たり。同じ地域に暮らしているので、幸いにも学校は変わる必要はないんですね。

 

で、1週間おきに日記のようにイザベルの気持ちが綴られるわけなのですが、1週間おきって本当にめまぐるしい!読んでいてもめまぐるしい!

ママとパパはイザベルへの呼び方も違うし、肌の色も違うし、イザベルはアイデンティティにモヤモヤしちゃうわけです。

 

そんな風にテーマは重いのですが、主人公のイザベラのいかにも現代っ子らしい明るさを持った口調で語られるので、軽快に物語は進んでいきます。

 

ところで、個人的に印象的だったのは、改めて海外って言葉での愛情表現がすごいなー、ということ。離婚はしたけれど、いかにその子のことが大切か、宝物と思っているかをこれでもか、ってくらい伝える。日本でもいまや離婚は珍しくないし、「あなたのせいじゃないからね」と伝えることはあっても、こういう風に愛情を頻繁に伝えるというのは少ないんじゃないかな。

 

でもね、ふと、あれ?これもしかして大人側の「離婚しても子どもをきちんとかわいがってる自分」というアイデンティティなのかな?とも思ってしまった。

離婚した相手よりも、子どもに愛情を注ぐことを示すことで、無意識かもしれないけれど競い合ってるというか。イザベル自身もそれを感じるから、どこにも属してない気がするのかもしれない。ものすごく愛情注がれてるのに、「どうして私の気持ちを考えてくれないの!?」となるのはそのせいなのかも。

 

そんなモヤモヤを抱えつつも、友だちやパパの恋人の連れ子である兄と楽しく過ごしていたイザベルに、突如としてふりかかった事件。

 

悩みはあれど明るい感じで進んでいただけに、もうね衝撃でした。

そんなことって、ある!?!?

 

これが、Black Lives Matterか。

 

日本人には関係ない?いいえ、ぜひ物語を読むことで追体験してみてください。

きっと、色んな“問い”が与えられると思います。

 

こちらの2冊とあわせて読むと、より理解が深まると思うので、ぜひ!↓

jidobungaku.hatenablog.com

 

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