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今日の一冊は、黒人差別がテーマのこちら。
最初にこの本を目にしたのは、ジュンク堂書店さん。
朱色のこの表紙が、ずらーっと平台に並んでたんです。
目立つ!気になる!
いやあ、思い切ったなあ、ジュンク堂さん(いや、偕成社さんのほうかな?)
本気度を感じました。
BLM(Black Lives Matter)が話題になっていたとはいえ、重いテーマだし、日本人には遠い話題。目立つ展開しないと、手に取ってもらえないですよね。
正直、もっとほかに考えるべきテーマあるよね、と思う人も多いかもしれない。だって、日本では黒人差別は遠い話題ですもんね。
でもねえ、やっぱりおススメしたい。
読めば分かるんです、あれ?無関係じゃない!?ってことが。レベルの差こそあれど、自分の身の周りでも似たようなこと起きてないかな?と考えさせられるんです。
私ね、ひそかにショックだったことがあるんです。白人警察官によるアフリカ系アメリカ人への偏見からの残虐行為がニュースで取り上げられたとき、知り合いが、Facebookにとある投稿をしていたんです。それは、黒人警察による残虐行為も多い、白人だけが取り上げられて騒がれるのは、逆差別なんじゃないか、ってこと。黒人による犯罪率の多さのデータも同時に掲載されていて。
ああああ、でもね、数字だけでは背景は見えてこない。
何がショックって、知り合いがそういう認識だったこと。
アメリカの社会のシステムを分かりやすく示したアクティビティ動画があるのですが、とにかく、まずは見てほしい!↓
号泣。そもそもスタートラインが違うんですね……。ああ、そこ、忘れがち。
さて、本に話を戻しますと、この本が特徴的なのは、作者が二人いることなんです。
黒人側、白人側、それぞれの立場から心情を描いているので、そんなに白黒はっきりつけられるような簡単な問題じゃないということが、よーく伝わってくるんです。内面にまで一体化して追体験できるのは、読書ならでは、ですよね。
“差別はよくない”
90%以上の人が、普通にそう思っているんじゃないでしょうか。無意識の差別はあるかもしれないけれど、少なくともそれがよくないことは分かってる。
でもね、ここに出てくる白人少年クインの立場で読むと、そう簡単じゃないことも痛感できる。差別に加担しなくても、反対の立場を表明しないことは、やっぱり加担しているということがよーく分かるんです。
個人的には、被害者の複雑な気持ちも印象的でした。
そっとしておいてほしい気持ち。被害者である自分を差別反対運動のアイコンとして利用しないでほしいという思い。ああ、これ忘れがち。
とても読みやすく、一気読みでした。
不正が行われているときに中立であろうとするならば、抑圧する側に立つのを選んだことになる
文中にあった、人権活動家デズモンド・ツツの言葉が残ります。
手渡さないと、読まれない類の本なので、ぜひぜひ何かの機会があれば手渡してほしいです!