Pocket Garden ~今日の一冊~

大人も読みたい、大人こそ読みたい、大人のための児童文学の世界へご案内

冬から春にかけて読みたいのはコレ!

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昨日は鎌倉も珍しく雪!

遅ればせながら、明けましておめでとうございます!

 

みなみなさまの新しき年も、輝いたものになりますように。

 

本の紹介の前に、すみません。やっぱり言いたい(笑)。

いやあ、紅白の藤井風、最高オブ最高でしたね!特別待遇すぎて叩かれないか、ちょっと心配するくらい。でも、どんな舞台にたっても、自然体で藤井風は風のままでした。

真剣に紅白を見たのは、子どものとき以来かも(笑)。音楽って自由、って思わせてくれる。MISIAとのHigher Loveはまさに大トリにふさわしい素晴らしさで、圧巻。おかげで年越しの気分は最高でした。何が素晴らしいって、歌ってるのが恋愛の愛じゃない、ゴスペルなところ。愛と希望。世界は美しい、生きるって楽しい、ってワクワクしました。児童文学と同じ!!!藤井風と児童文学の共通点はこちら↓

jidobungaku.hatenablog.com

 

 

さて、昨日はめったに雪の降らない鎌倉も雪景色。雪って本当にいいですよねえ。すべてを包み込んで浄化してくれる気がして。寒いのにあたたかくて。

というわけで、2022年最初にご紹介するのは雪景色の中で読みたいコチラ!↓

 

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ムーミン谷の冬』(2011年)ヤンソン作 山室静訳 講談社

ムーミンは、どの巻から読んでも大丈夫なので、季節に合わせて読む楽しみがあるのもいいですよね。ムーミンの世界観って、五感にすごく訴えかけてくる。頭で理解するというよりも、感覚的な部分が多くて、読み終えた後、物語が心の中に残るんです。

 

今回、年末は家族で長野に行き、まさに雪景色を見ながら読んだのですが、これがよかった。読書って、体験したことのないものを、想像するワクワクがありますよね。それがいつしか憧れになって、実際に体験できたときの喜びといったら。ムーミン谷の冬の世界へ一気に入り込みました。

 

ムーミントロールたちは冬眠するので、冬の物語はいままでなかったんですね。ところが、今回ムーミンだけが、目覚めてしまう。初めて出合う世界、仲間たち。ムーミンの世界は広がります。

 

新しく出会う仲間たちがいるから、孤独ともちょっと違って、にぎやかなんです。でも、最初は心細いムーミン。だって、いつもの仲間たちは、みーんな眠りについてるわけですから。一人でしか出合えない景色がある、冒険がある。一人でしか出会えない人たちがいる。ムーミンが成長できたのは、普段、安心して守られていたからだと思うんですよね。

 

とっても、印象に残ったおしゃまさん(トゥーティッキ)の言葉を一つだけご紹介。

 

「どんなことでも、自分で見つけださなきゃいけないものよ。そうして、自分ひとりで、それをのりこえるんだわ」P.186

 

ムーミンが気にかけてが不安がっていたことがあって、先におしゃまさんが教えてくれていたら不安にならずにすんだのに、と言うムーミンに対して、おしゃまさんがかけた言葉なんです。ああ、私たち大人はよかれと思って、どれだけ先回りして子どもたちに色んなことを教えてしまうことか。そうそう、自分で見つけ出さなきゃいけないんだなあ。見守る、それって、相手に対する”信頼”ですよね。おしゃまさん、余計なことをしないのがいい!見習いたいです。

 

見習いたいといえば、もう一人!目覚めたときの、ムーミンママの素晴らしいこと。ああ、理想だなあ。こういう大人になりたいなあ。ムーミンママの言葉を聞くだけで、ほっこり、心がポカポカしてくる。

 

冬から春にかけて読みたい物語です。ぜひ!