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今日の一冊は、2022年中学生の部での読書感想文コンクール課題図書だったコチラ。
まず、表紙の美しさに目を奪われます。ああ、好きだなあ、この浜辺の美しさ。初めて見る海に、この物語に出てくる子どもたちはどれだけ感動したことだろう。じんとします。
内容は、ロサンゼルスの里親制度の問題点を描きたかったそう。そうかー。日本と比べると欧米は里親制度が発達していて、日本ほど血縁にこだわらないし、問題点がそんなにあるとは意外でした。でも、確かに短期留学のホームステイとかでも、お金のために受け入れて、家事を留学生にさせる家も少なくないと聞くので、あるあるなのかな。
物語はそれぞれの子どもたちの視点で描かれます。表面には出てこない、それぞれの心情が分かるから、端から見てるのと本人の心のうちにずいぶんとズレがあることが手に取るように分かるのがいい。自分は表面だけ見て判断してないかな?とハッとさせられます。
さて、物語に登場する子どもは4人。それぞれ個性的。
長女的なポジションのナヴェイアは、賢く大学に行きたいという野望を持って日々勉強をがんばりたいのですが、ヤングケアラー状態。ヴィックはADHDで妄想の中で生きてるし、小さなマーラーはスペイン語しか理解できない模様でとにかくおとなしい。そこへ、アスペルガーでなかなか難しいクエンティンが新たに里子として来たのだから、その大変さといったら。
養母さんがしっかりしていたらいいのですが、これまたヒドイ人ではないけれど、どうにも頼りなくて。夫を亡くし、鬱気味で仕事に追われてるから、結局見るに見かねて、ナヴェイアが色々と家事から子どもたちの世話からすることになってしまうのです。でも、いわゆる悪い人ではないから難しいんです。悪いんじゃなくて、どうにもこうにも疲れた人、悲しんでいる人なんです。
さて、そんな子どもたち4人がクエンティンの母探しの冒険の旅に出ることになるのですが、ときとして日常を飛び出すことは大事なんだなあ。日常が続くと、なかなか視点を変えられないけれど、旅に出て、ぶつかり合って、傷つけあって、逃げ場がなくて、向き合うしかない状態の中で、彼らは少しずつお互いに向き合っていくのです。そして、家族になっていく。向き合うって、痛みを伴いますよね。
家族って何だろう。そんなことを考えさせられます。
うーん、これはぜひ大人に読んでもらいたい物語。
とっても、いい物語でした!
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