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今日の一冊は、海辺にいますぐにでも行きたくなるコチラ。
2008年の小学校高学年の部の読書感想文コンクールの課題図書だったようです。
文字の大きさ的には、小学校中学年(or 中高年(笑))向きなので、逆に本好きの高学年の子からは敬遠されてしまうのではないか、という危惧もちょっぴり。
『ブルーバック』あらすじ
オーストラリアの人里離れた入江で母親のドラと暮らす少年エイベル。自然のめぐみだけが頼りのきびしい生活ながら、海の大好きな親子はみちたりた日々をおくっていた。入江にすむ巨大な青い魚ブルーバックと出会ってから、エイベルの日々はいっそう輝きを増す。やがてエイベルは都会の学校へ進学、故郷の海とブルーバックのすがたをいつも心にいだきながら、海洋生物学者となる。一方、母ドラがひとりで守る入江には、さまざまな災厄がふりかかる。暗礁を根こそぎにする漁師の出現。リゾート化計画。タンカーの座礁。やがてドラは海を救うために大きな決断をし、その志は息子のエイベルにひきつがれていく。オーストラリアの自然をこよなく愛する作者が、子どもから大人まですべての年齢層の読者に贈る、「海の不思議」と希望の物語。ボリンダ・オーディオブック賞、ウィルダネス・ソサエティ環境賞、WAYRBAホフマン児童文学賞受賞作。(BOOKデータベースより転載)
そういえばオーストラリアの児童文学ってほとんど読んだことがなかったかも。以前ご紹介したパトリシア・ライトソンくらい? ↓
こちらのティム・ウィントンさんも、オーストラリア国内ではとっても有名な方のようで、作品は次々と映像化もされているそう。うんうん、読んでいて映像が目に浮かぶもの。作者の海への思いがひしひしと伝わってきます。
私はとても好きな物語でした!ただ、淡々としているのと、描写が細かいわけではないので、海にあまり関りがない人にとっては物足りなさを感じるかもしれません(そんな感想をチラホラ見かけたので)。海の魅力、神秘に少しでも触れたことがある人なら“ああ、分かるっっっ!”“憧れる!”ってなると思うんですけどね。そういう意味では、物語って、ある意味独立してなりたっているものではなくて、他の人が書いたもので自分の心の中に残っているものや、自分自身の色んな体験と重なり合うことで、感じ入るものも変わってくるんだなあ、って改めて思いました。
例えば、この物語の主人公の先祖たちは鯨漁で暮らしていたと、さらっと書かれていたのですが、鯨漁といえばコチラ↓
こちらなんかを見ていたら、それがどんなに過酷なものか、そして鯨漁で家族を亡くすことがどんなにツライことかと想像を馳せると思うんです。でも、触れたことない人だったら、さーっと読み流しちゃいますよね。
本じゃなくても、実際の体験じゃなくてもいいと思うんです。何かということにはこだわらないけれど、どれだけ自分のセンサーが日ごろから働いているかで、受け取れるものが変わってくるのかな、って。
ところで、今回の物語に出てくるブルーバックというのは、メバルの種類らしい。見た目は決してかわいいとは……おっと、これは主観ですけどね。でも、イルカのように誰が見てもカワイイ!一緒に泳ぎたい!と思うような見た目ではないので、そこがなんだか新鮮でした。
自然と共存するとは?
田舎を離れる若者、年老いていく母。
自分の本当の望みって?
自分にとって本当に大切なものって?
大人が読むと、感じ入るものが多く、自分の生き方を問い直されたような気になりました。海を感じたい方はぜひ。