Pocket Garden ~今日の一冊~

大人も読みたい、大人こそ読みたい、大人のための児童文学の世界へご案内

2巻からが面白い!

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『サリーのえらぶ道』(2011年)エリザベス・オハラ作 もりうちすみこ訳 さえら書房

※毎週月曜・金曜のだいたい19時(本日大幅に遅れました💦)更新中!

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シリーズものって、1巻紹介したら2巻目以降はわざわざ紹介する必要ない気もする(需要がない?)のですが、1巻で止めてほしくないので、ご紹介(笑)。以前ご紹介したコチラの続きです↓

jidobungaku.hatenablog.com

 

成長物語って、2巻、3巻と巻を重ねるごとに面白くなっていくんですよねえ!

 

赤毛のアン』も個人的にはそうでした。2巻目以降が好き。夢見心地な少女時代はくすぐったさもあるけれど、だんだんとたくましく成長していくさまが、たまらなく興味深いんです。ちなみに、一番好きなのはアンシリーズらしくないともいえる『アンの娘リラ』だったなあ。

 

正直いうと、このサリーシリーズの1巻は、面白かったけれど、どこか既視感もあり。

でも、2巻目以降はアイルランドや時代の特色が出てきて、ぐんと面白くなってきたんです。だから、1巻でやめちゃったら、読まないのはモッタイナイ!

 

2巻では、田舎暮らしを理想化する文芸復興運動をしている都会人が、ホームステイにやってきます。客観的に見ると、微妙に色々とズレてるところが興味深い。報道カメラマンの見せたい構図に疑問を持たせられたり。

 

他の国の政治的なことなんて、全然興味持てなかったのに、大人になって、物語として読むと興味深いこと!

物語の力すごいなあ。そこにその時代に生きている人たちの顔が見えてくる。

 

田舎は牧歌的でモノはなくても幸せで……なんて思いがちだけれど、ここにも貧困は弱者を追い詰める。そんな中でも、母親の子どもへの限りない愛情には感動してしまう。ああ、この物語大好き。

 

 

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『サリーの愛する人』(2012年)エリザベス・オハラ作 もりうちすみこ訳 さえら書房

3巻では、舞台は都会(首都ダブリン)へと移ります。

サリーは家庭教師として雇われていることもあって、他のお手伝いさんとは別格扱い。

文芸復興の熱気。進歩的で刺激的な新しい上流階級の友人たち。揺れ動く恋心。

都会もいいなあ、って思います。

 

そんな中で、選択をせまられていくサリー。

ラストの選択は個人的には意外だったけれど、人生は選択の連続だから。

 

違う時代、違う文化なのに感情移入できることで、ちょっと世界が広がる。

文章は平易なので、小学校高学年からおススメですが、大人が読むと歴史的にも面白いので。2巻、3巻もぜひ!