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今日の一冊は、ほっこり心あたたまる低学年向けの物語。
清水真砂子さんの訳で、絵がルイス・スロボドキンときたら、そりゃ外れないでしょ、と児童文学好きな人なら思うかもしれません。ええ、そうでした!
最近の子たちは、展開の早いものや刺激の強いものに慣れているので、こういう地味な物語はどうなんだろうな。でも、こういうのこそ手渡したいな。
例えていうなら、コンソメスープみたいなんです。
派手な具材がたっぷり入ってるわけじゃないけれど、寒い日に飲むとじんわりじんわり身体がポカポカしてくるような、そんな物語。
刺激の強いものだけじゃ、胃が疲れちゃうから、そんなときに飲みたいスープみたい。
翻訳されたのは2016年ですが、は1963年に書かれているので、古き良き時代の素朴さがあるんですよねえ。
カルペパー一家は切り紙人形の一家。
人間が見ていないときに動きだす。こういう世界、知ってる子は強いんですよね。
何に強いって?
孤独になったとき。
ツラい思いをしたとき。
人間関係だけが世界じゃない、って知ってる子は、カルペパー一家のことなんかを想像できる。すると、ふっと気持ちが軽くなるんですよね。
だから、手渡したい。
クスッと笑えたり、人間から見たら大したことじゃなくても、切り紙の彼らにとっては大冒険だったり。
何よりも、互いを思い合う優しい気持ちにほっこりします。
この世でなによりも大事なものはなんなのか。
ほっこりした物語の中でさりげなく教えてくれるのもまたいいんだなあ。
寒くなってきた季節に、ポカポカ温まる物語をどうぞ。