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今日は、8月6日。私の父は広島出身なので、子どもの頃は毎年親族が集まり、広島に帰省していました。だから、広島は私にとって、思い入れの強い場所。
というわけで、本日は、『大人にも響く戦争児童文学特集』です。
以前ご紹介したものともかなり、かぶるのですが、良いものは、もう何度でも紹介しちゃう。
過去に学ぶというのは、過去にとどまることとは違って、とっても大事だと思うのです。“いま”をよりよく生きるために。過去を教訓として、迷いなく道を選ぶために。
本日の7選です ↓
- 1.『キジムナーkids』(2017年) 上原正三著 現代書館
- 2.『世界の果てのこどもたち』(2018年)中脇初枝著 講談社文庫
- 3.『アヴェ・マリアのヴァイオリン』(2015年)香川宣子著 角川文庫
- 4.『ヒトラーのむすめ』(2018年)ジャッキー・フレンチ著 さくまゆみこ訳 鈴木出版
- 5.『弟の戦争』(1995年)ロバート・ウェストール著 原田勝訳 徳間書店
- 6.『僕たちの砦』(2006年)エリザベス・レアード著 石谷尚子訳 評論社
- 7.『ベルリン1919 赤い水兵 上』(2020年)クラウス・コルドン著 酒寄進一訳 岩波少年文庫
あれ?ちょっと待って???広島の物語なくない?と思いました?
すみません、読んでいて胸が苦しいで終わってしまうものは避けました。無力感に打ちのめされてしまうから。どこか希望が残るもので選んだつもりです。
1.『キジムナーkids』(2017年) 上原正三著 現代書館
ウルトラマンシナリオライターの自伝的小説。終戦後の沖縄を舞台に、友情、冒険、別れなど、子どもたちがどう生き抜いたかをみずみずしく描いた物語です。
どんな困難にもめげない、子どもたちの生きる力に圧倒されます!そしてね、何がすごいって、沖縄の犠牲、“悲しみ”は描いていても、“憎しみ”に焦点を当ててないところなんです。沖縄の包容力に感動します。
2.『世界の果てのこどもたち』(2018年)中脇初枝著 講談社文庫
満州で友情を結び、終戦後は各々中国残留孤児、在日朝鮮人、戦争孤児となった3人の少女たちの人生を描いた物語。
満州での苦労、悲惨さがリアリティをもって迫ってきます(戦争を知らない世代の中脇さんが書いたことに驚き!)。極限の状態で、果たして自分ならどうしただろうと自問自答せずにはいられない。それでも、“人間の愛”を感じさせてくれる物語です。
3.『アヴェ・マリアのヴァイオリン』(2015年)香川宣子著 角川文庫
強制収容所で音楽隊だったユダヤ人少女ハンナのヴァイオリン。戦火をくぐり、数奇な運命に翻弄され、現代へとつながる感動の物語。
特に驚くのが板東俘虜収容所のエピソードなんです。実は、現代につながるところはそれほど……だったのですが、この板東俘虜収容所のエピソードを、物語を通じて、知ってもらいたくて。多文化共生の理想郷が、戦時中の日本に存在していたことに感動するんです!アウシュビッツのところは、読んでいて苦しいものの、希望の残る物語です。
4.『ヒトラーのむすめ』(2018年)ジャッキー・フレンチ著 さくまゆみこ訳 鈴木出版
それは、「お話ゲーム」から始まった。もしもヒットラーに娘がいたら?自分だったら、戦争を止められていた?
戦争を遠い昔のことではなく、現代の子たちにも、自分のこことして考えられるような構成が画期的!戦争の悲惨さよりも、自分だったらどうしていた?ということを常に問いかけてくる良書です。思わず、自分の知り合いも当てはめて考えてしまいます。今が戦時中なら、あの人はどう動くかな、自分の親族はどうかなって……。そういう意味でも貴重なタイプの物語。
5.『弟の戦争』(1995年)ロバート・ウェストール著 原田勝訳 徳間書店
湾岸戦争が始まった年の夏、心優しいイギリスの少年フィギスは、「自分はイラクの少年兵ラティーフだ」と突然言い始め……。
弟思いの兄が語る不思議な出来事。命に優劣などないと思っていた人も、フィギスにラティーフが憑依することで、実は無意識下ではあったかも、とハッとさせられるんです。短いのですが、衝撃的な物語。さすが、ウェストールだな。ウソがないから(裏を返すと大人のウソを描いているから)、子どもたちからの人気が高いというのも頷けます。
6.『僕たちの砦』(2006年)エリザベス・レアード著 石谷尚子訳 評論社
イスラエル占領下のパレスチナ。サッカーチャンピオンを夢見る少年が、過酷な生活の中でも、仲間たちとたくましく生きていく物語。
なぜ、テロが生まれ、テロリストたちが英雄視されるのか。ニュースからは伝わらない、パレスチナ側からの心情がよく分かる貴重な物語です。魅力的な大人もたくさん登場し、書き留めておきたい言葉もたくさん。非常に考えさせられます。
7.『ベルリン1919 赤い水兵 上』(2020年)クラウス・コルドン著 酒寄進一訳 岩波少年文庫
1919年、1933年、1945年のベルリン三部作の1作目。時代の転換期のリアルな空気感を、労働者一家の目線で描く。
なぜ歴史を学ばなければいけないのか、その答えがここにあります!なぜ人々はナチのような政権を確立させてしまうのか。決して他の国の出来事ではないと感じさせられる、大感動の3部作。長いので、躊躇してしまうかもしれませんが、コロナ禍でおかしな空気になっている今だからこそ、ひと夏かけて読みたいシリーズ。
いかがでしたでしょうか?
みなさまからのおススメもぜひお聞きしたいです。