Pocket Garden ~今日の一冊~

大人も読みたい、大人こそ読みたい、大人のための児童文学の世界へご案内

衝撃発言と小学生の心を救った漫画

とある日の片瀬海岸夕暮れ

「はあ、純粋な小学生演じるのもラクじゃないわぁ」

 

ある日、小4三男の口から飛び出した衝撃発言。

え、演じてたの!?!?……いや、知ってました。親の前ではひたすらかわいい末っ子だけど、外ではちょっと反抗的だったりするってこと(自分から告白もしてきたし)。クラスの盛り上げ役で、常におちゃらけてるポジションなものの、実はこわいくらい冷めた目で周りを見ていることも。クラスのみんなからは、悩みがない明るい子と思われてるけど、実は死んだらどうなるんだろう、何のために生きているんだろうとか、常々考えてる子だったんでした、三男は。

 

その衝撃発言時は、私たちは習いごとの帰りで、暗い夜道をてくてく並んで歩いていたんです。私は、この時間が好きで。三男とおしゃべりしながら歩く、この時間が楽しくて大好きなんです。と同時に、結構ドキッとするような発言があるのもこの時間。暗くて表情が見えなくて、並んで歩いているというシチュエーションが、普段しゃべらないようなことをしゃべらせる力があるのかもしれません。夜道マジック。

 

そんな三男が小3の春休みからハマった漫画がこちら。夜道で語りあったあれやこれやの疑問がこの漫画でずいぶんと腑に落ちたそう ↓

ブッダとシッタカブッダ小泉吉宏作 KADOKAWA

なつかしーーー!!!と思った方もいるのでは?

1990年代の終わりに大ヒットしたシリーズで、4コマ漫画のゆるキャラのブタさんが、分かりやすく仏教的なものの見方を教えてくれる傑作漫画。心を軽くしてくれたり、思い込みや偏見をとりのぞいてくれたりする、なかなかの内容なのです(Amazonでは試し読みもできるので、よかったら)。

 

確かに絵はゆるキャラだし、4コマ漫画だけれど、なぜかこれは大人向けだと思い込んでいたんですよねえ。なので、小学生に響くとは意外でした。三男が自分で図書館で見つけてきて、「お母さん!目からウロコな漫画見つけたの!お母さんも読んだほうがいいよ!」と大興奮で報告してきてくれたのです。これを読んだら、長年自分が抱いていた悩みや疑問がストンと腑に落ちたんですって。でも、母は既に読んだことあると知ったときは、ガッカリしてました笑。

 

小学生だって悩んでる。

小学生のほうが、ある意味過酷な人間関係にいるのかもしれないし、生きてる意味についてだって考えてる。

 

いままで三男が抱いてきた疑問の数々が、この漫画を読むことで“そうだったのかぁ”に変わったのでした。買ってほしいというので、シリーズセットで買いました。ちなみに三男と私のお気に入りは3巻。久々に私も読み返してみてびっくり。自分の考えがいかに、この漫画に影響されてきてたのかが改めて分かったのです。このものの見方にずいぶんと救われてきていたんだなあ、と。

 

でも、これって、日頃から自分の中に“問い”がないと響かないよな、とも思いました。大事なのは、“問い”を立てること。それが、AIにはできないこと、って先日受けたワークショップの講師の方もちょうどおっしゃっていたなあ。

 

根源的な問いを持ってる方、心が軽くなりたい方、おすすめです!

余談ですが、そんな三男が一番夢中になっている漫画は、こち亀(『こちら葛飾区亀有公園前派出所』)で、彼の知識の7割はこち亀の内容から出来上がっています笑。