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今日の一冊は科学エッセイ本のコチラ!
いやあ、面白かった。何度も言いますが、個人的に理系のものはすべて苦手で興味ないのです。が、これは面白かった!!!
というのも、2018年に鎌倉の由比ガ浜にクジラの赤ちゃんの死体が打ちあがったのですよ。夫と三男はチャリチャリ漕いで見に。まさか、あのクジラが国内初のシロナガスクジラの発見だったとは!そして、このクジラの胃からビニールの破片が発見されたことにより、神奈川県のプラスチックフリー宣言が出されていたとは、この本を読むまで、シラナカッター!
ただ一つ、出版社にモノ申したいのは、シロナガスクジラが座礁した場所が、文中ではしっかり鎌倉市由比ガ浜とあるのに、写真のキャプションでは江ノ島になってること。
江ノ島は藤沢市だから!由比ガ浜から江ノ島見えないから!鎌倉市民としては、ココ大事。それとも江ノ島だったのかな?と思ったけど、背景どう見ても谷戸だらけで鎌倉でしたから~(笑)。
とっても読みやすいです。内容は小学生でもいけると思うのですが、ルビふっていないので、そういう意味では、読書好きな子でなければ中学生以上かも。
国立科学博物館(科博)の研究員である田島木綿子さんが、とてもポップに語ってくれているので、まるでお友だちから“推し”の話を聞いている感覚に(笑)。魅力的な挿絵の力も大きい。
もうね、とにかく熱量がすんごいんです。だから、興味なくても惹きこまれるし、“へえ!”がいっぱい。
日本中のどこかしらで、毎日のようにクジラが座礁しているんですって。
驚きですよね。そして、自治体にゴミとして処理されないよう全国から研究者が駆け付ける。すぐに解体しないものは、砂浜の底に眠らせて、微生物に骨になるまで分解させるなんてこともしているそうで、自分が歩いている砂浜の下にクジラが眠ってることがあるかも、なんてびっくりですよね。壮大なロマンを感じます。あー、すぐにでも科博に行きたくなってきた!
最後に余談ですが、個人的なクジラの思い出を一つ。
私にとって、初の一人旅は大学生の頃行った冬の北海道でした。雪で止まった電車のところまで鹿が来てくれたり、ほかに誰も観光客がいない川を樹氷眺めながらカヌーで宿の人と一緒にくだったり。
ある日、これまた泊まり客が私しかいなかった宿の人と一緒にクロスカントリーで森を抜けたんですね。まるでL.L.Beanの表紙にでもなりそうな森。その森を抜けると、そこは海岸で、なんとクジラの死体が打ち上げられていたのです。半分以上、鳥たちに食べられ、骨がむき出しになっていたクジラ。北の果ての凍てつく海岸で、どんよりとした曇り空の下にあった死体。心の底から感動が沸き上がってきたんです。死を目の前にして、生を感じたとでもいうのか。言葉にならない感動。
ホエールウォッチングで見たクジラよりも、冬の北海道で見たクジラの死体のほうが、忘れられなくて。ずっとずっと脳裏に焼き付いています。
田島さんは、一つ一つの死体から聞こえるメッセージに耳を澄ます、と言います。私は、田島さんのようにそこから自然環境的なメッセージを受け取るわけではないけれど、それでも言語化できないメッセージはしっかと受け止めました。田島さんもおっしゃっていたように、こんな巨大な動物が、自分と同じ時代に生きている喜びに心が震えたのです。死と生。
興味がない方も、地球の生物の壮大さを感じれますので、ぜひ。