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奇想天外な旅本7選

旅が好き!

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久々に某紙面での選書をしたので、こちらでもご紹介。

今回は、“奇想天外な旅を追体験しよう!”をテーマに集めてみました。旅割なども出てきて、また旅に出かける人が増えてきてはいますが、“奇想天外な旅”となるとまた別。だから、Let’s 追体験

 

こちらのブログでも、以前それぞれの本はご紹介したことはあるのですが、まとめてみた編、です。

 

 

深夜特急1-香港・マカオ』(2020年) 沢木幸太郎著 新潮文庫

まずは、有名すぎるコチラ!

詳細な計画は立てずに、バスなどの陸路だけで、一人個人旅行でユーラシア大陸を旅した紀行小説で、文庫版は全6冊。1986年に発行されて以来、バックパッカーたちの間でバイブル的な存在となった1冊で、絶大な影響力を持ちましたよね。まだネットやスマホがなかった時代の旅は、スリル満点で一気読み間違いなし!朝まで読みふけったなあ。ネットやスマホを使わないというだけで、今の子から見たら奇想天外な旅になっちゃうんでしょう。当時も別の意味で、衝撃的だったけれど。年末年始に一気読みするにはぴったりのシリーズです。

 

『十五の夏』上下巻(2020年)佐藤優幻冬舎文庫 

元外務省主任分析官・佐藤優氏の十五歳の夏の思い出を書いた旅日記。ソ連・東欧を一人旅し、様々な人と出会った40日間の旅の記録。当時まだ冷戦下の社会主義国へ、十五歳で一人旅したことにまず驚きです!このブログでも、以前ものすごくオススメしたけれど、何度でもオススメしちゃいます(笑)。佐藤少年の目を通して見た馴染みのない国々は、もうとっても興味深くて。上下巻とも分厚くて、その分厚さにひるみそうになるのですが、読み進めると逆にその分厚さが嬉しくなるほど面白いんです!ぜひ。

 

『お嬢さん放浪記』(2018年)犬養道子著 角川文庫 

犬養毅元首相の孫である著者。まだ渡航すら難しい時代(1948年)に米国に留学し、サナトリウムで療養しながら起業して欧州へ渡る旅文学。とにかくスケールが大きく、家柄的にも一般人とは違う。そんな世間知らずのお嬢さんの行動力、生き方に我々は感嘆し、いま読んでも色褪せない面白さに魅了されます。刺激をもらえるとは、まさにこういう一冊。

 

『森と氷河と鯨 ワタリガラスの伝説を求めて』(2017年)星野道夫写真・文 文春文庫

ワタリガラス神話に魅せられた写真家・星野道夫が、神話に生きた時代の人たちと同じ目線で描く魂の旅の記録。たくさんの美しい写真とともに星野道夫の静謐であたたかな文章が、我々を神話の世界へと誘います。星野道夫さんの書いたものはどれも大好きなんですけど、個人的には神話の世界へと連れて行ってくれるこちらが特に好き。現代人に不足しているのは、こういう世界観だったのかと気付かされ、静かに感動するんです。

 

『そして、ぼくは旅に出た。はじまりの森 ノースウッズ』(2022年)大竹英洋著 文春文庫

大学4年時に見たオオカミの夢に導かれるように、憧れの写真家に会うため、カヌーで旅に出た冒険の記録。星野道夫氏の後継者ともいえる大竹氏。遠回りをしながら、自分の力で、憧れの人に会いに行く。そのまっすぐな気持ちに何度も心が洗われ、若い時に出合いたかった!と思った瑞々しい一冊です。こちらのブログでも、以前猛烈にオススメしましたが、いまでもその気持ちは変わりません(笑)。

 

オーパオーパ‼!モンゴル・中国篇 スリランカ篇』(1991年)  開高健集英社文庫 

魚を求め、アマゾン、アラスカ、カリフォルニア・カナダ、コスタリカを経て、モンゴル・中国、スリランカへ。シリーズ4巻の完結編。釣り好きにはたまらないのはもちろんのこと、釣りに全く興味のない人が読んでも、冒険心をかき立てられる傑作紀行文なんです(ええ、私自身は釣りには全く興味ありません)。個人ではなかなか巡れない秘境が楽しめるんですよねえ。これを読んで、大学時代の私はモンゴルへ行ったくらいです!

 

『世界の市場 おいしい!たのしい!24のまちでお買いもの』(2022年)マリヤ・バーハレワ著 アンナ・デスニツカヤ絵 岡根谷実里訳 河出書房新社 

最後にご紹介するのは、ちょっといま長い文章読めない!っていう方向きの絵本。世界12か国、24都市の市場を紹介してあるもので、なんと各国レシピ付き!眺めるだけでもワクワクする活気に満ちた市場たち。イスラエル、タイ、チリ、ヨーロッパ各国、ロシア、モロッコなどなど。家庭料理を通じ、人々の暮らしや地域の特性が見えてくる楽しい絵本です。市場好きだけど、スリが怖くてなかなか行けないとか、実際にはなかなか24の町もまわれないですよね。それが、できちゃうのがこの絵本です。ぜひ。