Pocket Garden ~今日の一冊~

大人も読みたい、大人こそ読みたい、大人のための児童文学の世界へご案内

書店員って実はこんなにも熱い

『店長がバカすぎて』(2021年)早見和真著 ハルキ文庫

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今日の一冊は、中高生くらいから楽しめそうなエンタメ小説。

 

ただね、児童文学に慣れ親しんでいると、久々に読んだ大人向けエンタメ小説は、ちょっと乱暴にすら感じてしまいました。うーん、主人公のお言葉遣いが悪くてビックリ。

 

そんなわけで、最初のほうが読むのがきつくてですね、もう読むのやめようかと思ったのですが、途中から面白くなってきたのは、書店&出版業界あるあるが書かれていたから。上司のこの救いようのないアホな感じも、何回も経験してきたなあ、と懐かしくなったりもして。

 

決して、児童文学のほうが素晴らしくて、大人の文学がよくないと言いたいわけじゃないんです(そう聞こえちゃうかもだけど)。でも、大人向け小説を読むと、改めてやっぱり児童文学って、丁寧だなあ、誠実だなあって実感するんですよね。言葉が平易な分、ごまかしが効かないというか。

 

ストーリーとしては面白いです。書店員って実はこんなにも熱い思いを抱えているのね!って驚くかもしれません。また、デビュー作はよいのにだんだんとこなれてしまって本当に本人は納得しているのかな、というような小説を出し続ける作家たちなども、ああ、いるよね、って。

 

確かに、働いていると、どうして世の中こんなにバカすぎる人ばっかりなんだろう、って思うときがいっぱいあるのも事実。でも、次から次へとそういうバカすぎる人たちを章立てて提示されれると、疲れてしまった。面白いけど、その面白さはエンタメ的であって、心の糧になるようなものじゃないのかもしれない。

 

なんて、ついつい児童文学と比較してしまって、反省なのですが、色んなタイプの本があるのはいいですよね。誠実なのばかりでも、疲れるときもあるかもしれないし。そんなときは、今回の1冊のような軽めのエンタメもオススメ。

 

児童文学が、じっくり味わいたい丁寧に愛情込めて作られた手作り菓子だとしたら、エンタメ小説は、友だちと一緒に話題にするには楽しいスナック菓子的なものかも。

書店員たちの熱い思いを知れるので、そういう意味でもよかったら。