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今日の1冊は、進路に迷う人たちに勧めたいコレ!
もうね、前々から友だちに勧められていたんです。でも、なかなか読む機会がなくて。
で、やっと読んでみたわけなんですが、もう途中でその友だちにメッセージしましたよね。
“教えてくれてありがとう!泣きながら読んでる!!!”
って。まだ、半分くらいしか読み終わっていなかったのに。途中でも、伝えられずにはいられなかった。
大竹英洋さんは、自然写真家。星野道夫さんを彷彿とさせます。
でも、誤解を恐れず言ってしまえば、星野さんほど文章も洗練されているわけでもなく、むしろぼくとつとした感じ。「です、ます調」も個人的にはちょっと苦手でした。
しかーーーーーーし。大竹さんの文章は、非常に素直というか等身大でまっすぐなんです。自分をかっこよく見せよう、大きく見せようだなんて、これっぽっちも思ってない。だから、心というか魂にまっすぐ届くんですね。
気付いたら、泣くような場面でもないところでも、泣きながら読んでいました。魂が呼応したとでもいうのか。
もうもう、心に響くところはいっぱいでしたが、私は特に大竹さんが憧れていた写真家のジム・ブランデンバーグに会えたところに胸打たれました。
あとはね、思いがけず一緒に過ごすことになった南極探検家のウィル・スティーガーの言葉。どうやったら探検家になれますか?と尋ねる子に対し、
Put your boots on, and start walking!(ブーツを履いて歩き出せ!)
というんですね。歩き出さないと何も始まらない。
これだけ、読んだら、まあ、そうよね、って感じかもしれなせんが、ここまで一緒に大竹さんと旅してきた読者にとっては、これが号泣もんのセリフなわけです。
進路に迷う人には読んでほしいなあ。夢に進むってことは、どういうことなのか、っていうこと。特別な人じゃなきゃなれないとかじゃなく、実は何かを成すのはとってもシンプルなことの積み重ね。まずは、歩き出さなきゃ始まらない、ってこと。
大竹さんはね、自然写真家になりたい、っていう夢も、不思議な夢に導かれているんですね。スピ系(スピリチュアルなもの大好き系統)の人なら、喜んじゃいそうなシチュエーション。でも、これも大竹さんにとっては半信半疑なわけです。こんな夢に導かれてここまできちゃうなんて変ですよね、って。そこが、また好感が持ててよいんだなあ。迷いもあるし、そんな大それたことをやってのけちゃうような人には見えない。
そんな大竹さん、もともと大学時代は、ジャーナリストになりたかったそうです。
それが、ワンダーフォーゲル部に入り、自然に触れることで変わっていきます。
新聞やニュースを見ていて、悲しい事件、変わらない政治、不安をあおる経済情勢を声高に叫ぶことに疑問を抱き始めるのです。
そもそもぼくが伝えたいと思うようなことは、「ニュース(NEWS)」、つまり「新しいこと」ではない。沢の水の美味しさも、野生動物の輝きも、星空の美しさも、いまこの瞬間に伝えなくては価値が消滅してしまうような情報ではありません。いってみれば、「ただ、いつも、そこにあるもの」にすぎないのです。
しかし、人と自然のつながりが見えにくくなったこの現代社会のなかでは、なんの変哲もないような自然のことこそ、伝えるべき価値があるものに思えてなりませんでした。(P.166)
んもぉーーーーー、大竹さん、あなたって人は。自分の価値観を押し付けるでもなく、どこまでも謙虚。
ここを読んだとき、以前TEDを見て衝撃だったセバスチャン・サルガドを思い出しました。サルガドは、以前有名な報道カメラマンでした。でも、そっちばかりにフォーカスしていた彼は、精神を病んでしまった。世の中の負の部分を伝えるのは大事かもしれない、でも、もっと大事なものがある。その後、彼は故郷に戻り、熱帯雨林を再生させて、自然写真家に転向するんですね。そして、彼自身も生き返る。
いま、私たちに必要なのは、そちらなのではないか。
ニュースを目にすれば、こわがらせるような内容ばかり。今日の感染者数、死亡者数。いやいや、だからこそ毎日笑って免疫あげるのが大事なのでは?こんなときだからこそ、センス・オブ・ワンダーを全開にすることが大事なのでは?そちらを伝えたい ↓
とーっても、素敵な本でした!誰かに贈りたくなる。
中高生にもぜひぜひ勧めたいと思う1冊でした。