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今日の一冊は、コチラ。明るい雰囲気も持ちながらも切なくなって、思わず涙する場面もありました。多分、誰でもある程度は経験してきたであろう葛藤、本当の自分を出しても受け入れてもらえるのだろうかという思春期の悩み。
この人の前なら自分をさらけ出せるのに、どうしてこちらの人の前では出せないんだろう、って思った思った。みんなに自分をさらけ出せたら楽なのに、って。
さて、ストーリ。
主人公のジェリーはクラス一のお調子者で、先生の物真似が得意。それで、笑いを取ってクラスの人気者なんです。明るくて、スポーツも万能で、今の子の言葉で言えば陽キャ。でも、本当は誰にも言えない悩みがあって、それを秘密のノートに綴っている。それが、トドのように太った自分の体型のこと。あるとき、自分のことを理解してくれると思える大人に出会って、彼女は自分をさらけ出す決意をします。
私、誰かをディスる(相手に敬意のない)物真似のお笑いって苦手なんです。演じてるほうにもちょっと切なさを感じるし、物真似されてる方は、一緒に笑ってはいても、決していい気持ちはしないだろうな、って思うからなんか見る気がおきない。あと自虐ネタも。この物語には、まさにそこも描かれていました。
思わず切なくなってしまったのは、ジェリーが男子から体型のことをからかわれたとき。彼女はあえて自虐ネタを言って笑い飛ばすんですね。そうすれば、彼女は“笑われてる”のではなく、“一緒に笑っている”から。笑われるくらいなら、一緒に笑ったほうがいい。顔で笑って、心で泣くピエロ。もうここが切なくて、切なくて。
それで、思い出しました。お笑いには詳しくないのですが、以前ニュースになっていたので知ったのは、ハリセンボンの近藤春菜が自分がマイケル・ムーア監督やシュレックに似てるという自虐ネタを来日中のアリアナ・グランデの前で披露したとき、アリアナは一切笑わなかったというエピソード。そして、近藤春菜に「似てないから、あなたはかわいい」と声をかけたというのです。
オリンピックのときも、ピックとピッグをかけて、渡辺直美を豚にして出すという演出が話題になりましたよね。そのとき、何人もの人が「彼女は芸人だからイジラれるのは歓迎なはず」のようなことを言う人がいました。でも、渡辺直美自身がそれをキッパリと否定するんですよね。あれ、よかったなあ。容姿イジリはもう古い。
https://www.newsweekjapan.jp/fujisaki/2021/03/post-6_1.php
ただ、個人的にはやっぱり学校の授業では、別に自分をさらけ出したくはないなあ、と思ってしまいました。ジェリーたちは国語の授業で『仮面』というテーマで詩を書くことになります。それは、つまり、みなに見せられない本当の自分の姿を書いて、発表するというもの。
うーん、信頼している人たちの前ではさらけ出したいけれど、なぜ先生や信頼してない友だちの前までも自分をさらけ出さなければいけないのか。ここだけはちょっと反発心を感じました。
その他にも、毒親に育てられたため、自己肯定感の低い母親問題なども盛り込まれていて、一気読み。
ジェリーは悩みも深かったけれど、ジェリーにノートがあってよかったな。
誰にも言えない思いをノートに綴るの、おすすめです。人は吐き出さないといけない。言葉にするだけでデトックスできる。すぐには自分をさらけ出すことはできないかもしれないけれど、でも、少なくとも秘密のノートにはさらけ出せる。
どんな自分をも押し込めないこと。ないものにしないこと。
ありのまま
そんな時代が来ているようです。
ジェリーが選択肢に関して、自分で出した結論もとても爽やかで、拍手したくなるラストでした!