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今日の一冊はこちら!
出版社の説明によるとこんな内容です↓
古代ローマ時代に世界各地に散り散りになったユダヤ人。住みついた土地の言葉や生活にとけこむうちに、知恵とユーモアに富んだ民話が生まれ、語りつがれてきました。本書は、各地のユダヤ民話、ユダヤ教の教えを伝えるたとえ話、創世記から紡ぎだされたお話など38編を収録。ユダヤ民話の多様な香りを伝えるオリジナル編集です。
これはねえ、ぜひ声に出して読むことをおススメします。
というのもですね、こちらを貸してくれた方に感想を聞いてみたら、
「うーん、まあ悪くはないけど、別にって感じかな」
だったんです。で、読み始めてみたところ、私はもともと民話好きなので面白いと感じるけれど、確かに少々大人には物足りないかも……?という感じでした。
ところが!!!ですよ。
三男(小3)に読み聞かせをし始めたらですね、なんということでしょう(←劇的ビフォーアフター風)、とたんに物語がイキイキとしてきたんです!目で読むのと、声に出して読むのではこんなにも印象が変わるのか、と驚きでした。印象も変わるし、自分の中にすーっと入ってくる度合いも明らかに違う。いやあ、びっくり。
民話ですからね、もともと口承のものですもんね。
1話目では、それよりも早くYouTube観たいなー、という素振りがみえみえだった三男も、2話目以降からは「次も」「次も」とせがむように。(母内心にやり)
ユダヤ人の人たちって世界中に散らばっているので、ユダヤ教色が濃いというよりも、その土地土地の文化と混ざり合った民話といった形でした。それも、面白い。ユーモアあるものから、ドキッとするものまであり。
例えば、『恐怖』というお話はたったの13行なんです(しかも最後の行は3文字だから、もはや12行)。
流行病があって、ある日長調に疫病神が出頭を命じられて話し合いを持つんですね。そこで、犠牲者の数を決めて、それ以上の数には手を出さないと約束するんです。ところが、フタをあければ、死者は約束の数の倍。これはいったいどうしたこと!?疫病神は答えます
「おれの手、つまり、流行病で死んだんじゃない。やつらが死んだのは、恐怖のせいだ」
!!!
『三羽のヒナ』という話も、うわー、厳しいなあ、って思いました。だってね、我が子でもちゃんと現実が見えてない子はふるい落としてしまうんです……残酷。でも、昔話とか民話ってこういう厳しい話多いんですよね。こういう短いお話を通して、人生の厳しさ、善悪を越えた人生の切り抜け方を教えてる。
しかし、どうして昔話ってどの国も同じようなものが存在するんだろう?と不思議だったんですよね。そんなとき、臨床心理学者の故河合隼雄さんが、昔話や神話は無意識の中でも集合的無意識に属するとおっしゃってるのを知って、ストンと腑に落ちたんです。無意識の中でも層があって、個人的無意識、さらにその下に深層心理としての集合的無意識がある。ここは、国や民族を超えて、人類全体に共通して存在するもの。昔話や神話はココ。なるほど!
昔話や民話ってね、さすが何千年も生き残ってきただけあります。頭では理解できなくても、それ自体に力がある。なんか、自分の中が整う(無意識下で)。頭で理解できるのは”意識”の部分ですもんね。だから、折に触れて読みたいな、って思います。