Pocket Garden ~今日の一冊~

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人間関係だけだとどうなるか

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養老孟司さんの『「将来の夢はYouTuber」の子どもたちに伝えたいこと』というコラムが、話題になっています(私の周りで)。

なので、今日は養老さんの本をご紹介!その前に、まずは記事の話から。原文はコチラ↓

blogos.com

 

 

■人間だけが世界じゃない

 いいなあ、養老さん好き。虫好きブレないなあ。

 

ステイホームで寂しがってる子どもたちに対し、 

 

だけど、あなたを取り巻く世界は友達や学校だけだろうか。

 

と語りかけます。そうそう!

仲間に会えない、部活できないのは確かに寂しいけれど、できないときは別の世界を楽しむっていうのもアリなんだけどな。読書するよもよし、自然の中へ行くもよし。

 

だけど、住宅街で周りに自然なんてないよ~、という方もいるかもしれません。でも、植木鉢一つでも立派な自然。ベランダ菜園だってできるし、虫はそこにも来てくれる。風を肌に感じることもできるし、上を見上げれば空が広がっている。それに、読書好きだったら、空想の中で大自然の中でもどこへでも出かけられますよね。

 

また、

 

世界は見方によって、「対人の世界」と「対物の世界」に大きく分かれています。「ひとりで寂しい」というのは、「対人の世界」の話のことです。

 

とも。人間関係だけの世界に生きてるから苦しくなっちゃう。それに、孤独のときにしか味わえない豊かな「対物の世界」があるんですよね。

 

YouTubeも見かた次第

 ただ、ちょっと待ちー!

養老さんの記事内で言われてるYouTuberは、正直ひと昔前のイメージのような気が......。いま色んな面白いYouTuberがいて、自己表現の手段としていいなあ、って思う今日この頃なんです。

 

例えば、DIY系は、自分の手で色々作れることを教えてくれて、刺激をくれる。バケツをドラムにして本格的な演奏してる人見れば、バケツでここまでできるんだという可能性を知り、自分たちでも試してみたり(←騒音発生で、リモートワークの夫は迷惑しておりましたが笑)。

 

中でも、我が家のお気に入りはサバイバル系!

森林の中で、ナイフ以外の道具を使わず(ロープですら)、家まで作れちゃうYouTuberなんかはもうスゴイですよ。それを見て、うちの子たちは山の中へ駆けていきましたもん(笑)。真似したくて実践したくて実践したくて。

 

また、あるときは、ひたすら魚をさばく動画を見て、俄然実物の魚をさばくことに興味を持ち始めまし、ソロキャンプのYouTuberさんなんかはほぼ会話なしで面白い。ソロ=一人キャンプなので、「あ、釣れた」「いただきます」くらいで、後は風の音、オールを漕ぐ水の音。人間関係なくても楽しめることを教えてくれるんですよー。

 

つまりは、見るものによるってことかな。画面にとどまってたらバーチャルのみに生きてて問題かもしれないけど、実践するきっかけになるのだったら素晴らしい。我が家の場合は、世界を広げてくれて、YouTuberさまさまなんです(笑)。

みなさんのおススメのYouTuberさんも教えてください♪

 

 

■人間以外の世界に目を向けると世界が変わる

 と、ついついYouTuber弁護に熱くなってしまいましたが、こちらは読書ブログでした(笑)。本題に移りますね。

 

 養老さんといえば、オススメしたいのがこちら↓

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『虫眼とアニ眼』(2008年)養老孟司宮崎駿 新潮文庫

 

虫好き養老孟司さんとアニメ好き宮崎駿さんの対談です。対談なので、小難しいことは何も書かれておらず、さらっと読みやすい。でも、書いてあることは今の人が失ってる視点で、コロナのことがある今こそ多くの人に知ってほしい視点。それは、つまり人間以外の世界に目を向ける大切さ、です。

 

例えば、都会の特徴として、「人のせいにする」というところは、今のコロナ禍でおかしくなっていってる人達と重なります。人間関係のみの都会では、すぐ責任問題になる、追求したがる。でも、自然の中にいると、これが「仕方ない」という感覚になるというから面白い!

 

また、今回の休校中、公立の学校の先生たちの“待ち”の姿勢もかなり気になったのですが、人間関係だけを考えてるから、学校が始まらないことには動けない、となってしまうのではないかな、と思いました。

今だからこそできる「学び」がいっぱいあるはずなのにね。

 

養老さんが学校の先生たちの研修で一緒に船に乗ったときの話も、すごく考えさせられます。過去記事に詳しく書いたのでどうぞ↓

 

blog.goo.ne.jp

 

生きる力なんて、子どもははじめから持っている。それをわざわざ、ああでもない、こうでもないと、ていねいに殺しているのが、大人。

 

という強烈な言葉……大人は反省です。

ちなみに月曜日から、ようやく分散登校再開。休校前は、普通に学校楽しんでいたので、再開で歓喜かと思いきや……、休校中の自由で豊かな時間がなくなるので、ガッカリしている我が家の子どもたちです。

 

■入り口はさまざま:子どもは勝手に伸びる

 

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『虫捕る子だけが生き残るー「脳化社会」の子どもたちに未来はあるのか』(2008年)養老孟司池田清彦奥本大三郎 小学館


さて、そんな養老孟司さんも参加している過激なタイトルの対談集『虫捕る子だけが生き残る』(←こちらも読みやすい!こちらもおススメ)。これを読んでから、子どもたちが虫好きになるといいなあと願っていたのですが、我が家の場合はそれほどではありませんでした。普通にカブトムシやクワガタ捕まえて飼ったりするのは好きだけれど、夢中になるほどではないというか。

 

ところが。

最近、小6次男がコンプレックス折り紙(超複雑系折り紙)というものにハマってるのですが、折り紙で昆虫を折り始めたら、俄然ホンモノの虫への興味も湧いてきたのです。実物がないときは、図鑑を引っ張り出してきて、構造を眺めてる(動物しかり)。

例えばこんな感じのものです↓

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『秀麗な折り紙』(2017年)山口真編 ナツメ社

 

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不切、一枚折り

一方、私の場合は、物語が好きなので、『シャーロットのおくりもの』を読んで以来、蜘蛛を見る目がすっかり変わってしまいました。気持ち悪いと思っていた卵のうも、感動に変わったから驚き。↓

 

blog.goo.ne.jp

 

入り口は色さまざま。本人の好きに任せてたら、色んな入り口からつながるんだなあ。

 

与えるよりも、大人はもっと子どもが勝手に伸びる力を信じるといいんだな、と改めて実感しました。