暑い!今日の一冊は、もっと暑いインドから。
暑くて読書する気が起きない、とにかく簡単で直ぐに読めて、それでいてちょっと考えさせられる内容のものをお探しでしたら、おススメはコチラ!
【ポイント】
・短い
・字が大きい(←アラフォー以上にも優しい笑)
・異文化を体験できる
・自分だったら?と考えさせられる
・環境問題について考えさせられる
・読んだ後自分も何か努力したくなる
大好き!鈴木出版の海外児童文学、この地球を生きる子どもシリーズです!
ミタリ・パーキンスは、同じシリーズから他にも同じく短編の『リキシャ★ガール』や、ちょっと長めだったらこちらも出しています↓
『タイガーボーイ』あらすじ
学校で一番成績がよいニールは、地域でトップになって奨学金を勝ち取り、インドの大都会の私立中学校に進むことを校長先生から期待されている。けれど、算数だけは苦手で、どうしても気が入らない。それよりも友だちと泳いだり遊びたいし、何よりも大好きな家族や生まれ育った島から離れて、大都会へなんて行きたくない。そんなある日、保護区からトラの子が逃げ出したというニュースがとどき、島じゅうでトラの子探しがはじまる。島の成金グプタがブラックマーケットにこっそり売るためにトラの子を狙っていると知ったニールは、なんとかしてグプタたちよりも先にトラを見つけ、レンジャーに手渡すために奔走する。
善人、悪人が分かりやすくて、ちょっとステレオタイプかな?とも感じたのですが、でも、インドって実際こんな感じなんですよねえ。漫画に描いたかのような人間関係。
大人が読むと、二―ルの父親の葛藤が我がことのように感じます。
子どもの未来を自分の貧しさのせいで潰したくない!そのためには、時には信条を曲げてでも汚い仕事に手を出すべきか否か......。これ、さらっと書かれていますが、本当に親として悩み苦しんだだろうなあ。
■人生にはお金よりもだいじなことがたくさんある!
これは、ニールの叫びです。お金のためにグプタの手下になった父さんに対して、こう叫んだのです。
そんなニールと姉のルパの毅然とした態度に、目が覚めるわけなのですが、それもそういう子たちに今まで育ててきたからこそ、なんですよね。どれだけ二―ルとルパが父親のことを誇りに思って入るか。決して物質的には豊かではない生活の中で、本当に大切なものを教え続けてきた父。
ふと、現代日本社会で、ニールの父親のように尊敬されている父親がどれだけいるだろう、と考えこんでしまいました。みなお父さん大好きだろうし、それなりに尊敬もしているとは思うけれど......。ニールたちの暮らしや家族関係と比べて、何かが欠けているような気がしてしまうのです。
■動機づけがあればエンジンは自然とかかる!
そして、もう一つ大切なことをこの物語は教えてくれます。
どんなに才能があろうとも、モーチベーションがなければ、人は気が入らないんですよねえ。
では、一体どうしたら、やる気スイッチは入るのか?
今やる気がなければ、現状維持ではスイッチ入らないのは当然ですよね。
スイッチを入れてくれるのは、やっぱり新しい人との出会いだったり、視野が広がるできごととの出会いだったりするんですよねえ。そして、それらは行動することによってしか得られない。ニールの場合は、レンジャーとの出会いだった。
大事なのは世界を広げること。
違う角度から物事を見てみること。
最初は、いけ好かないパワハラ、モラハラ気味かと思われた校長先生も、実は志の高い人だったことが分かってホッとしました。
そして、ほとんど描かれていないけれど、ニールの姉ルパがとっても気になりました。ルパは勉強したくてしたくてたまらないんですよね。でも田舎の貧しい女子だから諦めなければならなくて、チャンスがあるのにつかみ取ろうとしない弟にイラつく。
ルパ側からの物語も読んでみたいと思いました。
やる気でない、動機づけないなあ、と思ったら、とにかく何か行動してみる!人と出会い視野を広げるために。そう思わせてくれる物語でした。