Pocket Garden ~今日の一冊~

大人も読みたい、大人こそ読みたい、大人のための児童文学の世界へご案内

黄金コンビ!老人&子どもの物語

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老人と子どもの相性ってホント抜群!

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今日は、某紙10月号に紹介した『老人&子どもの物語』7選です。

 

本当は9月に掲載予定で、敬老の日があるので、このテーマにしたのですが、10月掲載になっちゃいました。

 

老人と子どもって、ホント黄金コンビですよね!児童文学にはこの黄金コンビの物語がいっぱい。ここに掲載してないものでも、ご紹介したいものがいーっぱいあったのですが、この紙面では以前掲載したものや品切れ・絶版状態のものは掲載しないことから、このようなラインアップになりました。では、どうぞ!

 

 

①『ヨーンじいちゃん』

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『ヨーンじいちゃん』(1985年)ペーター・ヘルトリング著 上田真而子訳 偕成社

河合隼雄氏も絶賛していたこちらの物語にでてくるおじいちゃんは、まあ頑固者でユニーク。このおじいちゃんを引き取ることになり、ハラハラの毎日を送る家族の絆の物語です。

 

もうヨーンじいちゃんってば偏屈すぎて。一緒に暮らすのは、大変だなあ、としみじみ。でもね、老醜も含めて、人間っていいな、愛おしいな、と思わせてくれる物語なんです。強烈な性格のヨーンじいちゃんに振り回され、時に家族は根をあげそうになるけれど、笑いあり、涙ありで、最後には愛さずにはいられないんです。

 

 

②『おじいちゃんの口笛』

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『おじいちゃんの口笛』(1995年)ウルフ・スタルク著 菱木晃子訳 ほるぷ出版

こちらは長めの絵本。老人ホームに住む孤独な老人と、二人の少年たちが出会い、本物の祖父と孫のようになっていく物語です。

 

北欧を代表する現代児童文学作家スタルク特有の、ちょっとシニカルでユーモアある文章が、大人にも響くんですよねえ。血のつながりに関係なく、老人と子どもはお互いに必要な存在なのだと実感し、ホロリ。

 

 

③『おやすみなさいトムさん』

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『おやすみなさいトムさん』(1991年)ミシェル・マゴリアン著 中村妙子訳 評論社

個人的に大好きな物語。イギリスではドラマ化もされてるくらい、愛されている物語で、隠れた名作!

 

戦時下、気難しい孤独な老人トムのもとに、内気な少年ウィリーが疎開してきます。親からの虐待など、読んでいて苦しい場面もあるものの、ウィリーの成長と気難しい老人トムの優しさに胸打たれ、人を信じたくなります。読み応えある一冊。

 

 

④『川の少年』

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『川の少年』(2003年)ティム・ボウラー著 入江真佐子訳 早川書房

死期を悟った祖父の最後の願いを叶えるため、家族で祖父の故郷の川へ。孫娘のジェスはそこで不思議な少年と出会い……。

 

幻想的かつ詩的な文章で、魂は時空を超えるということを、ごく自然に受け入れさせてくれる物語。頑固な老人と唯一心を通わせられる孫娘が、二人の運命を大きく変えていきます。カーネギー賞受賞作。

 

 

⑤『ダーウィンと出会った夏』

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ダーウィンと出会った夏』(2011年)ジャクリーン・ケリー著 斎藤倫子訳 ほるぷ出版

舞台は1899年、新世紀を目前にしたテキサス。祖父の共同研究者となった少女が、科学の面白さに目覚めていく物語で、理系が苦手な人でも面白く読める一冊。

 

孫たちから近寄り語りと思われていた祖父が、”科学”という共通点から、孫娘キャルパーニアとだけは心を通わせるのですが、その対等な関係が清々しい!

 

 

⑥『ナゲキバト』

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『ナゲキバト』(2006年)ラリー・バークダル著 片岡しのぶ訳 あすなろ書房

もうね、これまた隠れた名作!

両親を事故で亡くし、祖父に引き取られた少年が、人はいかに生きるべきかを祖父から学び、成長していく物語です。

 

希望を失いそうになったとき、”人はやり直せる”とこの物語は教えてくれます。淡々と進行していくのですが、祖父の言葉の一つ一つに重みがあり、静かに、深く、魂に響くんです。最後に明かされる秘密にも揺さぶられます。

 

 

⑦『ペーパーボーイ』

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『ペーパーボーイ』(2016年)ヴィンス・ヴォ―ター著 原田勝訳 岩波書店

吃音に悩む主人公の少年は、夏休み友人の代わりに新聞配達の仕事をすることに。そこで出会った人々によって成長していく、爽やかな物語。

 

新しい出会いや経験って、必ず人を成長させますよね。少年に多面的に物事を見ることを教えてくれる博識な老人スピロさん。もうこのスピロさんがいいんですー!!!その含蓄のある言葉の数々には気づきが多く、大人としても見習いたいなと思わされます。

20世紀のマンチェスターへひとっ飛び

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『がんばれウィリー』(1977年)ジリアン・エイブリ作 松野正子訳 岩波書店

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週2回更新すると決めたものの、途方にくれる日もあります。そう、それが今日。

 

色んな本を何冊か並行読みしているのですが、本日読み終わってる本がない!(=ブログが書けない!)こういうときは、たまに過去に読んだ本の中からテーマリストにしてまとめたりもしてるのですが、実はリストにまとめるのも通常以上に時間がかかるんです。

 

というわけで、本日はリストではなく、過去に読んでまだ感想を書いてなかった本を掘り起こしたいと思います。

 

しかし、感想ってね、やっぱりフレッシュなうちに書かないとダメだなあ、って。勢いというか鮮度が大事。よかった!と思った本でも、時間がたつと、なんとなく紹介しなくてもいっか……ってなってしまうんですよね(私だけかもしれませんが)。

 

というわけで、今日の掘り起こし本は上記写真のコチラ。

 

個人的に、1970年代、80年代に岩波書店から出ている児童文学ってすっごく好きなんです。骨太で、はずれがなくて。

実家の本棚に並んでいた本(いまは我が家にお引越し)は、両親がお互いの記念日に贈り合っていたものでこの70年代、80年代岩波のハードカバー児童文学が結構ありまして。その背表紙を眺めながら育ってきたわけなのですが、なぜか(表紙が地味だったからかも)大人になるまで見向きもしなかったものが多かったんです。家にある本より、学校の図書室から借りてくるほうが当時はワクワクしたんですよね。

 

なので、大人になってから、こんなお宝が家に眠っていたとは!!!という感じでした。

 

んー、まあ、絶版ですよね。これは、マイナー過ぎて、図書館でも置いてるところは少なさそうです。広く支持を受けないと生き残るのは難しいでしょう。だから、これを読んだときも絶版やむを得ないな、と正直思いました。

 

だからこその出合えたときのレア感(笑)。いや、なんていうんでしょう、何度も何度も言いますが、絶版になるからといってその物語に価値がないわけじゃない。

 

この『がんばれウィリー』に出てくる父親は、なんていうかひと昔前の父親で、親の価値観子どもに押し付けまくりで、一歩間違えれば毒親にもなりかねない。けれど、時代にはあっていて子どもも別に不満じゃないし、幸せ。この空気感は、物語じゃないと分からないなあ。

 

そう、空気感!この物語を読むと、20世紀初め、ヴィクトリア女王時代のイギリス工業都市マンチェスターの街並みが手に取るように分かるんです。まるで、そこをたずねているみたい。人々もなんだか顔なじみのような気すらしてくるから不思議。

 

だからね、思うんです。その時代を知りたかったら、事実の文献読むだけじゃなく、やっぱり物語を読まなくっちゃ。世界史学ぶなら、その時代を描いた物語もあわせて読むといいなあ、って。

 

つくづく、本はタイムマシーンだなあ、って思います。

それを味わえただけでも、この本読めてよかったな、と思いました。



本棚どうしてる?おススメはこちら!

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今日は本そのもののご紹介ではなく、おススメの本棚のご紹介です!

 

みなさん本棚どうしてます?

溜まっていく本どうしてますか?

 

この二つの質問よく聞かれるんです。

なので、今日は我が家が愛用している本棚をご紹介。

 

我が家が愛用しているのは、えこふ市場のフリーボックスです↓

shop.ecoff.org

本箱にも使えるというだけで、別に本箱専用ではありません。これが、とおーっても使い勝手がいいんです。

 

一番最初の写真は8年前(しかもすんごいピンボケ笑)。

わー、子どもたちみんなまだ小さい!かわいい!(←親バカ)

ちなみにこの写真のときから、どんどんどんどんボックスは増えて行ってます。

 

このフリーボックスが気に入ってるポイントは

  1. ヒノキの香りがよく、湿気に強い!
  2. 端材(廃材)を再利用している→商品のためにわざわざ木を切っていない
  3. 知的障害者の方の雇用をしている
  4. 少しずつ増やせたり、動かせたりとフレキシブル
  5. お値段がびっくりするくらい安い!!!

 

と、まあたくさんあるんです。

 

中でも、4番目は私にとってはポイント高い。

自分が幼い頃、転勤族の家族に育った影響からか、あまり定住という概念が私にはないんですね。また、今暮らしている家でも、子どもたちが大きくなればライフスタイルも変わるし、なるべく固定の家具は置きたくないんです。その点、こちらのボックスはいかようにも重ねたり、移動させたりができて楽しいんです。季節本ボックスを作ってお気に入りの場所に移動させたり。ボックスで区切られてるから、テーマごとにもまとめたり、入れ替えもしやすい。1階から2階への移動もホイホイだし、耐久性の面で推奨はされてないけど、クッション置いてベンチ替わりもできます。

 

ただ、こちらのボックス、サイズが決まっています。オーダーメイドで少し小さめサイズも作ってもらったこともありましたが、ずっと文庫本専用の薄型も欲しかったんですよね。薄型って圧迫感ないから。なので、それは夫にDIYで作成してもらいました↓

 

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うん、夫がんばった。頼んでから着手までに約1年たってたけどね……制作期間じゃなくて、材料買ってから着手までの期間ね……(私のストレスをご想像ください笑)。

 

で、夫には申し訳ないけれど、DIYしてもらって、ますますえこふボックスの威力を知りました(笑)。

 

私たちが住んでいる鎌倉は、とにかく湿気がすごいんです。もうね、革靴とかいい靴からカビてくるし、夏は扉のカビ拭くのが日課

 

なのになのに、えこふボックスったら、全然平気。夫作は……うん、日課が課せられる(笑)。

 

絵本棚(マガジンラック)もとてもよくて、一つ愛用しています↓

shop.ecoff.org

 

ほかにも折り畳みテーブルやベンチなど、色々あります。あ、回し者とかじゃないですからね。純粋に、とってもおススメなのでご紹介しました!

 

 

自分の中を整えたいときおススメなのは?

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『お静かに、父が昼寝をしております ユダヤの民話』(2015年)母袋夏生訳 岩波書店

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出版社の説明によるとこんな内容です↓

古代ローマ時代に世界各地に散り散りになったユダヤ人。住みついた土地の言葉や生活にとけこむうちに、知恵とユーモアに富んだ民話が生まれ、語りつがれてきました。本書は、各地のユダヤ民話、ユダヤ教の教えを伝えるたとえ話、創世記から紡ぎだされたお話など38編を収録。ユダヤ民話の多様な香りを伝えるオリジナル編集です。

 

これはねえ、ぜひ声に出して読むことをおススメします。

 

というのもですね、こちらを貸してくれた方に感想を聞いてみたら、

「うーん、まあ悪くはないけど、別にって感じかな」

だったんです。で、読み始めてみたところ、私はもともと民話好きなので面白いと感じるけれど、確かに少々大人には物足りないかも……?という感じでした。

 

ところが!!!ですよ。

三男(小3)に読み聞かせをし始めたらですね、なんということでしょう(←劇的ビフォーアフター風)、とたんに物語がイキイキとしてきたんです!目で読むのと、声に出して読むのではこんなにも印象が変わるのか、と驚きでした。印象も変わるし、自分の中にすーっと入ってくる度合いも明らかに違う。いやあ、びっくり。

 

民話ですからね、もともと口承のものですもんね。

 

1話目では、それよりも早くYouTube観たいなー、という素振りがみえみえだった三男も、2話目以降からは「次も」「次も」とせがむように。(母内心にやり)

 

ユダヤ人の人たちって世界中に散らばっているので、ユダヤ教色が濃いというよりも、その土地土地の文化と混ざり合った民話といった形でした。それも、面白い。ユーモアあるものから、ドキッとするものまであり。

 

例えば、『恐怖』というお話はたったの13行なんです(しかも最後の行は3文字だから、もはや12行)。

流行病があって、ある日長調に疫病神が出頭を命じられて話し合いを持つんですね。そこで、犠牲者の数を決めて、それ以上の数には手を出さないと約束するんです。ところが、フタをあければ、死者は約束の数の倍。これはいったいどうしたこと!?疫病神は答えます

 

「おれの手、つまり、流行病で死んだんじゃない。やつらが死んだのは、恐怖のせいだ」

 

!!!

 

『三羽のヒナ』という話も、うわー、厳しいなあ、って思いました。だってね、我が子でもちゃんと現実が見えてない子はふるい落としてしまうんです……残酷。でも、昔話とか民話ってこういう厳しい話多いんですよね。こういう短いお話を通して、人生の厳しさ、善悪を越えた人生の切り抜け方を教えてる。

 

しかし、どうして昔話ってどの国も同じようなものが存在するんだろう?と不思議だったんですよね。そんなとき、臨床心理学者の故河合隼雄さんが、昔話や神話は無意識の中でも集合的無意識に属するとおっしゃってるのを知って、ストンと腑に落ちたんです。無意識の中でも層があって、個人的無意識、さらにその下に深層心理としての集合的無意識がある。ここは、国や民族を超えて、人類全体に共通して存在するもの。昔話や神話はココ。なるほど!

 

昔話や民話ってね、さすが何千年も生き残ってきただけあります。頭では理解できなくても、それ自体に力がある。なんか、自分の中が整う(無意識下で)。頭で理解できるのは”意識”の部分ですもんね。だから、折に触れて読みたいな、って思います。

目をこらせば糸口が

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『ブロード街の12日間』(2014年)デボラ・ホプキンソン著 千葉茂樹訳 あすなろ書房

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今日の一冊はこちら!

周りからいいよ、いいよ、と勧められていたのに、なぜか殺人事件の話だと勘違いして読んでこなかった私。いやいや、感染症の話でした。ああ、もっと早く読んでおけばよかったなー、とも思ったけれど、今のコロナ禍の時代だからこそ身に染みるものもあり、いま読めてよかったなあ、と思う一冊でした!

 

2015年の中学生の部の課題図書だったようですが、小学校高学年からもじゅうぶん楽しめます。

 

『ブロード街の12日間』あらすじ

ひとり目の犠牲者は、仕立て屋のグリッグスさん。すさまじいスピードで、それは街をおおいつくした。夏の終わり、だれもが震えあがる「青い恐怖」が、ロンドンの下町ブロード街に、やってきた…!タイムリミットは4日間!街を守るため、13歳の少年イールが奔走する!ビクトリア女王治世下のロンドン。様々な病気の原因がまだ明らかになっていなかった時代に、状況証拠だけを重ね、「青い恐怖」と恐れられたコレラの真実に迫る「医学探偵」ジョン・スノウ博士。その助手を務める少年の視点から描かれた、友情、淡い初恋、悪党との対決もちりばめられたスリル満点の物語。

(BOOKデータベースより転載)

 

面白かったー!面白いというと語弊がありますね。とっても、興味深いお話でした!

フィクションで、主人公の少年イールは創作ですが、鍵となる人物たちジョン・スノウ博士やヘンリー・ホワイトヘッド牧師は実在の人物で史実をもとに書かれているので、とてもリアリティがあります。当時の街の景色、淀んだ空気やひどい匂いまでくっきり浮かび上がってくる。

 

それにしても、読んでいて思ったのは、疑問を持つことの大切さ、自分の目で見て確かめることの大切さ。

 

コレラがまだ空気感染だと思われていた時代に、異説を唱えるスノウ博士。みんながそうだと信じているときに、別の説を唱えるのって、ホントに勇気がいりますよね。自分の信頼や地位(仕事)も失ってしまうかもしれない。信じてくれない周りを説得するためには、もう一つ一つ足でまわって、ひたすら証拠を集めるしかないんです。ここで、主人公のイールが大活躍するわけです。

 

きっと、いまのコロナやマスクやワクチンで感染防ぐ説も、数十年後には、まったく違う説で説明されているんだろうな……。そんなことも思いました。メディアやネット情報を鵜呑みにするのではなく、目をしっかり開いて、自分で確かめよう。改めてそう思いました。

 

もう一つ、いつも理系絡みの児童文学で感動させられるのが、本当に研究が好きな人は肩書にこだわらないってところ。無学であろうと、貧乏であろうと、洞察力のある子、自分で疑問を持てる子は助手に抜擢する。ここに、すごく感動してしまうのです。

ダーウィンと出会った夏』も、『ベルさんとぼく』も、『海辺の宝もの』もそうだったなあ。学問への姿勢って、これよね!って。受験でふるい落とされるものじゃない。

 

そして、今回もやはり“私ならどうする?”を突き付けられました。

これだけ人々を恐怖に陥れた“青い恐怖(コレラ)”ですが、それでも看病する人たちが必ずいるんです。自分もうつるかもしれないのに。それでも、死体に敬意を持って運ぶ人がいるんです。ここ、心動かされました。自分ならできたかな?そう問わずにはいられない。

 

コロナに感染したら、周りに謝罪するいまの社会。周りからの非難の目の方がコワイいまの社会。この物語の時代は、感染したら周りは同情し、心配し、自分は何か助けになるかを考えていた。医学は今よりも未熟で、それを考えるといまよりも不安は大きいはずなのに、他の人のために動けた当時の人たち。

 

考えさせられます。

 

ちなみに、この物語はこちらのノンフィクションからインスピレーションを得て書かれたそう。こちらも読みたいな↓

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『感染地図:歴史を変えた道の病原体』(2017年)スティーヴン・ジョンソン著 矢野真千子訳 河出書房

 

重いテーマのように思えますが、それよりも社会的弱者でありながら、自分で人生を切り開いていくイールの清々しさが印象的な物語。児童文学らしい、希望に満ち溢れた終わり方も素敵ですので、ぜひ。

 

 

あなたのためだけの選書いたします!

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ターシャ・テューダをイメージした花束だそうです♪

 

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いつも読んでくださっている方、今日偶然このブログにたどり着いてくださった方、ありがとうございます!

 

なんとですねー、今日は私の誕生日なんです(←それが、どうした)

 

というわけで、日頃の感謝の気持ちを込めて、誕生日企画をしたいと思います!

題して、

 

《 あなたのためだけに選書します!企画 》

 

わー、パチパチパチパチ。

 

ご希望の方に、あなたのためだけに数冊本を選び、ご紹介します!

〇歳の方向け、とか、〇〇な人向け、じゃありません。

まさに“あなた個人のため”だけの選書。

少しでも、あなたのことを知ってから選んだほうが、よりよいものをご紹介できるかと思い、アンケートを送らせていただいて、それに基づいて心をこめて選書させていただきますね。あ、無料です、ご質問があったので。

 

以前、ワークショップをしたときなどに、この“あなたのためだけの選書”を何度かさせていただいていて、とっても喜んでいただいていた企画です。が、これねー、実はとーっても労力がかかるんです。めちゃくちゃ真剣に選んでるから。だから、やめちゃったんです。

 

でもね、そろそろ“ください”ばかりでなく、与えるほうの側にまわりたいな、って。

それを強く思わせてくれたのが、いまドハマり中の藤井風くんの『帰ろう』という曲の歌詞を聞いてなんですけどね、ええ(24歳の風くんに影響されまくりのアラフィフ)。

 

大人のための児童文学サイトなので、児童文学中心(たまに違うのも入る)の選書になります。少しでも、みなさまの心に響くものがお届けできれば嬉しいです。

 

ご希望の方は、下記メールアドレスまで今週末9月19日(日)までに直接ご連絡ください。面識ない方、はじめてましての方ももちろん大歓迎です。

 

otsujishino★gmail.com (←★を@に変換してください)

 

思い返せば、2016年2月にgooブログから始め、Wixブログを経て、はてなブログで継続中の、『Pocket Garden 大人のための児童文学』。最初は、誰が読んでくれるんだろうと思いながら、それでも埋もれている魅力的な本を紹介したい一心で書き続けてきました。

 

2020年の5月半ばからは、毎週月曜・金曜に更新する!と決めて、時には吐きそうな気持になりながら(←大げさ)続けてきました。

 

続いたのは、読んでくださるみなさまがいたからです。ありがとうございます!

これからも、よろしくお願いいたします。

 

 

ことばはハントするものだ!

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『ことばハンター 国語辞典はこうつくる』(2019年)飯間浩明著 ポプラ社

※毎週月曜・金曜の19時~21時の間に更新中!

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どうも。

藤井風のアリーナツアー(有料)が当選して、ウッキウキな私です。

当選メール見て、思わずガッツポーズしましたもんね。

思春期真っただ中の高1長男のスポンサーとして、長男と一緒に行ってきまーす!

公演中止にならないよう、日頃の行いよくしなくっちゃなー。まずは夫に対する態度を改めよう、美容強化月間突入だわ、などと思い始めました(笑)。

藤井風、確実に家庭の平和に貢献しとる(笑)。

 

そんな話はさておき、本の紹介ですね。

今日の一冊は、中1次男が夏休み中に読んだ本の冊数を稼ぐため(←おいっ)に読んだ一冊。小学生中学年からさらりと読めちゃいます。

 

国語辞典編纂者の、ことばを探して街をかけまわる奮闘記、お仕事ノンフィクションです。

 

とーっても読みやすいし、興味深い!

 

いやね、何か言葉の意味を子どもから聞かれると、「まずは辞書で調べてごらん」と言いません?私も言っちゃうんですけど、実は私自身があまり辞書を引いてこなかったタイプでして。大事だ、ってことは重々承知してるんです。でも、どうしても面白いと思えなくて……。どうせそんなに引かないんだから、新しい辞書買うのなんてモッタイナイなー、くらいに正直なところ思ってました。

 

が、この本を読んで、その考えが変わりました!
面白いではないか、辞書!!!

そして、最新なものを買ってあげたい。そう思えたんです。

 

「やばい」も「ガチ」も「ハンパない」も実は全部、国語辞典に載っているんですって。びっくり。

 

そうですよね、言葉の意味って、時代と共に変化してますもんね。

そして、その変化がここ数年早いこと早いこと。

 

どうやって、辞書の編纂者がそういう言葉を知るかというと、本を読んで勉強するんじゃないんです。実際の言葉をよーく観察する。新聞、雑誌、、漫画や小説、テレビにインターネット。それだけじゃない。街の中へワードハンティングに行く。だから、ことばハンター。

 

ことばって、ホント面白い。

そう感じさせてくれる本でした!