Pocket Garden ~今日の一冊~

大人も読みたい、大人こそ読みたい、大人のための児童文学の世界へご案内

関連本で広がる世界

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『セント・ギルダの子』(2020年)ベス・ウォーターズ文・絵 原田勝訳 岩波書店

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(できるだけ19時ジャスト更新!ムリだったら、21時までに更新笑)

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今日は21時までに更新できず、すみません。子どもたちにPC占領されてました!

(←え、誰も待ってないって笑!?)

 

さてさて、今日の一冊は絵本です。

そう!前回ご紹介したこちらで、がぜん興味がわいたセント・ギルダ諸島についての絵本。前回の記事はこちら↓

jidobungaku.hatenablog.com

 

なぜ、こんなほぼ不毛で過酷な土地に人は住み続けたがるのか興味があったんですよね。住めば都とはいうけれど、あまりにも過酷なんだもの。

 

『世界のはての少年』を読んで、もちろんすぐにセント・キルダ諸島を画像検索したのですが、いやあ、版画の力のほうがやっぱり迫ってきますね。1930年を最後にすべての人が移住して無人島と化したセント・キルダ諸島(現在は、世界遺産に登録)。

 

木すら生えないような厳しい土地で、何にも物がなくても、友だちが限定されていても、子どもたちは遊び飽きることがなかったし、島を去るとき大人たちは船の甲板からずっと島を見送った。

 

幸せって、なんだろう……。

淡々と描かれた絵本なのに、考えさせられてしまった。

ひとつの文化が消えていった歴史と背表紙にあったけれど、こういうことを絵本や物語という形で残すことにすごく大きな意義を感じます。

 

関連する本を読んでいくと世界が広がりますね!

関連本を読もうと思うのは、大人ならではの読書の楽しみ方なのかもしれません。

人間というものについて考えさせられる本

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『世界のはての少年』(2019年)ジェラルディン・マコックラン著 杉田七重訳 東京創元社

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今日の一冊は、ぜひ文庫本にしてもらいたい!!!と思う一冊でした。

だってね、いきなりお値段の話で申し訳ないけれど、税込3,080円って、正直なかなか手が出ないですよね。図書館でも、届いてほしい人たちはハードカバーだと手を伸ばさないかもしれない。大人にも手に取ってもらいたいから、はいっ、文庫化希望。

 

で、内容ですが、サバイバルものなのですが、極限に置かれたときの人間というものがよく分かり、“自分だったら?”と問わずにはいられない物語なんです。サバイバルの技術そのものにも目を見張りますが、それ以上に心理的なものが、ハラハラの緊迫感。

 

舞台は、1727年の夏、スコットランドセント・キルダ諸島。

海鳥を捕獲するために、毎年その無人島に9人の少年たち+大人3人が渡るんですけどね、この年はなんと迎えが来なかったのです!

 

わけの分からない少年たち+大人3人。

一体みんなどうしたんだろうか?

世界が終わってしまって、自分たちだけが気づかれずにこの世に残ってしまったの???

 

何が、ゾッとするって、彼らがいるのは海の孤島じゃないんです。

目の前に島だって見えるし、船さえあればすぐにでも帰れる距離。手を伸ばそうと思えばつかめそうなのにつかめないという状況が、余計に苦しいんです。

 

迎えに来ない理由が分からないって、とてつもない不安ですよね。いくらでも悪い方向に考えられる。聖書でいわれている終末かもしれない。

そんな状況でも、意地悪な子はますます意地悪に楽しみを見出すし、卑怯な人間はますます卑怯になるのが、もうね……。平常時にはそれなりに立派に見えていた大人も、自暴自棄になったり。

 

大人の文学だったら、もっと希望がなく、もっと人間のどろどろした部分を描き出すのでしょうが、そこは児童文学。甘さはなくとも、どろどろの一歩手前のところで止めておいてくれるので、絶望にはつながらないでいられます。そこがよい!

手前といっても、人間の持ついやらしさもちゃんと描いてるので、ああはなりたくないと考えさせられます。

 

さて、そんな過酷な状況の中、主人公クイリアムはいかにして、希望を持ち続け、仲間を励まし続けられたのか。

 

その秘訣は……妄想力!

想像力ですね。ただ、彼の一番の支えとなっていたのは、片思いで好きだった女の子と妄想の中で会話をしていたことなので、妄想力とあえて言いたい。これねえ、本当に力を持つんですよ。ばかにできない。

 

そして、もう一つは……物語自体が持つ力の大きさ!

人には物語が必要なんだな、ということもよく分かります。

 

ところで、なぜ船は来なかったのか。

 

私自身の予想は、悲しいかな、当たってしまったけれど、現実はもっとひどかった。この物語は、実話に基づいているのですが、実話はもっと悲しい結末とというから驚きです。

 

人間というものについて考えさせられる物語です。

 

 

 

 

高校最後で出合った、人生の転機となった本

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『ヘヤー・インディアンとその世界』(1989年)原ひろこ著 平凡社

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卒業シーズンですね。

知ってる子はもちろんのこと、知らない子たちでも集団でいるのを見ると、なんだか感慨深くなります。あー、節目、節目の期限があるから人生って輝くんだよなあ。

 

さて、そんな今日は、高校生の終わりの頃、私の人生を変えちゃった(というと大げさかな。大きな影響を与えた)本をご紹介!

 

高校生までの私は、物語や小説以外の本はほとんど読んだ記憶がないんですよね。

エッセイとかノンフィクションを読み始めたのは大学生になってからだったような。

 

物語以外で読んだのは、シスターの渡辺和子さん、アリの町のマリアこと北原怜子さん、ゼノ神父とか、家にあったキリスト教関係くらいしか記憶にない(母はプロテスタントのクリスチャンだったのに、なぜかカトリックの人の本ばかり)。

特に、北原怜子さんはもう大好きで大好きで、でも、周りで知ってる人はいなくて、誰とも分かち合えなかったなあ。

 

そんな高校生当時の私が初めて出合った学術書が、今日の一冊『ヘヤー・インディアンとその世界』だったのです。

 

もうね、なんて、面白いの!!!!

 

なに!?この、めくるめく世界!!!

 

その頃、私はもう既に大学が決まっていたのですが、これ読んだとき「しまった!」と思ったのです。専攻、文化人類学にしておけばよかったーーーーーー、って大後悔。

 

幸い、行った大学は学科間専攻が柔軟だったので、違う学科の科目も取れて。最終的には卒論も文化人類学の先生につけたのですが、この本に出合ってなかったら、全然違う方向に行ってたかも。

 

この本はですね、いままでの自分の興味の答え合わせみたいなものでした。

 

思い返せば、より自然と密着した物語が好きだったんです。

赤毛のアン』よりも、『大草原の小さな家』シリーズ派。

アニメだったら、無人島暮らしの『ふしぎ島のフローネ』(←年齢がバレる)。

より原始的なものに惹かれた。でも、それらは西欧的価値観に基づく開拓精神だから、そこにはネイティブの世界観はなくて。はじめて、ネイティブの世界観に触れたのが、この本だったのです。

 

フィールドワークなるものを初めて知ったのもこの本から。

もうねえ、読みながら、ゾクゾクしてきたんです!

これが、知的好奇心っていうもの!?これから、大学でこういうものが学べると思うと、いやあ言葉にできない興奮でいっぱいになりました。

 

急に世界が広がり、地に足がついたような気がしたのです。求めてたものに出合えたーって。初めて知る世界観だけど、“そう、そう、そう、そう!”って、昔から知っていたかのように感じる。当たり前で、自然な世界観。”生きてる”という実感。

 

最近になってから、どうしてももう一度読みたくて、メルカリからお迎えしてみたのですが(絶版なので)、読み返してびっくり。案外お硬い内容だったんです。高校生だった私、これ面白いと思ったんだー、って。めくるめくワンダーランドみたいな印象だけが残っていたから(笑)。

 

みなさんの、人生の転機になった本ってなんですか?

よかったら、教えてください♪

 

日本人には関係ない?いや!

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『オール・アメリカン・ボーイズ』(2020年)ジェイソン・レイノルズ ブレンダン・カイリー共著 中野怜奈訳 偕成社

 

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今日の一冊は、黒人差別がテーマのこちら。

 

最初にこの本を目にしたのは、ジュンク堂書店さん。

朱色のこの表紙が、ずらーっと平台に並んでたんです。

目立つ!気になる!

 

いやあ、思い切ったなあ、ジュンク堂さん(いや、偕成社さんのほうかな?)

本気度を感じました。

 

BLM(Black Lives Matter)が話題になっていたとはいえ、重いテーマだし、日本人には遠い話題。目立つ展開しないと、手に取ってもらえないですよね。

 

正直、もっとほかに考えるべきテーマあるよね、と思う人も多いかもしれない。だって、日本では黒人差別は遠い話題ですもんね。

 

でもねえ、やっぱりおススメしたい。

読めば分かるんです、あれ?無関係じゃない!?ってことが。レベルの差こそあれど、自分の身の周りでも似たようなこと起きてないかな?と考えさせられるんです。

 

私ね、ひそかにショックだったことがあるんです。白人警察官によるアフリカ系アメリカ人への偏見からの残虐行為がニュースで取り上げられたとき、知り合いが、Facebookにとある投稿をしていたんです。それは、黒人警察による残虐行為も多い、白人だけが取り上げられて騒がれるのは、逆差別なんじゃないか、ってこと。黒人による犯罪率の多さのデータも同時に掲載されていて。

 

ああああ、でもね、数字だけでは背景は見えてこない。

何がショックって、知り合いがそういう認識だったこと。

アメリカの社会のシステムを分かりやすく示したアクティビティ動画があるのですが、とにかく、まずは見てほしい!↓

www.youtube.com

 

号泣。そもそもスタートラインが違うんですね……。ああ、そこ、忘れがち。

 

さて、本に話を戻しますと、この本が特徴的なのは、作者が二人いることなんです。

黒人側、白人側、それぞれの立場から心情を描いているので、そんなに白黒はっきりつけられるような簡単な問題じゃないということが、よーく伝わってくるんです。内面にまで一体化して追体験できるのは、読書ならでは、ですよね。

 

“差別はよくない”

 

90%以上の人が、普通にそう思っているんじゃないでしょうか。無意識の差別はあるかもしれないけれど、少なくともそれがよくないことは分かってる。

でもね、ここに出てくる白人少年クインの立場で読むと、そう簡単じゃないことも痛感できる。差別に加担しなくても、反対の立場を表明しないことは、やっぱり加担しているということがよーく分かるんです。

 

個人的には、被害者の複雑な気持ちも印象的でした。

そっとしておいてほしい気持ち。被害者である自分を差別反対運動のアイコンとして利用しないでほしいという思い。ああ、これ忘れがち。

 

とても読みやすく、一気読みでした。

 

不正が行われているときに中立であろうとするならば、抑圧する側に立つのを選んだことになる 

 

文中にあった、人権活動家デズモンド・ツツの言葉が残ります。

手渡さないと、読まれない類の本なので、ぜひぜひ何かの機会があれば手渡してほしいです!

 

 

おすすめ本屋さんのYouTube!

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他の買い物に行っても、気づくと本屋さんに入っちゃう笑!

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明るい気分になりたい今日は、最近ハマっている本屋さんの面白い動画をご紹介!

 

神奈川県を中心に展開している、有隣堂さん。

当然みなさんご存知かと思っていたら、全国区ではなかったのですね(←神奈川県民勘違いあるある)。

 

有隣堂さんって、一見普通の大型一般書店なんですけど、なかなかユニークなんです。

もう20数年前になりますが、有隣堂さん主催のツアーに参加したことがあって。それが、

 

マタギと行く白神山地ツアー!

 

もうね、このとき山の中で焚火で食べた、天然舞茸の味が忘れられない~。

 

道なき道(けものみち)を行ったのですが、当時の私はついていくのが必死で。マタギの人も、有隣堂の人もある意味ツアーガイドじゃないから、どんどん先行っちゃって、振り返ってもくれない(笑)。ちょっとでも足滑らせたら、崖から落ちて誰にも気づかれず私ここで死ぬのかあ~、なんて思いながらついて行った思い出。楽しかった!

 

そんな有隣堂さんのYouTubeチャンネルが話題だというじゃないですか。

さっそく見てみたら……はい、ハマりました(笑)!

 

最初のほうは、本の紹介などをまじめにしていた有隣堂さんですが、途中からブッコローという有隣堂マスコットがMCとして登場するのですが、このブッコローが最高なのですよ!!!

毒のあるツッコミ、正直すぎる感想(Amazonでよくない?とか笑)。それをものともせず、淡々と自分の信じるものを話続ける書店員さんたちが、もう最高で。変に盛り上げようとかしていなくて、ひたすら好きなものについて語る。たとえ、それが有隣堂に置いていなくても(笑)。

 

いくつかご紹介しますね。

 

これ見たら、ネットで検索より国語辞典見たいと思っちゃう↓

www.youtube.com

 

J-POPを古文訳にするハイトーンボイス清少納言ことアルバイトで、4月から学校の先生になる折橋先生も最高!いいなあ、こんな先生。古文が楽しくなること間違いなし!↓

www.youtube.com

 

有隣堂さんは本だけでなく、文具も置いてあるのですが、いやあ、文具バイヤーの岡崎さんの淡々とした口調にハマってる私。これ見て思わずガラスペン買いました。ブッコローのおすすめ通り、まずはネットで(笑)。2本目は買いに行きます、はい。↓

www.youtube.com

 

みんなに受け入れられなくても、飲食事業推進課の長谷部さんも、我が道いってて素敵。レ・ミゼの司教のスープ、微妙なのね(笑)。でも、あまりの簡単さにやってみようかなという気になる↓

www.youtube.com

 

さらには、もう、どこに需要があるのか。でも、つい見ちゃう『夜の書店徘徊』の巻↓

www.youtube.com

 

この方たちに会いに、有隣堂に行きたくなっちゃいます。

好きな道にまっすぐっていい!楽しいっていい!

 

有隣堂さん、これからも、動画楽しみにしています!

チャンネル登録して待機してます♪

知ってるもう読んだ、と言わずにもう一度

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『モモ』(1976年)ミヒャエル・エンデ作 大島かおり訳 岩波書店

 

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今日の一冊は過去記事から。

有名すぎる一冊だから私が紹介しなくてもいいとは思うけれど、いま一度、いまこそ自分自身にも言い聞かせたくて。

昔読んだなあという方も、ぜひいま一度!↓

blog.goo.ne.jp

 

今年は、ドラマやNHKの“100分で名著”の影響もあって、各書店で『モモ』がすごく売れたそうです。

 

通常新刊書店に置いてある本たちは、取次と呼ばれるところに返本できるという制度があるんですけど、岩波書店出版の本ってね、買い切りなんです。

だから、一般書店はあまり売れない児童書はリスクが高く入れたがらないんですよね。

そんな中、『モモ』がたくさん出たことが嬉しい!

 

これは、大人こそ読みたい一冊。

いま必要な一冊。

 

私事ですが、とある出来事があって、色々な課題が自分に与えられたなあ、と思う今日この頃なのですが、そのうちの一つが“傾聴”なんです。

 

私自身が子育て暗黒期を経験しているせいか、特に子どもの不登校がらみの相談を受けることがまま多くて。あまりの多さに、世の中不登校のほうが普通なんじゃないか?と錯覚してしまうくらい。

 

そんなとき、なるべく、自分の価値観を押し付けないよう、相手の話をただ聞くように心がけてはいるけれど……でも、ダメだったんです。

相手が子どもを否定しはじめたら、“違う!変わるのは母のほう!”って、つい言っちゃうんです。

いや、これも、価値観の押しつけですよね。

そして、その論理でいったら、変わるのは相談相手じゃなくて、私のほうですよね。

 

自分は他者への想像力が、ままあるほうかと勘違いしていたけれど、全然足りなかった。

 

傾聴って本当に難しい。

相手をそのまま受け止めるって、想像以上に難しい。

 

傾聴を真剣に学びたくて、調べてみたんですけど、“聞く技術”系ばかりが出てきてしまって。もちろん、技術も必要なんでしょうけれど、なんか違うと思ってしまうんです。

どなたか、“傾聴”に関して、おススメの本があったら、ぜひぜひ教えてください!!!

 

ああ、モモのようになりたい。

灰色の男たち(スマホという説も)の言いなりになって失った、“感じる力”を取り戻したい。

 

まずは、未来のために今を生きるのではなく、今ココを味わうところから。

 

慰めを必要としている人に

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『あの世のこと』(2017年)鈴木秀子著 宝島社

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気持ちの整理ができない出来事がおき、本当は今日はブログはお休みしようかと思ったんです。

 

でも、これは全ての人に訪れること。

関係ない人は誰一人としていないので、このタイミングで出合った本を今日はご紹介したいと思います。

 

死んだら人はどうなるのか?

 

著者自身、臨死体験をし、また色んな方の例がたくさん書かれています。とてもシンプルな語り口で、難しいことは何も書いてないので、中高生からおススメです。

 

私の母は何年も前に既に他界していて、そのときに不思議な出来事というか、肉体はすでにこの世にない母からのメッセージをいくつか受け取ったんですよね。死んでも人は終わりじゃない、と思ってはいたけれど、それらの出来事から、あらためて確信しました。

 

でも。

それを分かってはいても、そのときが訪れるたびの喪失感や寂しさは、やっぱりあるんです。受け入れるのに時間が必要。

 

ましてや、納得のいかない最後だと、“怒り”の感情までが湧きおこってきます。

 

誰かのせいにしたい。

何かに怒りをぶつけたい。

気持ちの整理がつかない。

 

つぎは自責の念。

 

楽観視してた自分のバカ!

もっと何かできたはずなのに、って。

 

そんなとき、以前父が置いていって手に取っていなかった本が今日の一冊だったんです。このタイミングで読むように決められていたんですね。

 

内容はシンプルすぎるくらいなので、物足りないと思う人もいるかもしれません。

でも、憔悴していると、涙でかすんで文字もよく目に入ってこないんです。

このくらいがいい。

 

著者はシスターなので、キリスト教の言語で書かれがちではありますが、臨死体験や書かれていることは宗教は関係ありません。

 

全ての人、どんな最後でも、どんな人生を歩んだとしても、悪人ですら、すべての人は光に帰れる。

 

表紙帯に書かれているとおり、死の瞬間、誰もがすべてから赦され、愛されてることを知る。すべてはつながり、誰も孤独になりえない。

 

”誰もが”、です!

 

残された者は、これ読んで慰められ、救われると思います。

どうか慰めを必要としている人に届きますように……。