Pocket Garden ~今日の一冊~

大人も読みたい、大人こそ読みたい、大人のための児童文学の世界へご案内

本を巡る旅 ~岡山編~

アートな無人駅 宇野駅

今日ご紹介するのはこちらの3つ

1.Machikado&ココカ古書店

本屋に泊まってみたい。いままでも、新宿、池袋などいまは閉店してしまったBOOKホテルと呼ばれるところにも泊まってきました。それらは、都会でスタイリッシュな感じでしたが、今回のお宿はまさにバックパッカー宿!旅人のための宿!しかも、今回はひとり旅だったので、久々に家族のことを忘れて(いや、忘れてはいないけど笑)学生時代に戻ったかのような気分で行って参りました。

 

町にある古民家がMachikadoさん

Machikadoさんはこんな感じの古民家。受付は、宿から歩いて2分ほどのところにあるココカ古書店にて。店内暗かったから、気付かず通り過ぎてました笑。

夜に通ったから気づかなかった

まあ、もう、このココカ古書店さんが、私の好みドンピシャだったわけなんです。だってね、出してるのは米粉鯛焼きに豆乳チャイラテ。香川でうどん食べてきたのに、別腹別腹、ともちろん注文しました!

米粉の理由は、海外から来たヴィーガンの人も楽しめるようにですって。素敵。

 

ココカ古書店さんは、営業時間が14時から23時(バー営業)という変わった書店さん。古書店なのですが、いわゆる積みあがった茶色い本の数々、というのではなく、新古書店って感じでした。頭では、古書の魅力が分かりつつ、手にすると古すぎる本が苦手にとって、新古書は嬉しい(最近すぐ品切れ重版未定になっちゃう本多いし)。ひと箱本棚制度もあって、各棚のオーナーさんと話したくなるようなラインナップでした。

 

ソロ活好きですが、一人でカウンターでお酒飲む勇気はまだない

暖簾の”向こう側”ってなんだかワクワクしますよね

向こう側にはこんな空間が

 

さらにコチラ、受付時に、希望者は“読書漬け”というのに申し込むと、ココカさんで5冊好きな本を宿まで持ち帰れるんです。宿にも本はいっぱいあるんですけど、系統もちょっと違うので、泊まる方は“読書漬け”はぜひぜひ!!!魅力的な本が多すぎて、5冊に絞るの難しかったー。1泊だけだし、既に夜だし読む時間がないこともあって、選んだのはコチラの5冊↓

 

受付を済ませ、宿に戻ってして、スタッフの方とちょっとおしゃべり。旅先の中央アジアで店主と出会ったという青年や若い女性スタッフとのおしゃべり楽しかったなあ。熱入れて児童文学について語っちゃった笑。

共有スペースのキッチンにも本がいっぱい

 

部屋は個室と迷ったけれど、このシーズンオフ、お客さんほかにいないだろうと読んで1泊3,300円のドミトリーへ。宿のスタッフから見たら私は謎のミドルエイジだっただろうな笑。なぜこの時期に一人で......訳アリ?って笑。

清潔感のある空間です!

カプセルホテル式ですが、とっても清潔で、穴倉みたいで楽しい。一人しかいないから、畳に座って、本読んだり、体操までできちゃうというね笑。他にアメリカ人とフランス人の旅人がいましたが、個室と男女兼用ドミのほうにいたので、同じ部屋にはならず。キッチンでちょっとおしゃべりしました。こういう宿は、出会いが楽しいんだなあ。

 

ただ一つだけ、残念だったのは、せっかく“読み潰し”で気に入った本があって買いたくても買えなかったこと。朝スタッフに会うこともなく、ココカ古書店のほうもしまっているので、お互いにとってチャンスロス。次回は買えるようにしてほしいなあ。

 

古民家なので、床はきしむし、昔の階段なので狭くて急だし、トイレやシャワーはうん、あれですが、それでも和の美しさがあるから古くても居心地がいい。次回は、ここからアートの直島へ行ってみたいなあ。とっても、オススメです!

triptorich.com

 

2.蟲文庫

さて、翌日は、宇野港から船に乗りたい気持ちを抑え、いざ倉敷へ。行ってみたかったのは蟲文庫さん。

この趣たるや!

ああ、倉敷楽しい。街並みは美しいし、クラフトの町で歩いてるだけで楽しい。そんな美しい街並みの一角に蟲文庫さんはあり、こちらは、THE☆古書店という佇まいでした。入りづらい雰囲気、気軽に店主に声をかけづらい雰囲気。通常だとそういうの嫌なのですが、こちらに関しては、もうこれぞ古書店の王道すぎて、そのままでいてー!と言いたくなりました笑(←何目線)。

 

私が訪ねたときは、思ったよりも蟲関連の本はなく(古書店なので、一期一会ですよね)、こちらを連れ帰ることに↓

ちょうどこちらの映画版をお友だちから勧められていたところでした

 

本当は店主さんの書いた本を連れ帰りたかったのですが、どこにあるのかよく分からずで買えず。蟲文庫さんの詳細はコチラ↓

mushi-bunko.com

 

ほかにも寄りたい個性派書店さんたくさんあったのですが、今回は時間的に断念。ああ、特に『つづきの絵本屋』さんには行きたかったなあ。

 

3.スロウな本屋

で、最後に向かったのは、岡山といえばココ!というくらい行きたかったスロウな本屋さんです。

開業までの日記拝見してたので、訪ねられて感慨深い

さすが新幹線がとまる駅岡山。駅前の都会っぷりにびっくりです笑。え?本当にここから徒歩15分でスロウな本屋さんがあるの???こんな都会に?

 

歩けども、歩けども、目印の消防署が出てこない。本当にあってる?と不安になる(あってました)。思った以上に歩きます。本当にこんなところにあるの?(ありました笑)。

ビルの谷間の路地ここを進んでいくと...

看板が見えてくる!間違いない!

 

憧れのスロウな本屋さん!一軒家って、入るのに緊張するー。ドキドキでガラガラと扉をあけます。店主の方と色々お話ししたいのに、意識しすぎると人見知り発動する私、だまーって本棚を眺めます笑。ああ、押し入れが本棚になってるのって、それだけでワクワクするなあ。

 

この秘密基地感よ

子どもの本のセレクトが素晴らしいのはもちろんのこと、大人向けの本も興味深いものだらけでした。ちなみに今回連れ帰ったのはこちら↓

 

真ん中の本は、岡山大学文化人類学の准教授の松村圭一郎氏が故郷熊本について書いた、というのが目に留まり追加。誕生日が近い、熊本愛の強い友人の顔が思い出されたので。お聞きしたところ、作者の教授がお近くにお住まいなんだそうで、サイン本でした。関東じゃなくて、ここでこの本に出合えたのがなんだか嬉しかったなあ。

 

そんなこんなでお会計時に、やっと話す勇気を出した私なのでした。やっぱり私のように県外からいらっしゃる方も多いそう。近くに脇明子先生が代表をされている“岡山子どもの本の会”があることもあって、その会合帰りに寄られる方も多いんだとか。“岡山子どもの本の会”は会報がとても勉強になる、と県外の方もたくさん入会されてるそうです(神奈川住みの児童文学仲間も確かに入会してる)。

 

ところで、そもそも私がスロウな本屋さんを知ったきっかけは、鳥取の子ども文庫Pippi&Lotta(ここもまた素敵なんです!)のお嬢さんがスロウな本屋さんで“今月のふくてんちょー”をしたという投稿を見たことでした。わあ、なんて楽しそうなんだろう!とそのときに思って。

www.facebook.com


“今月のふくてんちょー”とは、小学生が1か月間スロウな本屋さんの副店長として、自分の好きなイチオシ岩波少年文庫を紹介するというもの。ポスターやPOPなんかも自分で作るのですが、これがみなさん個性あふれていて面白い!こちらの“営業日誌”から見れます↓

slowbooks.jp

 

応募資格は、岩波少年文庫を読み聞かせではなく、自力で1冊以上読んだことのある小学生。なんと、リモートワーク可能だそうですよ!岡山じゃない子も、関東の子も応募可能。自分が紹介したことによって、同世代の子たちが興味を持って読んでくれる、とってもやりがいのある仕事です。どなたか、いらっしゃいませんかー?ただいま募集中だそうです。詳細はコチラ↓

slowbooks.jp

 

肩が悲鳴をあげるほどの重い荷物を持ちつつでしたが、気持ちは軽く帰路についたのでした。あー、楽しかった。ご当地本屋さん巡り、オススメです。