Pocket Garden ~今日の一冊~

大人も読みたい、大人こそ読みたい、大人のための児童文学の世界へご案内

”冒険”と”本”が溶けあう場

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素敵な素敵な書店がオープンしていた!

 

今日は、とおおおおおっても素敵な書店をご紹介!

アーサ・ランサム・クラブメーリングリストで知りました、感謝)

 

神奈川県大和市の桜ケ丘駅(藤沢駅から小田急線で17分)、東口を出た正面にできた冒険研究書店さん。なんとも、まあ素敵!!!!!としかいいようのない空間でした。いまだ興奮冷めやらぬ。

 

冒険研究書店は、その名の通り冒険ものの本を中心に集めた書店で、植村直己冒険賞も受賞している日本唯一の北極冒険家・荻田泰永さんが開いた書店。

 

子ども達や大人までが新しい世界に触れられるような、

旅と冒険と本を通して世界への扉が開くような、そんな場所を目指しています

 

とHPにあったけれど、目指してるどころかもうなってる、なってる!

 

 

■ワクワク選書&しかけ

こちらの書店、1Fは歯医者さんになっていて、狭い階段を上っていくのですが、階段下から文豪の古本などが並んでいます。2Fにあって、中が見えないって、ちょっとドキドキするというか入りづらいというか、すでに冒険の始まり始まり。

 

階段を上りきると、まず目に飛び込んでくるのが、実際に荻田さんが、北極無補給単独徒歩のときに使用されたソリ(←多分ソリ。間違ってたらゴメンナサイ!)。

1Fから感じた入りづらさとは真逆の、オープンで明るい空間が出現!

 

蔵書は約3,000冊とのことで、真ん中には最新刊、壁を囲む本棚には古書と新刊が混在して並んでいます。

 

冒険ものが中心なのですが、色んなところに児童文学が挟まれているのが、個人的にはもう嬉しくて嬉しくて。ほかにも哲学やちょっと人生を立ち止まって考えるような本も。ちなみに、ご本人にご自身の著書でおススメを聞いたところ、おススメはこちら↓

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『考える脚 北極冒険家が考える、リスクとカネと歩くこと』(2019年)荻田泰永著 KADOKAWA

 

雑貨もちょこちょこ置かれていて、これがまたどれもセンスいいんです!小網代のハチミツとか。木のマグカップとか。

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福音館古典童話シリーズがずらり!↑

 

オリジナルロゴがこれまた素敵で、その絵が描かれた箱も点々と置いてあって、フタをあけると本が入ってる。ちょこまか工夫が楽しい!↓

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すぐにでも旅に出かけたくなるような旅行鞄の中にも本がギッシリ。

あ、この鞄はメルカリで買ったそうです(笑)↓

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訪ねた日は、ちょうどトークイベントがあったこともあり、ゲストの角幡唯介さんの自宅の本棚も再現されていてそれも、とっても興味深かったです。

人の本棚見ると、その人がどう形成されているのかが垣間見れて楽しいですよね。

 

 

■ 荻田泰永さんご自身が最高

冒険もの選書に興奮したものの、実は私自身は、脳内アウトドア派というかエアアウトドア派なので、実際にはあまり詳しくなくて。北極とか孤独で厳しい地に行くくらいだから、荻田さんは寡黙な方か、ストイックで厳しい方だと勝手に思い込んでいたんです。そしたら、実際はとーっても話しやすい気さくな方でした!

 

私は内弁慶で人見知りなので、自分ひとりで訪ねていたら、きっと一言も発することなく店を後にしたと思うのですが、一緒に行った友だちが、やたらとコミュ力高くて爽やかグイグイ系(笑)。なので、つられて私も初対面なのに普通にしゃべることができました!友に感謝。

 

中1次男も連れて行ったのですが、超絶無愛想な次男を前にしても、気さくに話しかけてくれる荻田さん。本の表紙に写ってるソリと、展示されてるソリさして、「これが、あれね、本物」と。続けて、「そして、これがこの人ね」とご自身を指す(笑)。記事を見ると、この書店を開いたきっかけは、コロナ禍で子どもたちの居場所として開放してたこともあったとか。オープンでウェルカムな雰囲気は、そんな荻田さんの子ども好きからもきているのかも?

www.asahi.com

 

■ つながる場としての魅力

と、まあ色々と魅力が満載の書店なのですが、個人的に一番感激したのが、ここが”つながる場”として存在してたこと。

 

すぐに誰もがうちとけられる場所ってなかなかない(私が人見知りなだけかもしれませんが)。盛り上がってる店、個性的な店って、たいてい“内輪感”があって、人見知りな私はいつも入れないし、入りたいとも思えないのですが、ここは違った。

 

ちょうど地方から荻田さんに憧れてやってきた大学生男子が居合わせていて、もうねー、彼と荻田さんの会話が面白くて、深くて。ついつい、話に一緒に入ってしまうおばさんたち(私たち)なのでした。荻田さんがその学生にかけた言葉に共感しまくりで、頷きまくりだったのですが、プライベートなことなので、ここに書けないのが残念。

 

その後、その学生さんが店内にある旅の写真集を広げながら、「ここに行ってみたいんですよ」とか初対面の私たちに楽しそうに語ってくれる。なんて、なんて、あったかい空間なんだろう!そう、まるで旅先で知らない人同士が気軽に友だちになる、そういう空気がこの書店には流れてるんです。それは、紛れもなく荻田さん自身がかもしだす雰囲気がそうさせてるんだなあ。

 

刺激いっぱいで、いるだけで、ワクワク。私のアウトドア熱(エアだけど笑)にも火がつきました!お泊りしたくなる素敵な書店でした。