Pocket Garden ~今日の一冊~

大人も読みたい、大人こそ読みたい、大人のための児童文学の世界へご案内

さらっと読めて楽しみたいとき

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『おしゃれ教室』(2014年)アン・ファイン作 灰島かり訳 評論社

※毎週月曜・金曜の19時~21時の間に更新中!

(できるだけ19時ジャスト更新!ムリだったら、21時までに更新笑)

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今日の一冊は、軽く読んで楽しい気分になりたいときにおススメなコチラ。

 

子どもの習いごとの送迎中に図書館で時間を過ごすことがあるのですが、なぜか私の目に留まるのは、社会派の重たい話ばかり。でも、その日はなんだか重たい気分で、これ以上重たい気分になりたくなかったんですよね。何か軽く読めて、明るい気分になれるものがいいなあ、って。そしたら、今日ご紹介する本の紹介文に“声を出して笑ってしまうほど、とってもゆかいなお話”とあるではないですか。よしっ、借りた!

 

『おしゃれ教室』あらすじ

留守番はさせられないから、とママの都合でカルチャーセンターに無理やり入れられたポニー。時間帯的に合うのがモデルや女優を目指している子たちが集う“おしゃれ教室”しかなくて、おしゃれに全っっっっく興味のないポニーは場違いながらもそこに入れられてしまいます。しかも、その日は一番かわいい子を決めるコンテストの日だったから、さあ、大変!ポニーは照明係のアシスタントと嘘をついて......。

 

ああ、ポニー。私自身も、全くおしゃれに興味がないほうなので、気持ちがよく分かる。スティーブ・ジョブズみたいに毎日着るもの決まってたらラクだな~、と思っちゃうタイプなので(笑)。

 

残念ながら、もう純粋な子ども心を失ってしまった私は、声を出して笑ってしまうというほどは楽しめなかったかな(小声)。けれど、明るい気分になれました!2時間くらいで読めちゃいます。

 

いいなあ、と思ったのは、作者の子どもに対する信頼の目が感じられたところ。......と思ったらですね、真逆に感じられた方もいるようで、受け止め方の違いにびっくり。Amazonのレビューに“正直これは酷い。嫌がらせ的行動を肯定する話は子供には読ませたくない”ってあって。

 

確かに、美を競う女子たちの壮絶なマウンティング大会が描かれています。でも、それってリアリティがある。どこまでも意地悪くなれるけれど、ネタバレになっちゃうかもしれないけれど、彼女たち最後はポニーの仕掛けたいたずら(?)に、目が開かれ楽しんじゃうんです。さあ、そこからの彼女たちの開花っぷりと言ったら!子どもって、素直だから気づいたら即変われるんですよね。そこに、作者の愛情を感じました、私は。

 

もう一つよかったのは、おしゃれ教室の先生、オパール先生の描き方。ああ、この先生は本当に“美”というものが大好きで大好きでたまらないんだなあ、って。虚栄心とかそういうもの超えちゃってて自分の“芯”みたいになってる。だからこそ、子どもたちが“美”に対する価値観が急激に変わったときも、受け止められない気持ちもありつつも、それでも一生懸命理解しようと努める......それが先生にとって“美しい心”であり姿だから。私はこの先生好きだなあ。

 

さらっと楽しいものを読みたいときにおススメの一冊です。