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今日の一冊は、私のだーい好きな物語ばかりがピックアップされてるコチラ!
おっと、でも、純粋に物語が楽しみたい方は読まないほうがいいかもしれません。フェミニスト的な観点からの切り口と、ほどよい毒舌での解説は、個人的には読んでいて痛快でした。
いやあ、あっぱれです!
これ読んで思ったのは、やっぱりある程度のしたたかさって生き抜くには大事だな、ってこと。ここで取り上げられてる物語は、どれも時代の大人の陰謀(良妻賢母を育てるツールとしての物語)の枠に一見はまっているように見せかけて、生き延びてきた物語たち。真正面からたたかったら、潰されちゃいますからね。さも、合わせてるかのように見せかけて……ですよ。したたかに挑発するのです。
さて、そんな生きのびてきた物語で、今回取り上げられてるのは以下の9つ。
・魔法使いと決別すること――バーネット『小公女』
・男の子になりたいと思うこと――オルコット『若草物語』
・資本主義社会で生きること――シュピーリ『ハイジ』
・女の子らしさを肯定すること――モンゴメリ『赤毛のアン』
・自分の部屋を持つこと――ウェブスター『あしながおじさん』
・健康を取り戻すこと――バーネット『秘密の花園』
・制約を乗りこえること――ワイルダー『大草原の小さな家』シリーズ
・冒険に踏み出すこと――ケストナー『ふたりのロッテ』
・常識を逸脱すること――リンドグレーン『長くつ下のピッピ』
大人になってから読み返す楽しさは、時代背景なども知りより深く読めるところ。時にそれは、純粋な読む楽しさからは離れるかもしれないけれど、大人になるって色々知る責任もあるんじゃないかな、と個人的には思います。
なーんて、硬いこと書きましたが、もうね、最初の『小公女』から、何度も吹き出しそうになりながら読みました!著者の斎藤美奈子さん、登場人物の男性陣のことをぶった切りはするけれど、そこに憎しみはないんですよね。しょーもないなあ、みたいな。コワいフェミニストじゃなさそう(笑)。だから、読んでいてちょっとユーモラス。夢見がちな主人公の少女たちの勘違いも、どんどんぶった切っていきます。痛快!
私も親しい人との間では結構毒舌なので、読みながらまるで、斎藤美奈子さんと盛り上がってる気持ちになりました。そうそう、そうそう!!!ですよねー!って。
『あしながおじさん』に関しては、昔から断然『続・あしながおじさん』の方が好きで。読んだ当時、なぜジュディはジャーヴィスと結婚するんだろう、とあまり腑に落ちていなかったんですよね。でも、今回斎藤美奈子さんの主張を読んで、腑に落ちました!当時の私は、それを言語化できなかったし、する気もなかったけれど、ああ、そういうことだったのかー、って。“20世紀のシンデレラを舐めてもらっちゃ困る”って、ふふふ(笑)。ジュディってば、したたかなんだからっ。続のほうが好きな理由も腑に落ちました!
そんな感じで、どんどんぶった切っていくわりには、基本、読んでいて嫌な気持ちにはならないのですが......一つだけ例外があるとしたら『大草原の小さな家』シリーズのところかもしれません(当社比)。この物語が、純粋に大好きな人は、この箇所は読まないほうがいいかも。ここから先も読まない方がいいかもしれないので、先に言っておきますね。
実は、以前ELLE ONLINEの毒親シリーズに『大草原の小さな家』が取り上げられてて、すごくショックだったんです。でも、読めば読むほど毒親に納得。それもあったので、私自身は今回の内容もうーん、残念ながらその通り、という感じ。
あの自然と共にある暮らしに憧れたけれど、やっぱり“自然は克服するもの”という西欧の価値観や、貨幣経済の中で貧しいということは、何かをゆがめてしまうんだなあ、と残念です。アメリカの開拓史といえば、『大草原の小さな家』先住民族バージョンと呼ばれてるコチラをぜひ↓
やっぱり生きのびてきた物語たちは面白いな。改めて、色々と読み漁りたくなりました!