Pocket Garden ~今日の一冊~

大人も読みたい、大人こそ読みたい、大人のための児童文学の世界へご案内

ほのぼのした気分になりたいときに

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『楽しいスケート遠足』(2009年)ヒルダ・ファン・ストックム著 ふなとよし子訳 福音館書店

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もう殺伐とした空気に嫌気がさして、ほのぼのした気持ちになりたくて手に取った一冊。ああ、もう、ほっこり。にごった心が澄んでいく~、これよ、これこれ。THE☆王道の古典児童文学。

 

舞台は80年前の真冬のオランダ。

16人の生徒と先生は、凍った運河を滑りながら、楽しいスケート遠足にでかけます。その途中にはさまざまな出会いが。そして、たどりついた先では、ちょっとした事件も起こり、新たな友情物語も。

 

とても短いお話です。幼年童話の部類に入るのかしら。遠足にでかける子どもたちは小学3年生。ちょうど同じ小3である三男にすすめてみましたが、全然興味を持ってもらえませんでした。ガッカリ。いいの、めげません。きっと今回はタイミングじゃなかっただけ。種まきは続けよう......。

 

運動音痴の私ですが、昔からスケートだけは得意だったんです。小学生の頃、箱根にある今はなき強羅国際スケートリンクへ遠足へ行った思い出があって、自然に囲まれた屋外で滑ったのが気持ちよかったなあ。ぐるぐる回るだけでも楽しいのに、この物語ではそれが運河で続いて知らない町まで行けちゃうんですから、それはもう興奮します!読みながら、一緒にびゅんびゅん風を切って走る気分を味わえました。

 

時代が違うので、いまだったらこんな遠足許されないのかもなあ、なんて思うと、余計にこの子たちがうらやましい。ただスケート滑るだけでも楽しいのに、景色がくるくる変わっていくんですよ?色んな人と出会って、途中で美味しい甘いもの食べたり熱々のココア飲んだりできちゃう(←大事なポイント)んですよ?急な来客(しかも16人+先生!)でも、動じなくておもてなししちゃう農家のおかみさんがいたり。最高じゃないですか!!!

 

まあ、時代が時代なので、教室の中でも男女別々に座らされたり、女子は男子よりもなんとなく地位の低さを感じたり……フェミニストの方が読んだら怒られそうでもあるんですけどね。今の時代に合わないという理由で子どもたちにおススメしないという人も多いようですが、なぜなぜ?こんな時代もあったんだなあ、って話すいいきっかけになると思うんだけどなあ。最後のオチには、私も心の中でツッコミ入れましたけどね。でも、そんなこと言い出したら、中川李枝子さんの『いやいやえん』だって、園児が親のお迎えなしで家に帰ってたり、いまでは考えられない場面ありますよね(笑)。

 

ああ、運河でのスケート遠足行ってみたいなあ。

冬を楽しむのにぴったりの物語でした!