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ご近所さんがね、嘆いてたんです。
子ども(当時小4)にどんなにすすめても、『赤毛のアン』や『大草原の小さな家』シリーズを読んでくれない、と。もう古い物語で今の子には必要ないのかなあ、って。
じゃあ、どういうのなら読むのかなと思って聞いたところ、そのおうちの娘さんが読んでいたのが今日の一冊です。
著者の大島真寿美さんは、児童文学作家さんではなくて、編集者からムリに頼まれた書いたらしい。2019年に『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』で直木賞を受賞した作家さんで、『ぼくらのバス』は、もともとは1997年に偕成社から出されていたもの。大人なら1時間ちょいくらいで読めてしまいます。本が苦手な子でもこれなら読めそう!
内容は、ほんわか。
近所のお屋敷の敷地にある緑色のバスがあるんです。そこは、昔、私設図書館として、大勢の子どもでにぎわっていた……。
もう、ここだけでワクワクしてきたぞっ!
でもね、そのバスの図書館を作ったおじいさんが亡くなってしまってからは、おばあさんは引きこもってしまって、バスも廃墟のように。
そこを暇を持て余していた小5の圭太と弟の広太と、こっそり忍び込み、秘密基地にするんです。そこへ、中2の家出少年が押し入ってきて……。
というもので、事件が起こるわけでもなんでもないのですが(家出が事件といえば事件?)、もう秘密基地っていうだけでマル!
今の子たちに欠けてるのって、こういう経験なのかも。
私たち昭和世代は、まだ周りに空き地とかがあって、草むらに隠れれば、少しは秘密基地の気分も味わえたりしたなあ、って。
幸い、鎌倉の谷戸は昭和な雰囲気で、山の中に秘密基地がたくさん作れるのですが、団地街の子たちはどうしてるんだろう……。騒いでも怒られるし、ボール蹴っても知らない人から苦情がくるし、そりゃゲームしてれば静かだもの、ゲームに走るのも無理ないなあ。
物語の中の彼らはね、秘密基地の中で、何か特別なことをするわけじゃないんです。
家と同じように寝転がって漫画を読んだり、何ならしてることは家にいるときと変わりない。
でも、どうして、秘密基地でするとこんなにも楽しいんでしょう!
お菓子食べるだけでも、寝転ぶだけでも。普段は嫌でたまらない掃除や、整理整頓ですらも。
秘密基地は“秘密”なので、当然親にもウソをつくことが多くなっていきます。
ちょっとした背徳感とでもいいましょうか。
こういうのに反抗して、子どもは成長していくのかな。
背徳感って道徳に反することで、その道徳ってたいていは大人の価値観で出来上がってますからね。
子ども時代にはウソというか“秘密”は大事な大事な要素ですよね。
子どもたちがスマホなどのデジタルの中ではなく、五感で感じられる実際の空間の中に“秘密基地”を持てますように。