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今日の一冊は、個人的には読む前と、読んだ後で印象が全然違っていた印象の本でした。
手に取った理由は、あらすじに惹かれたから。あらすじはこんな感じです↓
『本を読む人』あらすじ
エステールは、黄色いルノーに本を積んでやってきた。パリ郊外と思しき荒れ地に暮らすジプシーの大家族。女家長のアンジェリーヌは、5人の息子、嫁と孫たちに囲まれて、一日中、焚き火の側に陣取っている。自由と濃密な家族愛はたっぷりとあるが、仕事も生活保障もない、着の身着のままのその日暮らし。彼らの野営地を、あるとき「よそ者」が訪ねてくる。エステールという名の、穏やかで優しい、だが不屈の図書館員だった…。ジプシーの大家族とある図書館員の物語。20年におよぶフランスのロングセラー。(BOOKデータベースより転載)
読み聞かせで、子どもたちが心を開いていくとなれば、もう読むしかないでしょう!
でも、読み始めてすぐ思いました。あ、やっぱりこれフランス文学だった。
アモーレの国だった(笑)。
私が最近児童文学にどっぷりなせいか、またはもともとフランス文学にはあまりなじみがないせいか、実は個人的にはちょっと読みにくかったんです。
どーしょもない夫陣の衝動も個人的には全然共感できないし、暴力的な描写とかも苦手で……。
でもねー!さすが、20年におよぶロングセラーですね。私にとっては、遅効性の文学でした。読み終えて既に2週間くらいたっているけれど、いまだジワジワきています。
匂いも感じる文学って、印象が強烈ですよね。
この文学は、焚火の匂いがするんです。しかも、キャンプのときのような美しいものではなく、廃材はじめ何でも燃やしちゃうから悪臭もする焚火。
ここに出てくるジプシー家族もこの焚火のようなんです。決して素材(浮気性、DV,男尊女卑、盗みを悪いとも思わない感覚、無気力、貧困、お世辞にも素晴らしいとはいえない人間性)は美しくないのに、放たれる炎はやっぱり美しい……。強烈な面々。
すさまじいまでの“人間くささ”“生”を感じるんです。完璧さからはほど遠いのに、いつの間にか彼らを訪問している図書館員エステール同様、彼らに惹かれはじめている自分がいる。
原題は『恩寵と貧困』というらしいのですが、確かに不思議と恩寵としかいいようのない何かがそこにはあるんですよねえ。
しかし、いやあ、生命に関することでは女性は強い!社会的には弱い立場なのに、やっぱり強い!そして、どうしようもない男性陣たちにも天使のようにかわいい子供時代があったことを、母親であるアンジェリーナがことあるごとに思い出させてくれる。
人間って不思議……。
読みづらいと思っていたのに、読み終えてしばらくたっても、彼らは私の元から去ってくれないんです。すっかり居ついてる。
テーマとして直接的に描かれているわけではなかったけれど、資本主義社会、西欧的価値観の中でのジプシーである彼らの生きづらさを思いました。もっと彼らについて知りたいなあ。
何かおススメの本があったら教えてください!