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今日の一冊は、コチラ!ひと夏かけて、ゆっくりゆっくり読みました。
この本に出合ったのは、下北沢にある本屋B&Bにて。面陳されていて、吸い寄せられました。表紙絵とタイトルに惹かれ、“これだ!”という感覚。裏表紙のあらすじ読んで、間違いないと確信。ああ、久々に読む前からのワクワク感。これって、オンラインショップでは出合えない、本屋でしか味わえない幸せな感覚だなあ、としみじみしました。
私にとっては、一気読みタイプの本ではなかったのですが、いやはや、何ともいえずいい!あとがきによると、某協会の職員の間に「めげた時にダレルを読む会」があるそうで。いやあ、分かる気が!これ、特に男子にはたまらないだろうな。そういう力のある物語です。イギリスではテレビドラマシリーズにもなったとか。これは、映像でも見てみたいなあ。
舞台は1930年代、ギリシアのコルフ島。9歳の主人公は、のちにジャージー野生動物保護財団を設立するなど、動物保護に尽力したジェリー少年ことジェラルド・ダレル。兄のラリーは、20世紀文学の中の傑作といわれる『アレクサンドリア四重奏』著者のロレンス・ダレルなのですが、兄も弟に負けずおとらずはちゃめちゃ。この一家みーんなはちゃめちゃで、おっかしいんです。家族それぞれが、個性的でマイペースで自分を曲げない。いやあ、だからからかな。人間って、くだらなくて、愚かで、かわいいね!っていう気持ちになるんです。
彼らは5年間この島で過ごすのですが、引っ越しの理由が毎回常識ではありえなくて。そもそも最初にイギリスを脱出して、ギリシアに行った理由が、イギリスの曇天にうんざりしたからで。ラリーが勝手に友だちいっぱい招待しちゃったから、もっと広い家に引っ越しそうとか、嫌いな親戚が来たがってるから、泊まれないよう今度は狭い家に引っ越すとか(笑)。
そんな個性的な子どもたちに、ふりまわされるのが未亡人のマダム・ダレル。ふりまわされつつも、実は一番マイペースなのがマダムなんじゃないか、っていうね。この母ありきだからこそ、子どもたちはのびのびしていられるんだろうなあ。毎日、好きなだけ虫やけものの観察にいそしむ少年ジェリー。いい!!!
教訓的なこととか書かれていなくて、ドタバタでくすっと笑えます。虫目線だからなのか、時間の流れがゆっくりで、純粋なワクワクがいっぱい。
島には確かに魔法があるなあ。
息がつまりそうなとき、自分を救ってくれるのは自己啓発書でもなく、人間関係のことを直接的に描いた物語でもなく、人間以外にも世界はあるよ!人間も世界の一部にすぎないよ!って感じさせてくれる、こういう物語なのかも。私もめげたときには、ダレルを取り出そう、って思いました!