Pocket Garden ~今日の一冊~

大人も読みたい、大人こそ読みたい、大人のための児童文学の世界へご案内

自然の中で読みたい物語7選

こんな景色の中で読書がしたい!

 

今日は、自然描写に心つかまれる物語、自然の中に持っていって読みたい本、をご紹介していきたいと思います。

 

というのもですね、先日、いままであまり読書をしてこなかったけれど、推し(BTSかな?)のオススメだったのでヘッセを読んだという人から、ヘッセみたいな自然描写の雰囲気のあるものをもっと知りたい!と聞いたから。いやあ、推しってホント世界を広げてくれますよね(笑)。いや、冗談抜きで、結局、自発的に世界が広がるのって、好きなものからしか広がらないんだなあ、なんて思ったり。好きが入り口だと、たとえその後に広がる世界が苦手なものであっても、新鮮な目で見ることができたり。私も推し(息子笑)がきっかけで、アレルギー的に嫌いだった理系の世界ものぞいてみるようになりましたもん。

 

時々ね、「実は、私いままでほとんど本を読んできていなくて……。それがコンプレックスなんですよね」って言われることがあるのですが、いつから読書するようになったかって、ほーーーーんと関係ない!って最近はしみじみ思います。むしろ、大人になってから初めて読んだという人のほうが、読書体験から受け取る感動も人一倍大きかったりもして、それはもう羨ましいくらい(うちの夫とか)。

 

小声で言いますと、“読書しないなんて人生損してる”くらいに以前は思ってました(ゴメンナサイ)。でも、人それぞれのタイミングがあって。それに、もっといえば、他に夢中になれるものがあるのなら、別に読書じゃなくてもいい、くらいに今は思っています。たまたま自分に合うのは読書だっただけ。

 

とはいえ、仲間が増えるのは嬉しい。

 

というわけで、ご紹介していきまーす。

 

 

①『帰れない山』

ヘッセのような自然描写と聞いて、真っ先に思い浮かんだのがコチラ。いまちょうど映画も公開されてます!↓

jidobungaku.hatenablog.com

 

児童文学で自然描写が心つかまれるもの……と考えだしたら、実は自然を描いてるものはほぼ全部だったりもしました(笑)。なので、おすすめを選ぶのは難しかったのですが、自分自身が自然の中に持っていって読んでよかったものを書いていきますね。

 

②アンシリーズ

『炉辺荘のアン』(2008年)モンゴメリ作 村岡花子訳 新潮文庫

幼い頃、私の心をつかんで離さなかった自然と共に生きる物語は、断然『大草原の小さな家』シリーズ(本のほう)でした。が、ヘッセの自然描写が好きなら、『赤毛のアン』のほうが合う気がします。

 

私の母はアン信者でした。アンは夢見がちすぎて、私にはローラのように素朴なほうが合っていたので、アンはちょっとこそばゆかったなあ。特に1巻は。しかし、アンシリーズが本当に面白くなっていくのは2巻以降から(個人の感想です)。そこに描かれる自然描写にどんなに心躍らせたことでしょう。繰り返し読んだのは、間違いなくあそこに描かれていた自然に再会したかったから。あの自然がなく、人間関係だけだったら、ここまでアンシリーズが心に残ってることはなかったと思うのです。

 

③『リンバロストの乙女』

同じ少女小説というジャンルで言えば、『リンバロストの乙女』の自然描写もいい!!!もっと知られてほしい。なにせ、作者が博物学者なので、森の魅力があますところなく描かれています。苦手なはずだった虫まで、これ読むと興味がわいてきちゃうんだから、物語の力ってすごいです↓

blog.goo.ne.jp

 

④『たのしい川べ』

人間ではなく、動物たちの視点で味わう自然なら、『たのしい川べ』はいかがでしょう?動物たちの目から見る自然を体験できるのって、物語ならではですよね!

石井桃子さんの訳のも素晴らしいし、オールカラー版で杉田七重さんによる新訳のほうもどちらも素晴らしい。挿絵も、どちらも素晴らしいので、2冊持っていたくなります。ちなみに、前者の挿絵は、クマのプーさんでおなじみのE・H・シェパード、後者はロバート・イングペンによるものです。

『たのしい川べ』(2002年)ケネス・グレアム作 石井桃子訳 岩波少年文庫

 

『楽しい川辺』(2017年)K・グレアム作 杉田七重訳 西村書店

 

ムーミンシリーズ

同じく動物?ファンタジーの世界なのに、五感で自然が味わえるのが、ムーミン。こちらも1巻から読まなくて大丈夫。『ムーミンパパ海へ出る』の月夜の浜辺のシーンは忘れがたい美しさです。↓

jidobungaku.hatenablog.com

 

⑥ランサムサーガ

ツバメ号とアマゾン号』(2010年)アーサー・ランサム作 神宮輝夫訳 岩波少年文庫

物語の中に入りこんで、もはやその景色にまで親しみを覚えてしまうといえば、『ツバメ号とアマゾン号』をはじめとする、ランサムサーガと呼ばれるシリーズ!ごっこ遊びの金字塔ですね。こんな恵まれた休暇を過ごせる人は現実的にあまりいないだろうに、過ごせそうと思わせてくれる、憧れの休暇冒険物語。12巻あるのですが、どの巻も甲乙つけがたいくらいに面白い。これは、もう自然の中でぜひ読んでいただきたい。もうもう、ワックワクが止まりませんから。

 

⑦サトクリフの物語たち

そして、最後に、やっぱりローズマリ・サトクリフにも触れておきたいです。サトクリフの物語は、いわゆる自然と共に生きる物語ではないので、自然描写自体は少ないんです。が!!!そのわずかなページにケルトの地の土を、草を、花を、そして風を感じるんです。そして、サトクリフの物語は、毎回私の心の中に確固たる居場所をもってしまうのです。好きだなあ、サトクリフ。

matushino.wixsite.com

 

ほかにも、たーくさんあるのですが、今日はこの辺で。

お気に入りが見つかりますように。