ムーミンが75周年だそう!
ムーミン、アニメで見てました。ところが、キャラクタービジネスが盛んだからなんとなく抵抗があったのか、原作には手を出していなかったんです。
シリーズものっていうのも、ハードルが高かった。
シュタイナーの7つの気質が、ムーミンのキャラクターたちに見事に当てはまっているという話を聞いて以来、気にはなってたんですけどね。なかなか踏み出せず……。
ところが、今回この新装版のクラシカルな表紙絵に、ズキュンと来てしまいまして!!!そうだ、私はもう大人じゃないか。つまり、大人買いできるじゃないか!!!と気づき、BOX大人買い。ああ、もう眺めてるだけで、幸せ~(←ミーハー笑)。
で、1巻から読んだかというと、そうではなく、7作目の『ムーミンパパ海へいく』からなぜか読み始めた私。パパと海に惹かれたんです。
そうしたら、読み始めた時期が夏の終わりで、偶然にも物語も夏の終わりから始まり、もうぴったりで。あっという間に、ムーミンの世界へ。
ああ、大好きでした!
これは、みなさんが夢中になるわけだわ。
これから読もうと思ってる方、1巻から読み始めなくても大丈夫でしたよ。
さて、今回の舞台は、おなじみのムーミン谷ではなく、海にポツンとある小島で、植物も生きるのが厳しい環境。住んでいるのは付き合いがキライな変わり者の漁師だけ。
パパの憧れに家族が振り回される形なのですが、パパのプライドを傷つけない配慮をしつつも、実は適当に流してるママも素敵だし、秘密を持ち始めるムーミンの成長もいい。
この巻は、他のムーミンの巻とはちょっと雰囲気が違うらしいのですが、子どもよりも大人のほうが感じ入るところが多いかもしれません。
美しい「うみうま」にも心奪われましたが、個人的にはみなから嫌われている氷の精モランの存在が心に残りました。
モランが触ったものはすぐ死んでしまうのです。モランが通った道は、植物が枯れてしまうから、植物たちもみんな怯えている。ムーミンママですら、モランとはかかわりを持たないようにとムーミンに伝えるくらいの嫌われ者。
そんなモランですが、明かりに憧れて近づいてくるのです。なんか、もう切なくて。モランは一体何を象徴しているんだろう、と考えてしまいます。
唯一ムーミンだけが、そんなモランが気になり、島にまで追っかけてきたモランに会いに夜家を抜け出すのです。カンテラの明かりを見せてあげたくて。
最後、灯油がなくなってしまって、カンテラを持たずにモランに会いに行ったムーミンですが、モランはカンテラのことなんて気にしなかったのです。全身でただただムーミンが会いに来てくれたことへの喜びを表現して、去っていくモラン。そしてね、去ったあとは、なんと凍っていなかったのです。もうね、何とも言えない感情で胸がいっぱいに。
モランはなぜ今まで死をもたらしていたんだろう?
なぜ気にかけてくれる人ができたら死をもたらさなくなったんだろう?
こうしてモランは私の中で、“問い”となったのでした。
さあて、次は『ムーミン谷の十一月』を読もうかな。