今日の一冊は、書くのが苦手な身近なある人の顔を思い浮かべて手に取った一冊。
今年の7月に出て、もう6刷りって、売れてるんだなあ。
“この夜は明ける。書けば、必ず”
帯に書かれていた印象的な言葉です。
作者は、『嫌われる勇気』で有名な古賀史健さん。“書くこと=言葉にすること”“自分との人間関係の築き方”をタコジローとあやしいヤドカリおじさんの物語に乗せて教えてくれるので、本が苦手な子でも読みやすい!文章が苦手という人ほど読んでもらいたいなあ。主人公も中学生で、中学生向きに書かれていますが、もちろん大人にもおススメ。
ただ、帯で糸井重里さんが「長編詩であり、冒険絵本であり……」と書いていて、物語として期待して読んでしまうと、ちょっとひっかかってしまう人もいるかもしれません(はい、私です)。特に、児童文学的なものを期待してしまうと、内容は漫画的に感じるかも。登場人物のキャラ立ちしすぎてるから。逆に、自己啓発(ともちょっと違うのだけれど)を物語形式で書いたもの、と思って読むと、素直に入ってきました(私の場合)。
さて、“書く”ということ。
前々から、書くって自分と向き合うことだよなあ、とは思ってました。答えが分からないとき、書くと答えが“降って”くることも多くて。
なので、私自身は、悩み迷ったとき、ツライときなどは割と日記を書くことで乗り越えてきたこともあり、悩んでる人見かけると、「書くといいよ!」とすすめてみたりもしてきました。が、どう書いていいか分からない人もいるんですよね。
いや、ススメてる私だって、文章力があるわけじゃないんです。だから、文が上手い下手とか気にせず、ただただ、思うがまま書けばいいんじゃない?とすすめてみても、何から書いていいか分からない。気づくと、起こった出来事をただただ時系列に並べて書き連ねるだけで、そこにどう感じたかなどを書けない。そういうタイプの人もいるということを知りました(我が子たちから)。主人公のタコジローと重なる!
表現できないだけで、誰もが、内には素晴らしいものを持っているのになあ。もったいないなあ。言葉が全てではないけれど、でも、言葉で表現できたらスッキリすることってありますよね。
数ある書くことの良さを伝えてる本と比べて、この本は、もう一歩踏み込んだところまで書かれているのが、興味深かったです。
なぜ誰かとのおしゃべりではなく、ひとりになる必要があるのか。
なぜその方が考えが深まり、自分と向き合うことにつながるのか。
その考えを深める方法の一つが、日記を書くことなんですね。(ちなみに、おしゃべりにはおしゃべりの良さもあって、そのこともちゃあんと書かれています。SNS上のおしゃべりとの違いも)
ただ、日記あるあるなのが、悩んでるときに書くことが多いから、ついついネガティブなことを書きがち問題。自分の感情を吐き出すだけのものになりがち。
わーかーるー!!!ああ、思い出す。子育て暗黒期時代の日記、ネガティブすぎて読み返せないもの笑。そんな風に、相手への悪口や自分を責める言葉ばかり出てきたら、どうしたらよいのか。
そんなときは、沸き上がったネガティブな感情を過去のものにしちゃえばいい。悩みごとには、どんなに考えても答えの出ない『心配ごと』と、答えを出せるかもしれない『考えごと』に分ける。などなど、そういう具体的な方法をヤドカリおじさんが教えてくれるんです。とても具体的で、実践的。だから、書いてみようかなっていう気になるんです!
ああ、子育て暗黒期時代に知りたかったな。
そして、最後。
では、なぜ私たちは書くのか。
私たちが書く理由......
それは......”わかってほしい”から。
誰に?
何を?
何をそんなにわかってほしいと思ってるのか。
これを読んでくださってるみなさんは、もう答え分かってますよね。
そう、自分自身。
一番自分のことをわかってほしいと思っていた相手は、自分自身だったんです。
書くって、自分を探しに行くことなんだなあ。
まさに、
探しにいくよ
内なる花を
(by 藤井風)
ですね。
急にこの曲が聞きたくなりました(急ではない、いつも聞いてる笑)。
それでは、最後によかったら聞いてください。藤井風で『花』↓