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今日の一冊は、思いがけずよかったコチラ!
全然情報なしに出合って、思いがけず良かった物語に出合えたときって、うわあと嬉しくなります。今日の物語は、短編というのか、文字多めの絵本というのかな。大きな字でたったの60ページなのですが、心の深いところに届くとっても素敵な物語でした。
もうね、出だしから心つかまれました。
冬の一日ってほんとうにみじかい。まるでメリーゴーラウンドにのっているみたいです。お日さまが屋根のむこうにしずんだかと思うと、まってましたとばかり、夕ぐれが部屋のなかに流れこんできました。夕闇はぎょろ目の大きな青いおさかな。にらまれたらさいご、だれでもたちまち目がとろんとしてしまいます。(P.3)
こんな風に始まります。
そこから夕飯ができるまでの5分間、主人公の女の子バベタはおとうさんに、お話をねだるんです。たいせつな話を。
そう、それはバベタの誕生をめぐる物語。何回も聞いているのでしょう、バベタはそれでも聞きたいのです。なんて、なんて優しくて愛しい物語なんでしょう。涙してしまいました。
バベタとお父さんは血がつながっていません。お母さんと出会ったときは、お母さんのおなかの中にはバベタがいたのですが、血のつながったお父さんとは別れることに。
悲しむお母さんを前に、近所の紳士マトハラさんはこう言います。
世の中に、父親はひとりしかいませんかなあ?父親なんて、山ほどいますがなあ。(P.15)
そして、バベタはみんなに喜んで迎え入れられるんです。
ところが、今度はバベタの目が見えないことが発覚。でもね、バベタは違う方法で、ちゃーんと見えていたんです、すべて。
家族ってなんでしょうね?血のつながりって。
心の奥深くがじーんとしました。
私の周りには養子を育てている人も何人かいるし、うちも児童養護施設の子のホームステイをしていた関係で、血のつながりについて考えさせられる機会が多かったせいか、この物語は、とてもとても響きました。
こんなに短い物語なのに。表現も詩的で、染み入る。大切にしたい物語です。