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今日の一冊は不思議の国アイルランドから、コチラ!
気付けば1月ももう半ば……早い、早すぎる。つい先日までクリスマスだのお正月だのでバタバタしていたのに。
そういう行事があると、なんだか世の中みなが同じような感情で動いているような錯覚に陥りますが、どんなときでも毎日必ず誰かは亡くなっているわけで。その周りの人は世間がお祭り騒ぎだろうとなんだろうと悲しみと寂しさのうちにいるんですよね。
今日の一冊のテーマは“死”。でも、ご安心を。暗い内容ではないです。ちょっぴり不思議な話、それでいて自然な話。
核家族化がすすんで、“死”というものが身近でなくなっている現代。必要以上に“死”をネガティブに捉えたり、こわくなぅったり。特に何か“死”にまつわるトラウマがあったりする場合は、自分にも最期のときが近づいてきていることを受け入れるのがこわかったりしますよね。
12歳主人公メアリーのおばあちゃん(入院中)はもういつお迎えがきてもおかしくない年齢。同年代の友だちもたくさん見送ってるであろう年齢。それでも、死がこわいのは、自分の母親(メアリーにとってのひいおばあちゃん)が死んだのは自分のせいだとどこかで思っているから。大人になったら、理性では自分と母親の死は無関係と分かるけれど、感覚的感情的には、どうしてもその思いから逃れられない。こういうことって、ありますよね......。
そんな主人公の前に、不思議な昔の格好をした人が現れるのです。そう、ひいおばあちゃん。ひいおばあちゃんは、娘であるおばあちゃんが心配で心配で成仏(←キリスト教だろうから成仏とは言わないだろうけど)できずに、ずーっとさまよっていたんです。
メアリーがね、このひいおばあちゃんをすんなり受け入れるところが、とってもいいんです。でも、ふと突如気味悪くなったり、またすっと受け入れられたり、その揺れ具合もなんだかリアリティがあっていい。そこへ、メアリーのお母さんも絡んでくる。これは、意外でした。たいていの物語は老人や子どもには見えるけれど、働き盛りの世代には見えないことが多いから。仲間に入れてもらえたのが、母親世代の私としては、なんか嬉しかったなあ。
個人的には、ずーっと娘が心配で成仏できなかったひいおばあちゃんが本当に最後のときまで、何も手助けをしなかったところがぐっときました。長い人生、おばあちゃんだってツライこと、挫折もたくさんあったことでしょう。でも、そのときは、母であるひいおばあちゃん(幽霊)は、ただ見守ってただけ。でも、本当に最後の最後、“死”はこわくないよ、大丈夫だよ、それだけは伝えにきてくれた。
これは四世代にわたる物語。
命は続いてること、静かにつながりを感じさせてくれる物語。つながりが見えにくい時代だからこそ、おすすめしたい一冊です。よかったら。