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『きみはいい子』の映画版をAmazon Primeで見ました。
すごーく、よかったです!!!
私、実は邦画って苦手なのが多いんですよ。独特の間合いがなんか不自然に感じちゃって。それに、原作が好きなもので、映画版で満足できることってあまりなくて。
でも、この映画、びっくりするほどリアリティがあった!映画版もよかった!池脇千鶴のおばちゃんっぷりが上手すぎた!
予告編はこちら↓
あ~、もう予告編見るだけでまた泣けてくる。
原作に出合ったのは、7年前くらいでしょうか。原作はこちら↓
第28回坪田譲治文学賞作。
長男が荒れている時期で、“きみはいい子”って思えなかったんですよね。
なんなら、“きみは悪魔かっ”くらいに思ってた(笑)。
だから、この背表紙を見たとき、すごく惹きつけられたんです。呼ばれたなー、って。
で、一気読み。
児童文学のカテゴリーではなく、一般書です。でも、テーマは児童に関すること。
児童虐待やネグレクトがテーマなので、テーマは重いのですが、最後に爽やかな風が吹き抜ける、そんな物語でした。どこの町にでもありそうなストーリーで、胸がきゅっとなります。でも、希望もあるので、最後はあたたかい気持ちにもなれる。
短編集で、それぞれ独立した物語なのですが、どこかでつながっていて、それもとってもよかった。ああ、人生ってこうやって、自分たちが知らないだけで色んな人と色んなところでつながってるんだなあ、って。さらっと読めますが、感慨深くなります。
さて、映画版に話は戻りますが、もうね、実写だと荒れてる教室での子どもたちが、本で描かれている以上にかわいくないんです(笑)。見ていて、キーってなる。学級崩壊していくさま、先生をやりこめていくさまは決してオーバーではなく、実際の光景が容易に想像できてゾッとします。思わず、自分の子どもたちがこのクラスにいないことに感謝したくらい。
でもね、その子たちだって、ちょっとした環境がそうさせてるだけで、根は悪くない普通の子たちなんです。それが、ちゃんと映画からも伝わってきた。うちの子だって、このクラスにいたら、加害者にならない保証なんてないよなあ、って思ってしまった。そのくらい、どこにでもある話。
秀逸だったのは、「家族の誰かに抱きしめられてくること」という宿題が出された、その翌日の子どもたちの反応。この宿題ね、1/2成人式みたいに親を感動させるために”やらせている”ものではなく、この先生自身の経験からきてるから説得力があった。悩んでた先生が甥っ子に抱きしめられて、そのすごさを実感して子どもたちにも味わってもらいたいと思って出した宿題なんです。
そして、子どもたちの反応。
な、なにこれ?私いま教室にいる?これ授業参観!?!?
そんな錯覚に陥るほどのリアリティ!照れながら話す子どもたちの、愛おしいこと、愛おしいこと。一人ひとり、もうね、ぎゅーっとしたい!!!
え?ちょっと待って?これ演技!?!?
もはや演技とは思えない。子どもたちの素の表情や反応を引き出した制作チーム、すごいな。いやあ、とってもいいものを見させていただきました。これ見るだけでも価値があると思っちゃいました。
その他にも、障害のある子と認知症になりかけているおばあちゃんの交流は見ているだけでも美しくて、涙が出そうだし、どのエピソードもいいんですよね。みんながみんな何かを抱えている。過剰にセンチメンタルにすることなく、加害者になってしまう側の事情にも寄り添っているから、この物語は自然体であたたかい。テーマは重いけれど。
世界は救えないけど、誰かを救うことはきっとできる
その通りだなあ。本、映画版ともにおススメです。
ちなみに、中脇初枝さんといえば、満州での苦労を描いたこちらも素晴らしいので、ぜひ!私は中脇さんと同じ年なので、同い年で経験してない戦争のことをここまでリアルに描けることにびっくりしました。↓