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今日の一冊は、異文化好きにはたまらないかも!
メキシコの文化の魅力が詰まった物語です。
といっても、メキシコが出てくるのは後半ですが。前半の舞台はアメリカのサンディエゴ。アボカド農場の中のトレーラーハウスが住まいです。
『メキシコへわたしをさがして』あらすじ
ひいおばあちゃんと、弟のオーウェンと暮らす少女ナオミのもとにある日、実の母スカイラがあらわれる。身勝手な理由で、自分だけを引きとろうとするスカイラに対抗するため、ナオミたちは、はなれて暮らす父をさがして、メキシコへ旅立つことになる。国を越え、ルーツにふれて、自分自身をみつける少女の物語。小学校高学年から。
(BOOKデータベースより転載)
ナオミは11歳、弟のオーウェンは8歳。祖母と三人暮らしですが、地域で子育てしてる感じも、なんかいいんですよねえ。
ところが。
ある日、いままで姿を消していた母親が突然現れたから大変!きまぐれに親切にしてくれたり、ナオミとオーウェンは嬉しいのですが、おばあちゃんは何か嫌そう。まあね、大人が見ると、「子どもは着飾らせたりする人形じゃない!」と言いたくなるような母親なのです。が、それでも、やっぱりナオミたちは嬉しいんだなあ。求めてたんです、母の愛情を。特に弟のオーウェンが健気で泣ける......。
ところが、母と過ごすうちに分かってくるのが、母親がかわいがるのはナオミだけということ。もうねえ、切ないです!オーウェンには身体的に障害があったり、心を落ち着かせるための癖が奇妙に映ったりすることもあって、母親は関わりたくないんですよね。あげくの果てには、ナオミだけを引き取りたいと言い出すんですよ、この母親。それも、よくよく聞いてみると、児童手当目当て、母のボーイフレンドの連れ子の世話係としてだというから呆れちゃう。
でもなあ、現実少なくないんですよね、こういう親。児童手当目当てで、育児放棄しているのに子どもを手放したがらない。育てる期間だけは児童養護施設のお世話になっておいて、働ける年齢になったら、自分たちの世話してもらいたいから返せと言い出す親。そして、子どもたちはどんなヒドイ親でも決まって健気......。
テンポもよく、ロードムービー要素も満載なので、ぜひ映画化かドラマ化してもらいたい。夜逃げのようにみんなで母親とそのボーイフレンドから逃げて、父親探しにメキシコに行くところなんかは爽快!
そして、メキシコ到着。
ここからですよ!個人的にワクワクしっぱなしだったのは!
異文化きた~!って(笑)。
ディズニー映画『リメンバー・ミー』を見た方は、なんとなく雰囲気が分かるでしょうか?(私は子どもたちが見てたのを、家事しながら横目でチラチラしか見てない)
『リメンバー・ミー』のモデルの一つと言われているオアハカという町が到着地。映画にも出てきた死者の日の楽しそうなこと!メキシコの中でも最も先住民族人口の多い州だそうで、土着の文化が残ってるって、ホントに魅力的!
さて、親権を母親に取られないために、はるばるメキシコまで来た彼らですが、父親を捜す手がかりが、毎年クリスマスの時期に父親が参加しているというラディッシュフェスティバル。ラディッシュに彫刻をほどこして競い合うお祭り。これが、面白い!「オアハカ ラディッシュ」で検索してみてくださいね。びっくりなアートたち。
目次全てに動物の比喩が使われていて面白いのですが、その意味も最後のほうで明らかになります。そこにも注目。
いや、おとなしかった少女が自己主張できるまでになる成長物語なんですけどね、すっかりメキシコの魅力のほうが印象に残ってしまいました(笑)。行ってみたいなあ。
自宅にいながら、こんな異文化体験ができるのも物語の力。
よかったら。