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今日の一冊は、サトクリフにしては短め、字も大きめのこちらの物語。
サトクリフといえば、守り人シリーズの上橋菜穂子さんも大きく影響を受けたというイギリスを代表する歴史小説作家です。
《『ケルトの白馬』内容紹介》
イギリス、バークシャーの緑なす丘陵地帯には、地肌の白い土を露出させて描いた、巨大な白馬の地上絵がある。古代ケルト人の手になるその地上絵は、力強く美しく、悠久の時を超えて命の輝きを放っている。なぜ、どのようにして、この「アフィントンの白馬」は描かれたのか。カーネギー賞受賞作家サトクリフが、今はもう忘れられた豊かな物語を紡ぐ。(BOOKデータベースより転載)
今年出た新版も素敵↓
地上絵といえば、ペルーのナスカが有名ですが、イギリスにもあったんですねえ。こちらは宇宙人の関与じゃなさそうです(笑)。
正直なところ、私には絵心がないので、最初にこの白馬を見たときピンと来ませんでした。ところがですよ!この物語を読んだ後にもう一度この白馬を見ると感動してしまうのです。「この美しい曲線!」って(笑)。
友情、運命、芸術、人間の尊さ。
ああ、サトクリフの物語はどうしてどれもこれも、こう胸の深いところに響いてくるのでしょう!それもジワジワと。サトクリフの物語って見るからに堅そうだし、気合いがないと読めない気がします。そんなとき、こちらの『ケルトの白馬』は、短いながらもサトクリフの世界観を堪能できるので、ぜひ。大人なら30分ちょっとくらいで読めてしまう短編。
前にも書きましたが、私の場合は、サトクリフは父が好きだったので、幼い頃から家に蔵書がありました。でも、読みたいとも思えなかった。あらすじ読んでも全く興味を持てなかったし、表紙も好きじゃなかったからです(今ではあの表紙しかありえない、くらいに思えますが)。だから読み始めたのはここ最近。今では、ああ、読まずに人生終えなくてよかったー!出会えてよかった!と心から思える作家さんのうちの一人です。
だから、何度でも強調していいたいのですが、児童文学においては、ホントみなさんあらすじに惑わされないでほしい!大事なのは、“何が描かれているか”、ではなく、“どう描かれているか”、なんですよね。
サトクリフの紡ぐ物語は、どれもこれも一人の人の頭の中から生まれたとは思えないんです。ずっと書かれたがっていた物語が既にあって、それらがサトクリフという人を通して語られたがっている、サトクリフに言葉を紡いでもらいたがっている、そんな風に感じるんです。あやしい言い方ですが。
一度自分の中に登場人物が生まれたら、あとは作者の意図とは無関係に、勝手にその登場人物が動き出す……私が好きな作家さんたちは、よくそんなようなことを言っています。俗にいう「降りてくる」っていうやつ!?
サトクリフの物語を読むと、もうそういうことが本当にあった、としか思えなくなっちゃうんですよねえ。事実ではないかもしれないけれど、とても真実味がある。
まだサトクリフの物語に出会っていない方はぜひ!
過去記事たちです↓