Pocket Garden ~今日の一冊~

大人も読みたい、大人こそ読みたい、大人のための児童文学の世界へご案内

今こそじっくり!おすすめ長編物語

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こんなときだからこそ読みたいテーマ第2弾!

 

”長編シリーズもの”、とのリクエスト。

 

確かに、子どもたちは今時間がたっぷりですもんね。習いごともお休みのところが多いし、お友だちにも会えないし、シリーズものにじっくり取り組むにはぴったりかも。

(子どもたちがいると、大人は逆に読む時間が取れませんが笑)。

 

実は、私......シリーズものにはあまり手を出してないんです。特に冒険ファンタジーもの。『指輪物語』や『ドリトル先生』は数冊目で挫折。『ナルニア国物語』は読んだ時期が早過ぎたのか(小2の時の読書カードに記録あり)、当時は面白いと思えなかった。大人になってから読み直しましたが、のめり込むというほどはいかなかった(好きですけど)。『ゲド戦記』シリーズは大人になってから読み、感銘を受けましたが。

 

では、長編シリーズものどうぞ↓

 

 

■中高生以上におススメのシリーズもの

 

 

□『赤毛のアン』シリーズ

 

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『アンの娘リラ 赤毛のアンシリーズ10』モンゴメリ著 村岡花子訳 新潮社

いまさらアン!?だってだって、小学生の頃に1巻読んでそこで止まってしまう人が私の周りには多いんです~。なんてモッタイナイ!

 

赤毛のアン』は2巻目以降からが断然面白いんです~!こんなこと書くと、全世界のアンのファンから叩かれそうですが……正直、1巻目はアンのロマンチストぶりに……時々むずがゆくなっていたんです……。うちは亡き母が熱烈なアンと村岡花子さんのファンだったこともあり、まあ、要するにロマンチストすぎる母にむずがゆくなっていたのですが(笑)。

 

そんなアンも年齢を経るごとに落ち着いてくるわけです。学生時代、青春、結婚、子育て、とそれぞれの人生のステージでの輝き。その時の自分の状態によって、惹かれる巻が変わるので、ずーっと楽しめる。でも、一番心に残ったのは、戦争の影響が大きく、アンシリーズではちょっと雰囲気の違う10巻『アンの娘リラ』でした。そして、モンゴメリだったら、『可愛いエミリー』のシリーズもおすすめ。

掛川恭子さんの完訳版も素敵なのですが、母の思いを汲んで、ここでは村岡花子訳で。

 

□ローマン・ブリテン4部作

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『第九軍団のワシ』ローズマリ・サトクリフ著 猪熊葉子訳 岩波書店

もし未読の方いらっしゃったら、あらすじ惹かれないなと思っても(つまり、私はそうだったのですが)、騙されたと思って読んでみてほしい!戦いものが苦手でも、内面の葛藤は、時代を超えて感情移入してしまいます!

 

サトクリフは骨太で本当にいい。でも、簡単に感想が言えないんですよね。言語化すると陳腐な感想にしかならなくてもどかしい。重厚で、静かで深い感動。きっと忘れられない一冊になると思います(←ああ、こんなんじゃ良さが伝わらないけど!)。過去記事です↓

matushino.wixsite.com

 

□『ランサム・サーガ』全12巻

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ツバメ号とアマゾン号』(2010年)アーサー・ランサム著 神宮輝夫訳 岩波書店

先日、Facebookの『大人のための児童文学』ページでもお知らせしたのですが、Kindleでなんと原書12冊が199円!英語の勉強にぜひ!

 

子どもだけで無人島でキャンプってすごくないですか!?といっても、守られてる階級の子どもたちなんですけどね。遊びが全てごっこ遊びがベースになってるのも、ワクワクするんです!

 

小学生でも本好きな子なら楽しめると思うのですが、ヨット用語も多く出てくるので、中学生以上の方が楽しめるかも。まあ、ヨット用語のところはほぼ読み飛ばしても楽しめます(笑)。こんなにもイキイキとした夏休み、冬休みがあるなんて、もうもう憧れ。どの巻も甲乙つけがたいくらい、それぞれに面白い!過去記事より↓

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□『ステフィとネッリの物語』シリーズ全4巻

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『海の島』(2006年)アニカ・トール著 菱木晃子訳 新宿書房

これももう大好き!4巻朝まで一気読みです。大河ドラマですね。戦時中、スウェーデンユダヤ人の子どもたちの受け入れを行ってたなんて知らなかった。疎開したユダヤ人姉妹の成長物語。こちらは自分の中の色んな感情がぐるぐるかき乱されます。

 

2巻以降の恋愛に関しては、生々しい表現も出てくるので、「これ子ども向け?」という質問も何人かから受けました。でもね、中高生たちはメディアを通じて、実際にはヒドイ形で色々触れています。だったら、文学で触れる方がいい。過去記事↓

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 □『フランバーズ屋敷の人々シリーズ全5巻

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『フランバーズ屋敷の人々 愛の旅立ち〈1〉』(2009年)K.M.ペイトン著 掛川恭子訳 岩波書店

 

人間ドラマにどっぷり浸かりたいときに。私もまだ全巻は読み終えていなくて、残りは積ん読状態なのですが、夜更かしして読みたいなと思ってるシリーズのうちの一つ。

階級社会、男性中心、そんな20世紀初頭の時代に自分の生き方を選ぶ少女の成長物語。少年文庫版になったのが、2009年ですが、翻訳されたのは1973年のロングセラーです。

 

□『ハリスおばさん』シリーズ全4巻

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『ハリスおばさんパリへ行く』(1979年)ガリコ著 亀山龍樹訳 講談社

掃除婦のハリスおばさんが世界中を駆け巡るシリーズで、パリ、ニューヨーク、モスクワ、国会とあります。内容は小学生でも楽しめるのですが、文庫版は字も小さく、中学生向きに感じました。青い鳥文庫版も出てたみたいなので、そちらだったら小学生でも。面白いのになあ......絶版なので図書館でぜひ。

 

 

■小学生からおススメのシリーズ

 

小学生から読めるということであって、中高生でも大人でもおすすめです(念のため)!

 

□『メニム一家』シリーズ全5巻

 

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『ブロックルハースト・グローブの謎の屋敷』(1995年)シルヴィア・ウォー著 こだまともこ訳 講談社

隠れた名作なのですよ、これ。

等身大の人形たちが人間の真似ごっこをしながら暮らしているんです。個人的には昔から人形自体が苦手ですし、正直、最初のほうは登場人物(人形)のテンションについていけなかったのです……。がっ!!!メニム一家は、今ではすっかり私の中で忘れることのできない存在に。最後のほうなんて、物語が終わるのが嫌で、ページをめくる手が遅くなったほど。「死」についても考えさせられたり、なかなか深いんです。絶版なので、中古で買い揃えました。最終巻だけものすごい高額(シリーズものの中古あるある)だったので、値段下がるのに2年も待った思い出(←どうでもいい?)。過去記事↓

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□『はなはなみんみ』シリーズ全3巻

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『はなはなみんみ物語』わたりむつこ著 岩崎書店

私自身は大人になってから出会ったのですが、いやあ、これはなかなかすごい物語だな、と。子どもが読めば冒険ものとして純粋にワクワク、大人が読めば人間の愚かさについて再考させられる。なんてったって、扱ってるのは核戦争後の世界ですからね。

 

表紙の感じから、男子は敬遠しそうですが、男子が読んでもサバイバルものとしてワクワクします!過去記事にも書きましたが、これ人間ではなく、小人だからこそ重たいテーマも重たすぎず、楽しさ交えて読めるのです。だから、スゴイ。過去記事↓

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□『床下の小人』シリーズ全5冊

 

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床下の小人たちメアリー・ノートン著 林容吉訳 岩波書店

ジブリの『アリエッティ』はとっても素敵だったけれど、でも私の床下の小人たちとは違うんです。幼い頃にどれだけ想像したか、どれだけ遭遇したかったことか。今でも、こまごましたものが置いたはずのところからなくなってると、床下の人たちだ!って思います。

 

□『クロニクル千古の闇』シリーズ全6巻

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『オオカミ族の少年』(2005年)ミッシェル・ペイヴァー著 さくまゆみこ訳 評論社 

最初は分厚さにおののきましたが、読み始めたら止まらない!

舞台は紀元前4000年の森の中。主人公の一つ一つの小さな行動からも学ぶことがいっぱいなんです。生きる知恵がいっぱい!とても厳しい状況に置かれたにも拘わらず、乗り越えていく主人公の姿に読者も励まされます。

 

今こそ、人間中心じゃなかった時代の物語、読み返したいものです。過去記事↓

matushino.wixsite.com

 

□『王への手紙』『白い盾の騎士』

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『王への手紙』(2005年)トンケ・ドラフト著 西村由美訳 岩波書店

シリーズものとはいえないけれど、それぞれ上下巻あるので長編です。派手さはないのですが、これも、面白い!騎士とか全然興味のない私でも、途中からは読むのがやめられませんでした。

 

見知らぬ男に重要な内容の手紙を託されるのですが、中に何が書いてあるか分からないんです。もう誰を信じたらよいのか、その選択にもドキドキ。友情ものとしても心に残る物語です。読み終える頃には、この少年とその親友に惚れること間違いなし(笑)。

 

 

□『クワイナー一家の物語』シリーズ全7巻

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『ブルックフィールドの小さな家』(2001年)マリア・D・ウィルクス著 土屋京子訳 福音館書店

大草原の小さな家』亡き母が赤毛のアン派だったとすると、私は大草原の小さな家のローラ派だったんですね(←二大派閥笑)。繊細な美しさを求めた母に対し、私はダイナミックで開拓していくものに魅力を感じてたんです。

 

小さい頃何度も読んだローラのお母さんキャロラインの物語がある、と知ったのは大人になってからでした。こちらがま~た面白いんだな。まず、翻訳がとても読みやすい。こちらはローラが書いたのではなく、資料を基に書かれたそうなのですが、開拓時代のこともよく分かります。義理のお父さんとのエピソードは感動しますし、個人的にはローラの父さんと母さんの出会いのエピソードがへえええ、って感じでした。なぜ、絶版なの……?そして、最終巻の中古を1万円以上にするのとかやめてほしい(涙)。

 

 

□『メアリー・ポピンズ』シリーズ

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『風にのってきたメアリー・ポピンズ』(2000年)P・L・トラヴァース著 林容吉訳 岩波書店

これも夢中になりましたねえ。あのツンとすましたメアリーの媚びない感じも好きでした。魔女、とはちょっと違いますよね。不思議な世界へ連れて行ってくれます。

 

子どものころは、ただただ好きだったのですが、大人になってから、なぜメアリー・ポピンズは不機嫌だったのかを例に取り上げ、イギリスの階級者会を説明したこちらの本を読んで、色々ナルホドと面白かったです!大人はぜひこちらも↓

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 □『グリーン・ノウ』シリーズ全6巻

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『グリーン・ノウの子どもたち』(2008年)ルーシー・M・ボストン著 亀井俊介訳 評論社

イギリスの古いおうちに幽霊たちが住んでたとしても、全然不思議じゃないですよね。それが子どもの幽霊ときたら、なおさらで、もうお友だち。屋敷に暮らした人たちの歴史を感じます。

 

とてもいいシリーズなのですが、1巻こそ置いてあったものの、残りは図書館の地下書庫にあったのは、ちょっとショックでした。

 

 

□『ラモーナ』シリーズ

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『ゆうかんな女の子ラモーナ』(2013年)ベバリィ・クリアリー著 松岡享子訳 学研教育出版

『ヘンリーくん』シリーズから続く『ラモーナ』シリーズは、読書が苦手な子でも楽しく読めます(読書が苦手な息子で実証済み笑)。

 

日常の中のワクワク、イライラなどの感情や、子どもの心理がとってもよく描かれていて、読んでいて子どもたちは共感の嵐なのでは?大人が読むと子どもの気持ちにハッとさせられて、涙したりも。

 

□『獣の奏者』シリーズ全5巻

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獣の奏者Ⅰ 闘蛇編』(2006年)上橋菜穂子著 講談社

大人には文庫版も。上橋菜穂子さんのシリーズものと言えば、守り人シリーズはもちろん寝ずに朝まで読みふけるほど一気読みしましたが、個人的には『獣の奏者』のほうが心に残っています。

 

闘蛇や王獣とは架空の生き物なのに、もはや存在するとしか思えない!もし、まだ出会ってなかったらぜひ出会ってほしい。実は、上橋さんのものは表紙画が好みじゃなくて、手に取ってなかったんです。有名すぎるけれど、もし未読だったら、ぜひぜひ出会ってほしい!

 

□『ミス・ビアンカの冒険』シリーズ全7巻

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『ミス・ビアンカ くらやみ城の冒険』(2016年)マージェリー・シャープ著 渡辺茂男訳 岩波書店

小2のときに夢中になったシリーズです。といっても、実は、内容は全然覚えてないんです。ただ、とてもワクワクして、自宅の庭で一人土に穴掘ってミス・ビアンカごっこをしたのが、とてつもなく楽しかったという思い出だけが強烈に残ってるんです。面白いものですね。

 

 

はあああ、長かったー!ここまでお付き合いいただいた方、最後までありがとうございました!!!長編ものといえば、冒険ファンタジーが多いのに、上記になんと少ないことよ(笑)。

 

一つでも、お気に入りが見つかりますように。