Pocket Garden ~今日の一冊~

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まさかムーミンで心が整うとは!

『たのしいムーミン一家』(2011年)トーベ・ヤンソン著 山室静香訳 講談社

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いやはや、まさかムーミンに心を整えてもらえるとは、想定外でした!

今日の一冊は、有名すぎるコチラ。

 

なんだ、ムーミンか。アニメ見て知ってるからいいや、と思わないで~。私もそう思ってたうちの一人でしたけど、もっと早く読んでいればよかった!と後悔しているんですから。

 

ムーミンを読み始めたのは、クラシカルなジャケが素敵な講談社の新装版シリーズが出たからという、実にミーハーな理由で買ったからなのですが、手もとに置いておきたいと思ったそのときの自分に拍手を送りたい!

 

そんなわけで、いま少しずつムーミンシリーズを読み始めているのですが、最初のほうに読むであろう『たのしいムーミン一家』を後回しにしていたのは、アニメを見てしまった影響が大きいから。この話はアニメで見た印象が強すぎるから、読まなくてもいっかなー、ってなっていたんですよね。

 

ところが。

ああ、やっぱりムーミンの世界観はいいなあ。なんだろう、整うんです、自分の内側が。

これは、不思議な感覚。

 

言葉では説明できないけれど、ああ、私大切な“何か”を忘れていたなあっていう気持ちになる。何か欠けていたものが満たされていくんですよねえ。出てくる登場人物たちはどれも人間味にあふれていて(でも、人間ではないところが、また面白いところ)。決して、ほのぼのだけじゃない。ちゃあんと嫌な人も出てくるし、わがままな人も出てくるし、決していわゆる“癒される”だけの世界じゃない。いじわるもする。

 

驚くのは、え、こんな感じでも許されちゃうの?受け入れられちゃうの?ってところ。

例えば、この巻に出てくるトフスランとビブスランなんて、みんなから愛されているけれど、言ってみればわがままな泥棒。でも、そういう人として受け入れられている。

 

ムーミンのお父さんだって、私が奥さんなら小言いいたくなるような言動もあるけれど、ムーミンママは「はいはい」ってにこやかに流す(そこにとらわれない)。

 

“あなたのこういうところは直さなきゃね”

とかではなく、その人がその人のままで受け入れられている世界なんです、ムーミンって。あ、いいんだ、これで、という不思議な気持ち。

 

そして、そこに描かれる自然界がねえ、これまたもうたまらなくいいんです!!!その中で生きてる!っていう実感があって。この自然に触れられることも、きっと内側を整えることに一役買っているんだろうな。

 

決して、泣くようなストーリーではありません。でもね、最後の大団円で不覚にも涙が出てきたんですよね。なんて、優しい世界なんだろう、って。優しいっていわゆるいい人だけが集まった世界じゃないのに。そして、その優しさを引き出したきっかけが、ムーミンママがふるまったパンケーキってところがもうたまらない(笑)。

 

難しいこととかおいておいて、みんなで美味しいものを食べる。そこから始まる優しい世界。

 

心がギスギスしてきたら、ムーミンを読んで整えよう!ときどきムーミンの世界が必要!多分大人にこそ。そう思いました。

 

内側を整えたいとき、ムーミンおすすめです。