Pocket Garden ~今日の一冊~

大人も読みたい、大人こそ読みたい、大人のための児童文学の世界へご案内

夏だ!キャンプだ!

f:id:matushino:20210712163726j:plain

『キャンプでおおあわて』(2008年)ジェニファー・リチャード・ジェイコブソン作 武富博子訳 講談社

 

※毎週月曜・金曜の19時~21時の間に更新中!

(できるだけ19時ジャスト更新!ムリだったら、21時までに更新笑)

 Facebook『大人の児童文学』ページもよかったら♪

 

なんだか変な天気が続いていますが、蒸し暑くなってきて、夏ですね!

夏といえば?キャンプー!!!

 

というわけで、今日の一冊は、小学校中学年から読めるこちら!

 

主人公は小学3年生のウィニー。母親を亡くし、父と二人暮らし。

そんなウィニーはヴァネッサとゾーイと仲良し3人組なのですが、サマーキャンプでは二人とバラバラの班に。

新しく知り合いになったロキシーという牧場に住んでいる女の子と仲良くなったのですが、ふと口をついて出てしまったウソがきっかけでどんどん苦しくなり……。

 

 という内容。ウソって、どんなに小さなものでも、つじつまを合わせようとすると、そこからどんどんウソを重ねていかなくてはならなくなって、苦しくなるんですよね。

それが、よく描かれてる。

 

でもねー、これってウソというのかな。

ウィニーはお母さんが亡くなっていないのですが、絵をほめられ、どうしてそんなに上手に描けるの?
と聞かれて、こんな風に会話が展開していくのです。↓

 

「ママに習ったの。」

「すごーい!お母さん、画家なの?」

とネルがききます。

「有名なの?」

と、ノラもききます。

「まあね。」(P.40)

  

願望がつい口に出てしまう。特に子どもって、現実と願望があいまいだったりするから、こういうことってありますよね……。こうだったらいいなあ、と思うことをつい口にしてしまって、そのうち自分でもそんな気分になってきたり。

 

この物語のテーマは、どんな小さなウソでもついたらどうなるのか、ということを考えてもらうことなのかもしれませんが、それ以上にキャンプの場面がワクワクして楽しかいので、そこがおススメです!(だから、説教臭くない)

 

最近は日本でも増えてきましたが、海外って夏になると、親から離れて子どもたちが集まるサマーキャンプに子どもたちが放り込まれる(おっと失礼)ケースが多いんですよね。大人のリーダーたちがしっかりしていると楽しい子どもキャンプ。そうでないと、いじめや色々な問題も起こったりするわけですが、この物語のリーダーたちはいい人ばかりなので、安心して読めます。

 

岩登りや好きな工作や絵がかけるアートの小屋があったり。個人的になんと言ってもときめいたのは、“ぷかぷかランチ”でした!(←やっぱり、食べ物関連笑)

洗面器の中にランチを入れて、ライフジャケットをつけて、湖にぷかぷかあおむけになって浮かびながら食べるランチ。ああ、楽しそう!

 

ただ……、ここだけの話ですが、女の子の仲良しグループは、ああ、めんどくさいよねと思い出しながら読みました(笑)。仲良しグループがあると、新しい友だちと出かけたくても、なんとなく後ろめたい。なんて不自由なんだろう。私自身は中高6年間女子校で、こういうグループに不自由さを感じてたので、仲良しっていいかもしれないけれど、“縛り”でもあるよなあ、なんて思っちゃいました。どこかに所属する、って安心感と引き換えに不自由な気がする、私は。

 

最後は、ハッピーエンド!

安心して読める一冊です。