Pocket Garden ~今日の一冊~

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次男の乱:運動会なんて大っキライ

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『一瞬の風になれ』(2009年)佐藤多佳子作 講談社文庫

 

スポーツの秋ですね。

取材力がすごい佐藤多佳子さんによる陸上部の物語全3巻は、陸上部出身の夫もおすすめ。大人になってからですが、これ読んで走り方参考にしたくらいだそうです。

さて、今日は本の紹介はここまで(早っ笑)。

 

だってスポーツ苦手なんです。はっきり言うと大っ嫌い。というわけで、世間のほとんどの家庭が楽しみにしているであろう運動会も、私と次男は親子で苦手(低学年三男は張り切ってますが)。

 

私自身は運動音痴だったので、運動会やマラソン大会の日が苦痛で苦痛でたまらなかったのですが、「親になると違うよー。やっぱり我が子ががんばってる姿見ると感動するよー」と友だちに言われて期待。でも、やっぱり苦痛で。

 

そんな中、ずいぶんと前から小6次男からは、今年の運動会は出ない宣言をされていました。さすが親子?いやいや、次男と私はちょっと状況が違うんです。

 

私は運動音痴で万年ビリ。でも、まじめというか休むなんて発想もなかったから、ただただ苦しかった思い出。将来は、学校の先生になってえらくなって、体育という科目を廃止してやる!と思っていました。なんて壮大にして長期計画(笑)。

 

一方で次男は運動神経がよく、体幹もいいと周囲から期待されちゃうタイプ。だから、やりたがらないことがあまり理解してもらえないんですね。サボってるとか、やる気のなさを怒られてしまう。

 

次男は、とにかく人前で発表したり、順位付けされることが苦手。

1/2成人式も休み(これ、私も疑問なので休むのに賛成したけど、先生の説得内容がひどくて学校側に失望した思い出)、少林寺(現在はやめてる)の試験日当日に布団から出てこない、などなど数々の前科を残す男。昨年は、リレーを走らなくてすむように、確信犯で長靴(!)履いていきましたからね(笑)。

 

そんな次男でしたが、ギリギリになって、最後の運動会にかけるクラスメートたちの熱い思いに負けたみたいです。6年間一クラスしかなくて、本当に絆が深いんです。みんなで作り上げたいというクラスメートたちの思いを裏切れない、って。

 

だけど、やっぱり人前で順位付けされる徒競走には納得がいかない。

そんな次男が出した、彼なりの方法は……!?

 

前代未聞!?

 

ま・さ・か・の……

 

談合(笑)!!!

 

いやね、おかしいなと思ったんです。次男の順番のときだけ、一斉にゴール前で速度を落とし、走りをそろえ、ほぼ差がない形でゴール。

 

後で聞いたら、紅組2人、白組1人だったので、白組の子を1位にさせて、紅組が2位3位の点数を足すと平等になるように決めたらしいです。自分が勝つための談合ではなく、平等にするための談合。

 

新しい時代到来!

 

誰も恥をかかないようにし、次男なりに平等を考え、話を持ち掛けたところ、一緒に走る子たちが賛同してくれたそう。

 

いや、これ正直複雑。だって、本気で走らせたかった親御さんからしたらいい迷惑だったでしょう?本気でやってる子たちに対して失礼という考え方もあるかもしれません(うちの夫が考えそうだな)。

 

だけど。

大人から言われたのではなく、自分たちで考えたことならば、こういう形もアリなのかな、と考えさせられてしまった。

 

だからといって、本気の子たちを冷めた目で見てるわけでも、否定してるわけでもなくて。本気のぶつかり合いのリレー戦はリレー戦で、見ていて目がしらが熱くなりましたし、次男もダンスは本気でやっていました。

 

競争自体が全てダメだとは思わない(むしろ、勉強における競争なんかは私は楽しんできたタイプ)。ただ、全員に同じ競争を強いる時代は終わったのかな、と。

 

得意な子たちや競争の場が活躍できる子たちもいる。それは、それでいいし、そうじゃない子はそうじゃないというありかたもいいのかな、って。

 

”自分との戦い”という大義名分もよく聞くけれど、人前で順位さらされるのが自分との戦い?昨年よりがんばりの成果が出るのは素敵なことだけれど、また別のみじめな思いする子を生み出すだけ。だけど、好きな分野でだったら、悔しい思いはバネになるのも事実。

 

だから、どちらもアリであってほしい。

そんな次男の発想に、時代が追いつくのはいつかな?

 

それまで母は必要であれば「すみませーん」と頭下げ続けるから、どうぞ今のまま自分の考えを貫いていってくれ、次男。

 

以上、運動会をめぐる次男の乱でした(笑)。