なかなか梅雨があけず、夏が来たー!という気分にはならないけれど、もう7月も終わりに近づいてきてるんですよねえ。今日の一冊は、ひと夏の物語。
『シャイローがきた夏』あらすじ
11歳の少年マーティが父さんから誕生日にもらったのは、ライフル銃。その銃をもってある日山の中を歩いていると、ついてくるビーグル犬の子犬が。それは、地域でも嫌われ者のジャド・トラバーズの犬だった。ジャドが密猟をしていたり、使えない猟犬を虐待していることを知ったマーティは、シャイローと名付けたその子犬を秘密でかくまうことに......。
岡本順さんの表紙絵や挿絵が爽やかでとってもいい!
犬を飼いたいけれど、マーティのうちは経済的に余裕がないんですね。犬を飼いたい!というマーティの気持ちが、切ないくらい伝わってきて、感情移入してしまうこと間違いなしです。シャイローは一体どうなっちゃうの?と気になり、ページをめくる手が止まりません。本が苦手な子でも、さらりと読めそう内容なのですが、ハードカバーでしっかりしているので、「読めた!」という満足感も得られる一冊。
でもね、さらりと読めるからといって、内容が浅いというわけじゃあないんです。
一つ嘘をついたら、どんどん嘘を重ねていかなければいけない苦しみ、自分が正しいと思うことが世の中的に正しいかどうかは別問題ということ、自分の正しさを選択することで家族をも困った状況に陥れてしまうことetc.etc. どうすればいいのか。大人も考えさせられます。
特に一つ嘘をついてしまったらどうなるのか、というのは貴重な追体験だなあ。これは、ぜひ読書を通じて体験してほしい!
最終的にマーティが選んだ方法は、賛否両論で、私もひっかかりがないわけではないけれど、彼にとっての最善だったのかな。相手の出方がどうであろうと、自分は約束守る、その毅然とした態度には拍手を送りたくなりました!
ジャドがあまりにもひどすぎて、同じく密猟をする乱暴者が出てくるこちらの物語を思い出してゾッとしてしまいましたが......↓
が、小学校高学年から読める『シャイローがきた夏』のほうは、ホッとするラストですので、ご安心を。
ジャドがどうして猟が好きなのか、その理由を聞き、マーティがほんのちょっぴりだけ、ジャドを気の毒に思う気持ちが生まれる場面も好き。悪者には悪者になる背景が必ずある。たった数行だけれど、そこに触れてくれたもの嬉しかったなあ。
法律が絶対?
何が正しいことなのか。
さらりと読めるのに、考えさせてくれる一冊でした。