Pocket Garden ~今日の一冊~

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ヨーロッパ経由で日本史が好きになるかも?

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『ホワイト・ライオン』(2020年)森川天喜著 幻冬舎

 

今日は、まさかの春の雪景色。黄色い菜の花に白い雪がかぶさってる景色はとても幻想的できれいでした。(写真じゃ伝わらないかもしれませんが↓)

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そんな白い日に読み終えたのが今日の一冊。リアルと幻想が融合した、中世ヨーロッパを舞台に繰り広げられる戦記物語と謳われていて、舞台が藤沢や鎌倉辺りとあって、藤沢や鎌倉の本屋さんでは平積みになっている本です。

 

《『ホワイト・ライオン』あらすじ》

ホワイティア公との覇権争い「夜明けの大戦」に勝利したレッディア公は、光の都で王に即位し、太古より続く祭祀を司る一族の長・光の君を宮殿の奥深くに幽閉した。同じ頃、都の遥か東の「神の涙の流れる地」を治めるベオ家の4兄弟のもとに、ホワイティア公の忘れ形見・三の君が東国へ流罪になったとの報せが届く。数年後、三の君が反乱の狼煙を上げたのを機に、4兄弟はレッディア・ホワイティアそれぞれの陣営に分裂し、争いの渦に巻き込まれていく。(BOOKデータベースより転載)

 

何を隠そう(いや、別に隠してませんが笑)私は歴史物が苦手。読んでも全然感情移入できなくて、記憶に残らないんですよねえ。特に日本史。せっかく鎌倉に住んでいるのだから、と子どもが借りてきた漫画版日本の歴史なんかを一緒に読んでみたりもしたけれど、やっぱり記憶に残らない。

 

なので、おバカなことに、いつ物語の中に藤沢・鎌倉が出てくるんだろう、とワクワクしてたんですね(笑)。だって、本屋さんのPOPに“鎌倉、藤沢が舞台です”ってあったんだものー。読めども読めども出てこない。そしたら、舞台をヨーロッパに変えたオマージュでした(笑)。もう、私のおバカさん。

 

Amazonレビューによると、

本作は設定を中世ヨローッパとしながら、平安鎌倉期に起こった治承・寿永の乱を基にした作品で、源頼朝と懐島景義、大庭景親梶原景時、俣野景久ら鎌倉党が主な登場人物として名前を変えて登場します。地方紙等では鎌倉藤沢の歴史を基にした作品として紹介され、他にも平清盛北条時政・政子、上総広常、ほかが登場します。

(やんやさんのレビューより抜粋)

 

だったんですねえ。ああ、ジブリが『思い出のマーニー』の主人公を日本人に、舞台を北海道に変えたのと同じですね。ナルホド。自分の教養のなさにガックシ。でも、記憶に残らないんだから仕方ない(←開き直り笑)。

 

そんな歴史物が苦手な私でも、読みやすかったです。

ただ、戦いもの、やっぱり苦手なんですよね。策略めぐらすとことかワクワクできないんです。

 

先日、子どもたちの希望で映画『キングダム』を家で観たのですが、戦いの場面がかっこいいー!って男子たちはワクワク。が、私は、そういう場面楽しめないんです。そこにもうちょっと人間ドラマが入ってきたら見れるのですが...。

男子の多くは本能的に戦いに興奮するのかな、なんて感じてしまいました。

 

さて、話を本に戻すと、『ホワイト・ライオン』は読みやすかったのですが、個人的には三の君の葛藤や、心の成長がもう少し描かれてほしかったなあ。なぜ、ああいう風になっていったのか。

 

そう思うと、やっぱりサトクリフはすごいなあと心から思います。あらすじだけ読むと(個人的に)全く興味のない世界に、あそこまで夢中にならせてくれる。時代を超えて共感してしまう。うならされます。

 

なーんて書いてしまいましたが、光の君とか神話的な部分が盛り込まれていたり、夢の中で自分の化身が動物になっている場面など、幻想的で美しい物語でした。

 

これをきっかけに、歴史物が苦手な私が、もう一度日本史見直してみようかなと思うのですから、そういう意味でも画期的な本なのかもしれません。興味の入り口のルートが色々あるっていいですよね♪

 

一般書のコーナーにありますが、小学校高学年から楽しめそうです。

 

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