馬と人間の関係って特別ですよね。
その秘密を探りたくて、立て続けに馬が出てくる物語を読んでいます。前回ご紹介した『わたしがいどんだ戦い』の主人公も、馬のバターなくしては心の回復はありえなかった。人間だけでは限界のあるところを、救ってくれるのが馬の存在なんだなあ。
犬や他の動物とどう違うのかというと、一番の違いは人間を乗せてくれるところかもしれません。人間には出せないスピードで、違う景色へと運んでくれる。一心同体となって。
今日の一冊も、そんな馬に救われていった少年のお話です。
『嵐にいななく』あらすじ
悲劇を生き抜く強さを描いた感動物語
大洪水がきて、町をひとのみにしまった後で、主人公の少年ジャックは、新しい土地へと引っ越します。新しい町、新しい学校・・・不安を抱えた少年は、ちょっとした友達とのいざこざが原因で、学校も行かなくなってしまいました。そんなとき、処分されることが決まった一頭のみすぼらしい馬と出会います。「何とかしてこの馬を助けたい」。そのためには、馬を訓練しなくてはいけません。隣人のマイケルの力を借りて、少年は、馬を訓練することを勉強します。一方、マイケルは、足をけがして、世間との関係を絶ち孤独に生きていました。少年とかかわることで、マイケルにも変化が起きます。そんな中、再び、少年たちの町を大きな嵐が襲い、人々の関係を大きく変えていきます。
少年の、マイケルの、さらに町の再生と自立を描いた感動物語です。
いつだかわからない近未来を舞台にした本書は、現代に多くのテーマを投げかけています。
衝撃のラストに感動してほしい作品です。(出版社紹介より)
表紙絵の感じや設定から、古典的な物語なのかなあと思いきや。
読み進めて行くと、ちょっと何とも言えない気持ち悪さが出てきます。
馬車が交通手段の貧しい田舎暮らしと思いきや、ん???携帯電話も規制はされてるけどあるし、あれ?車もあるの???あれ?現代??
そう、これ資源を使い果たしてしまった近未来の姿。動物をペットとして飼うなんてとんでもないという時代なんですね。なんとも言えない気持ち悪さはここにあったんですね。
地域の人同士で協力しあって暮らしているし、個人的にはこういうシンプルな暮らしもいいじゃない、とは思うけれど、我慢はどこかで爆発してしまう。
誰かが抜け駆けしようとしたときの人々の怖さといったら!
みなさんがレビューでこぞって書いているとおり、ラストは衝撃です。
私もすっかりやられてしまいました(笑)。先入観って……!私もまだまだだなあ。
そういう意味では面白いのだけれど、なんでしょう?好みの問題かな。あまり感情移入できなかったからかな。私にとっては、あまり響きませんでした。
ただ、仕掛けは面白いし、限りある資源についても考えさせられるので、一読の価値はアリです。どうぞ、最後やられてください(笑)。