白の余白中に赤がはえる表紙に惹かれて、手に取った一冊。
とても読みやすく、小学校高学年から、本が苦手な子でもスラスラ読めそうな物語でした。
イマジナリーフレンドとは、自分が生み出した空想のお友だち。
小さい頃イマジナリーフレンドが自分にもいたという人、実は少なくないんじゃないでしょうか。おかしな人と思われるから周りには言わないだけで。
さて、この物語がユニークなのは、視点がイマジナリーフレンド側からという点。
出版社からの紹介に
イマジナリーフレンドである自分の存在を自問自答し、自分を想像してくれた少女から離れて、様々な子ども達のイマジナリーフレンドを経験していくという新感覚のストーリー。リアルな生活の隣にあるファンタジーを軽妙に描きながら、最後は心震わすあたたかなエンディングをむかえる成長物語
とあるように、ナルホド新感覚。
内容的には全然違うけれど、感覚的には映画『シックスセンス』を思い出しました。
自分が死んだことに気づいてない、成仏してない魂たちが、どうして周りが自分の存在を無視するのか不思議がる……それと似ています。
イマジナリーフレンド側からの視点といえば、こちらもあります↓
こちらはちょっとおどろおどろしい感じがするので、個人的には『イマジナリーフレンドと』のほうが好みでした。
ただね、悲しいかな。どちらもリアリティを感じるには、私は大人になりすぎてしまったようです。
■ イマジナリーフレンドは現実逃避?否!
さて、見えないお友だちがいると知ると、心配するのが大人。
現実逃避して、この子大丈夫......?って。
でもね、実はイマジナリーフレンドと会話するのって、現実逃避どころか自分と向き合うことにつながるんですよね。
スピリチュアル系で言えば、インナーチャイルドとかなんちゃらとかとの会話っていうのは、イマジナリーフレンドとの会話も同じだと思うんですよね。自己啓発系でも何でもいいんだけど、セルフセラピーになっているとでもいうか。要はこれって、無意識との対話。そして、自分を支え、慰めてくれるイマジナリーフレンドの存在は自己肯定感も高めてくれる(拍手!)。
小学生や中学生は自己啓発系みたいな本を読まないだろうけれど、実践していることは同じ。だから、イマジナリーフレンドを持ってる子って、精神的に強いと思う。
ぼくは、だれかの人生を変えるのに自分が本当に役に立ったという、そのほこらしい気持ちをずっと持ち続けていたかった。それを思い出すと、ほんの少しだけど、自分はだれにも見えない存在ではないと思える。(P.188)
これはイマジナリーフレンド側の言葉です。でも、人間も同じだと思う。
人の役に立てるって喜びで、自分の存在意義を確かめられるんだと思います。
それは、他人軸というのとはまたちょっと違う。
喜びの人生を。