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ああ、困ったこまった。みなさんのお知恵拝借したい!
本って、人にすすめやすい本と、すすめにくい本がありますよねえ。誰が読んでも、絶対気に入ってもらえる、面白いと思ってもらえる一気読み系の本。一方で、最初はピンと来なくても、じわじわと深いところに響いてくる本、でも自分からはなかなか手に取らないから、誰かに手渡してもらわないと出合えないかもしれないタイプの本。
今日の一冊は、どちらかというと後者に属しそうな物語なんです。バンビ、名前を聞いたことない人はいないかも(ディズニーのおかげでね)。ディズニーのほうも見たのか見ていないのか、物語の内容自体は全く覚えていないのですが、あのかわいいバンビの映像だけはクッキリと脳裏に残っている。映像の力、スゴイ。しかし、それが固定イメージを作って邪魔をするときもあるから、よしあしだなあ、と(小声)。
それに加え、実は、個人的に動物物語って苦手なんです。動物たちが人間の言葉でしゃべるのが苦手。それでも、今回『バンビ』を手に取ったのは、周りの児童文学好き仲間がこぞって絶賛していたのと、あの酒寄進一さんが出した新訳だったから。酒寄さんは以前こちらのお話を聞きに行って、その熱量に圧倒されたので↓
今回も、物語を読むより先に、教文館ナルニア国であった酒寄さんの講演会を聞きに行ったのですが、やっぱり熱量がすごい。面白い。あんな楽しそうに話されては、読みたくもなります。
結果……読めてよかった(涙)。
じんわりきます。深いところに響く物語でした。
でもね、これ手渡すの難しいなあ、って。だから、困ってるんです。
人生のうちで、こういう物語に出合っておきたいけれど、どうすればこの良さが伝えられるのか。
地味といえば、地味なストーリーなんです。派手な展開があるわけでもないし。いや、読んでいるとドキドキ感はすごいんですよ。生きることの凄まじさ。森の中で、芽生えるセンスオブワンダー。でも、スピーディーな展開に慣れてしまっている子どもたちが、最初のほうで読むのやめちゃわないかな、って。(←無用な心配に終わるとよいのですが)
さて、この物語の中で、ひときわ存在感をはなっているのが古老と呼ばれる威厳のあるシカなんです。読む人読む人、「もう、古老がいいよねえ!!!!」とみな感嘆していたわけが、読んで分かりました。古老は多くは語りません。背中で見せる。生きる姿を見せて、自分で学ばせる。かっこいい!!!
いまの大人って、私も含め、言葉で説明して子どもたちに教えようとしすぎている気がします。“答えらしきもの”を教えたがる。自分のことは棚にあげてね。“こうあってほしい”“こうあるべきだ”をひたすら語ってしまう。古老をみて、もう恥じ入りましたよ。
「自分の耳で聞き、鼻でかぎ、目で見るのだ。自分で学べ」
大人も子どもも生きてる実感が得られない人が増えているのは、自分で学んでいないからなのかもしれない。自分で学ぶためには、ひとりになる時間が必要。森から、バンビから学ぶものは大きいです。
どんな手渡し方をしたら、いいのか。お知恵拝借したいです!